佐々木朗希の“WBC回避”…ド軍首脳が明かしていた苦しい胸の内 球団が期待する未来像

ブルペンへ向かうドジャース・佐々木朗希【写真:荒川祐史】ブルペンへ向かうドジャース・佐々木朗希【写真:荒川祐史】

ド軍編成本部長が明かしていた胸の内「WBCを愛するのは簡単なことだ。ただ…」

 ドジャースの佐々木朗希投手は13日(日本時間14日)、アリゾナ州グレンデールのキャンプ施設でバッテリー組のキャンプ初日を迎え、早速ブルペン入りした。迎えた米2年目のシーズン。大谷翔平、山本由伸両投手はワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に参加するが、自身は米国で調整を続け、開幕に照準を合わせる。侍の一員となる思いが叶わなかった裏には、佐々木自身の未来や、球団の思いが絡み合う。

 1月31日(同2月1日)にドジャースタジアムで行われたファン感謝イベント「ドジャーフェスト」で、佐々木はWBCに出場しない理由について自身の言葉で語った。報道陣の取材に応じ、「特別な舞台でプレーしたい気持ちはありましたし、今回もそうしたかったんですけど、球団の判断でもあるので」と答えた。

 本人は2023年の前回大会に続いての出場に意欲を見せていたものの、昨年5月初旬から9月下旬まで4か月半もの間、右肩の問題で負傷者リストに入っていたことが大きく影響した形だ。実は「ドジャーフェスト」の前日、球団のアンドリュー・フリードマン編成本部長はMLBネットワークのトーク番組「ドジャース・テリトリー」に出演し、大谷、山本、佐々木のWBC出場について苦しい胸の内を明かしていた。

練習の合間に大谷翔平(左)と笑顔で会話する佐々木朗希【写真:荒川祐史】練習の合間に大谷翔平(左)と笑顔で会話する佐々木朗希【写真:荒川祐史】

「野球ファンとしては、WBCを応援するのは簡単だ。そしてこの競技を愛していて、野球が成長し、より良くなっていくことを楽しみにしている人間としても、WBCを愛するのは簡単なことだ。ただ、今の自分の“立場”を考えると、少し難しくなる。でもその点はある程度、脇に置かなければならない。彼らが自国を代表することに対して抱いている計り知れない誇りや、その競争の意味は理解しているからね。

 彼らと話すというのは、基本的にはパートナーとして向き合い、彼らが何を考えているのかを理解することなんだ。ただ同時に、10月(ポストシーズン)まで戦うというチームの計画がある中で、それをどのようにベストな形で持っていくのか、2月や3月にどう進めていくべきなのかは、考えなければならないことなんだ」

 そして、佐々木が近い将来に果たす役割についても期待した。

佐々木には「内外角へと横に動く球種が必要」

「全体として、昨年は彼にとって非常にいい経験となった。彼は2種類の球種(速球とスプリット)だけでNPBを支配することができた。率直に言って彼がそれをこちらでも実行できれば、この2種類の球種だけで支配できると思う。だが昨年、彼の投球フォームは少し乱れており、球速も少し落ちていた。だから、3つ目の球種を身につける必要があるのか、制球力を高めるのか、どちらかが必要だろう。彼は非常に才能のある投手だと確信している」

 依然として、ドジャースはまだ24歳の佐々木について、さらに多くの進歩を遂げる有望株投手と見なしている。そして、新たな武器となる球種を加えることと同時に、速球の球速を高い次元で安定させることが必要だと判断している。

 MLBネットワークの「ファウル・テリトリー」でも、司会者のエリック・クラッツ氏とA.J.ピアジンスキー氏は、この点についてさらなる議論を交わした。クラッツ氏は、佐々木には3番目の球種が必要だという意見に同意し、こう語った。

「佐々木には、垂直方向の動き(縦変化)しかない。速球やスプリットの動きから打者の目線を外すために、内外角へと横に動く球種が必要だ。だがそれは素晴らしい球種である必要はなく、水平方向に動く球種をいくつか混ぜればいいだけなんだ」

 するとピアジンスキー氏は、佐々木が昨季、速球とスプリットのコントロールが定まらなかった前半戦にスライダーを投げていたことを説明。クラッツ氏は、佐々木の全投球のうちスライダーがすでに16%を占めていたことに触れながらこう付け加えた。

「このことは彼が目標にそれほど遠くないことを示している。彼はスライダーをもう少し磨く必要があるだけなんだ」

 佐々木自身も今季はカットボールやツーシームなど横変化の球種取得に意欲を見せている。その中でドジャースにとっての朗報は、佐々木の成長を急がせる必要がないことにある。チームには投手陣に豊富な人材が揃っており、万が一、佐々木が今季先発投手として理想的な成長曲線を描けなくても、チームには余裕がある。さらに佐々木には、2025年のポストシーズンで示したように、エリート級のリリーフ投手として活躍し続ける能力もある。チームにとってはオプションの多い超有望株、それが佐々木なのだ。

(笹田大介 / Daisuke Sasada)

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