日ハム移籍で開花　中日時代から大幅改善…台頭した大型捕手、克服した2つの“課題”

日本ハムの郡司裕也は2023年に中日からトレードで加入

　2023年6月にトレードで中日から日本ハムに加入した郡司裕也捕手は、プロ入り当初から期待されていた打撃が新天地で開花している。昨季は自身初めて規定打席に到達し、今季はすでに3度サヨナラ打を放つなど、持ち前の勝負強さでチームに貢献。三振と四球の割合から浮かび上がる2つの転機を軸に、その進化の過程を探る。

　移籍後の最大の変化は、スイングの積極性が増したことだ。中日在籍時はファーストストライクのスイング率がNPB平均よりも10ポイント以上低く、打ちにいくボールを慎重に見極めるタイプだった。ところが日本ハムでは浅いカウントから積極的にスイングを仕掛けるようになった。

　中日時代の郡司は追い込まれると脆い面があり、2ストライクからの打率は.138とセ・リーグ平均.180を大きく下回っていた。しかし移籍後は打席内でのアプローチが積極的になったことで、追い込まれる前に決着する打席が増加。結果として安定してヒットが打てるようになった。一方で四球の割合も減少し、四球で塁に出るという持ち味は一時的に薄れていた。

　今季は2つ目の転機を迎えている。シーズン序盤の3・4月は追い込まれる打席や四球の割合が昨季同様に低かったが、2ストライクからの打率が.250と大幅に改善。前半戦トータルでは.262を記録し、200打席以上に立ったパ・リーグ打者で最高の数字となった。5月以降は追い込まれることを恐れなくなり、元来の四球を選ぶ能力も復活している。

　移籍を機に安定してヒットを打てるようになり、四球を選ぶ能力も復活したことで、今季大きく数字を伸ばしているのが出塁率だ。現時点で規定打席には50打席ほど届いていないものの、200打席以上立った打者の中ではリーグ2位の好成績。9番を除く全打順でスタメン出場し、リーグ屈指の出塁能力を生かしてチームに好循環をもたらしている。

　昨季はリーグ2位でフィニッシュし、6年ぶりのAクラス入りを果たした日本ハム。今季も優勝争いを展開しているが、この2年間のチームの躍進を語る上で、郡司選手の攻守にわたる貢献は欠かせない。

（「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部）

（記事提供：パ・リーグ インサイト）