大逆転V貢献、2冠王、大ブレーク… 交流戦首位打者の“その後”、ジンクス継続なるか

ソフトバンク・柳町達【写真:古川剛伊】
ソフトバンク・柳町達【写真:古川剛伊】

ソフトバンク柳町達は交流戦打率.397で首位打者に輝いた

 2025年の交流戦では、ソフトバンクの柳町達外野手が打率.397で首位打者に輝いた。交流戦での成績がシーズンの趨勢を変えた例はこれまで少なからず存在してきたが、直近3年間の交流戦首位打者は全てパ・リーグの選手が獲得しており、各選手が所属するチームはいずれも同年のシーズン順位でAクラス入りを果たしている。

 今回は、直近3年間において交流戦首位打者を獲得した選手たちの顔ぶれと、各選手が同年に残した成績を紹介。交流戦を含めた各選手の活躍ぶりについてあらためて振り返るとともに、今季も縁起の良い「ジンクス」が継続するかどうかに注目していきたい。

 2022年はオリックスの杉本裕太郎外野手が27安打と同年の交流戦期間中における最多安打を記録し、打率.391というハイアベレージを残して交流戦首位打者を獲得。チームは交流戦を8勝10敗と負け越しで終えたものの、夏場以降は徐々にチーム状態を向上させて熾烈な優勝争いに加わり、10月2日のシーズン最終戦で勝利を収めて劇的な大逆転優勝を飾っている。

 2023年はソフトバンク移籍1年目の近藤健介外野手が26安打、5本塁打、15打点と圧倒的な打棒を見せ、交流戦歴代2位の出塁率.519を記録。打率.413という抜群の高打率で交流戦首位打者を受賞した。チームは故障者の続出もあって苦戦する時期もあったが、交流戦で11勝7敗の好成績を残したことも手伝い、熾烈なAクラス争いを乗り切って3位でシーズンを終えている。

 2024年は日本ハムの水谷瞬外野手が交流戦期間中の最多安打となる28安打を放ち、交流戦における歴代最高となる打率.438を記録する大ブレークを果たした。チームは交流戦で7勝10敗1分けと負け越したものの、水谷を含めた若手の成長もあって大きく躍進。2018年以来6年ぶりのAクラスとなる2位に入り、今後に向けて大きな期待を抱かせる1年を送った。

昨季は交流戦前10試合出場だった水谷は大ブレーク、球宴選出も

 次に、直近3年間で交流戦首位打者を受賞した選手が、同年に残した月別成績について見ていこう。2022年の杉本は3月と4月の月間打率がともに.130台と序盤戦は絶不調に陥っていたものの、5月は月間打率.333、6月は同.282。続く7月も月間打率.297と好調を持続させただけでなく、6月と7月の2か月で10本塁打と持ち前のパワーも発揮し、中軸打者として力強くチームをけん引した。8月以降は再び調子を崩し、最終的に105試合で打率.235という数字に終わったものの、15本塁打、OPS.722と、長打力の面では一定の数字を記録。日本シリーズでは2度の決勝打を放つ活躍を見せてMVPに輝くなど、チームのリーグ連覇と悲願の日本一にも貢献した。

 2023年の近藤は4月の月間打率が.256、5月が同.235と序盤はやや低調だったものの、交流戦期間中の6月に月間打率.342と大きく復調。7月の月間打率は.343、8月は同.365と3か月続けてハイアベレージを記録しており、交流戦での活躍が本来の打撃を取り戻す契機となったことが示されている。最終的に全143試合に出場して打率.303、26本塁打、87打点でいずれも自身初となる本塁打王と打点王の2冠。出塁率.431で自身3度目の最高出塁率のタイトルにも輝き、外野手部門のベストナインとゴールデングラブ賞をW受賞するなど、移籍1年目から出色の活躍を見せた。

 2024年の水谷は交流戦前の時点でわずか10試合の出場にとどまっていたが、5月は9試合で月間打率.448、6月は23試合で同.333と好成績を記録。その後も7月は20試合、8月は18試合、9月は19試合と着実に出場機会を確保し、交流戦での大活躍をきっかけに主力の座へと定着してみせた。最終的な成績は97試合で打率.287、9本塁打、OPS.779と、投高打低の環境にあって一定以上の数字を記録。その活躍が認められて「マイナビオールスターゲーム2024」にプラスワン投票で選出されるなど、加入1年目からチーム内外において大きなインパクトを残し、現役ドラフトにおける顕著な成功例の一人となった。

 交流戦首位打者を受賞した選手の所属チームがいずれもAクラスに入っただけでなく、近藤は本塁打王と打点王の2冠に輝き、水谷は一躍大ブレークを果たした。杉本もシーズン成績自体はやや低調だったものの、日本シリーズでMVPに輝く活躍を見せてチームの日本一に貢献するなど、選手にとっても縁起の良い結果がもたらされていた。2025年の交流戦で首位打者を受賞した柳町も、過去3年における先達たちと同様にチームを上位進出に導き、自らも充実したシーズンを送ることができるか。縁起の良い「ジンクス」が4年連続で継続するか否かについて、今季はぜひ注目してみてはいかがだろうか。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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