主砲が抜けた穴どうする…矢野謙次巡回打撃コーチに直撃した
サラリと語る姿は意外だった。2年ぶりのリーグ優勝、14年ぶりの日本一を目指す巨人の選手たちは春季キャンプで連日、汗を流している。悲願達成への大きな鍵となるのは「主砲が抜けた穴」。主に2、3軍で若手育成に注力する矢野謙次巡回打撃コーチを直撃し、ファンも気になる“懸念材料”を宮崎でのキャンプ地で聞いた。
生え抜きの和製大砲でNPB通算248本塁打、717打点という成績を残した岡本和真内野手がブルージェイズへ移籍した。絶対的な4番が抜けた現実は、どのように受け止めているのだろうか。
「別に岡本が抜けたからとか、いるからとかで何も変わらないですよ」
矢野コーチは顔色ひとつ変えずに語った。岡本というスラッガーが抜けることで、戦力に影響が及ぶ可能性は認めつつも「僕らがやることは変わらないので。選手ひとり、ひとりの育成をしっかり促すような働きかけをする、ということになんら変わりはありません」。
チームとして次世代の若手を育成するという方向性は、現有戦力に関わらず常に向かい合うべき命題なのである。「ほんと、そこは変わったことじゃないんですよね」。
当然ながら外国人選手よりも、生え抜き選手が4番に入るほうが、巨人の将来性に光は差し込む。「その部分は間違いないと思います。でも、それは1軍の状況によって、阿部監督がそのときのベストを選択するので。外国人が入るかもしれないけど、我々としては選手を成長させるように指導していくだけですから」。
石塚は「すごい対応力」、荒巻は「気持ちの強さ」
若手成長株として注目されている筆頭が石塚裕惺内野手、荒巻悠内野手の「ロマン砲」コンビだ。昨季は2軍打撃チーフコーチとして、2024年ドラフトの1位&3位の両選手を指導していた矢野コーチは改めて2人の良さを語る。
「石塚はまだ19歳ですか。2年目に入りましたけど、すごい対応力がある。誰が見ても彼のバッティングがいいのはわかると思います。それよりも取り組み方がすごくいいんですよ。去年、2回怪我をしたけど、離脱するたびに成長して戻ってきているんです。ということは、その間にいい取り組みをしているからということですよね」
同じく荒巻については「思い切りもいいし、向かっていく気持ちの強さもあるのが、いいところですよね」。昨年オフには石塚とともにオーストラリアのウインター・リーグに参加し、武者修行を積んだ。石塚は21試合で打率.318、3本塁打、16打点。荒巻も21試合で打率.227、3本塁打、11打点の成績を残している。
「安定した成績を残すにはどうしたらいいか向こうで経験できたと思う。それを春のキャンプにどう生かしていくか、というところですね」。14日から始まっている沖縄2次キャンプの1軍メンバーにも入った2人へ期待を寄せた。
「何か、いろいろコメント欲しいところかもしれないですけど、本当に僕としてはやることは変わらないんですよ」。「変わらない」を何度も連呼した矢野コーチ。チームは世代交代を繰り返して強くなる。今は新しい才能が芽吹くための「余白」が生まれただけのこと。岡本の背中を追う若き打者の成長が巨人の未来を形成していく。
(湯浅大 / Dai Yuasa)