大谷翔平も快音なし…速球に振り遅れていたMLB組 専門家が分析した3つの理由

オリックス戦に出場した侍ジャパン・大谷翔平【写真:小林靖】
オリックス戦に出場した侍ジャパン・大谷翔平【写真:小林靖】

大谷3打数無安打1三振、鈴木2打数無安打1四球、村上3打数無安打1三振

■オリックス 4ー3 日本(2日・京セラドーム)

 野球日本代表「侍ジャパン」は2日、京セラドーム大阪で行われた「2026 ワールドベースボールクラシック 東京プール presented by ディップ 強化試合」のオリックス戦に3-4で敗れた。「2番・指名打者」でスタメン出場した大谷翔平投手(ドジャース)は、3打数無安打1三振。その掛け値なしの現状を、現役時代にNPB通算2038安打を放ち、現在MLB中継の解説などを務める野球評論家・新井宏昌氏が分析した。

「スタメンに名を連ねた“メジャーリーグ所属組”の野手4人は、いずれもオリックス投手陣の真っすぐに振り遅れていました。その中で試合中に対応して見せたのは、吉田正尚(外野手=レッドソックス)だけでした」と新井氏。普段MLBで日本の投手を上回るスピードボールを見慣れているはずの選手たちが振り遅れていたのは意外だが、「そこには共通の理由があったように思います」と語る。

 確かに、“3タコ”の大谷をはじめ、「3番・中堅」で先発した鈴木誠也外野手(カブス)も2打数無安打1四球、「4番・一塁」の村上宗隆内野手(ホワイトソックス)も3打数無安打1三振と音無しだった。

 まず新井氏は「私が広島の1軍打撃コーチを務めていた頃(2013年〜2015年)、チームに(ブラッド・)エルドレッド(内野手)という強打の外国人選手がいました。彼は『日本の投手の方がメジャーの投手よりも、手元で速さを感じる』と言っていました」と振り返る。「メジャーの投手は初速が速く、力強い真っすぐを投げる人が多いと思いますが、一方で、日本の投手にはスピードガンに表れないキレがあります。投球フォームの特徴も異なるので、メジャーの投手に目が慣れた打者にしてみれば、日本の投手の比較的ゆったりとした投球フォームからイメージする球と、実際の球の間にギャップが生じるのだと思います」と推察する。

オリックス戦で本塁打を放った侍ジャパン・吉田正尚【写真:加治屋友輝】
オリックス戦で本塁打を放った侍ジャパン・吉田正尚【写真:加治屋友輝】

吉田は第2打席でカットボールをソロ本塁打、第3打席で速球を右前打

 昨オフにポスティングシステムでヤクルトから移籍した村上には、まだメジャーでシーズンを過ごした経験がないが、新井氏は「ヤクルト時代とは打席での構えが変わりました。クローズドスタンスからスクエアに変わり、右足もあまり高く上げなくなりました。キャンプでホワイトソックスのコーチから指示されたのかもしれませんね」と“メジャー仕様”となっていることを指摘した。

 また、「もしかすると、メジャー所属組の打者は『日本の投手には変化球攻めをされるのでないか』と予想していた分、意外に数多く投げてきた真っすぐに差し込まれたのかもしれません」とも話す。

 特にオリックスの先発右腕・寺西成騎投手は初回、大谷に対し全6球ストレートで押し切り、左飛に打ち取った。4回の大谷の第2打席で対戦した左腕・田嶋大樹投手は、初球からチェンジアップ、スライダー、ツーシーム、カーブの順で1球ずつ異なる球種を投げ込み、5球目に外角高めの143キロのストレートで空振り三振に仕留めた。

 他の要因も考えられる。新井氏は「京セラドーム大阪で行われた試合でしたから。風などの影響を受けないドーム球場では、スピンの効いた速い球が失速しにくい傾向があります」との見解を示す。「私の現役時代(1992年に引退)には、ドーム球場は東京ドームしかありませんでしたが、捉えたと感じた球がファウルになってしまうことが多く、正直言って嫌いな球場でした」と明かす。

 そんな中で1人、吉田だけは、2回の第1打席こそ寺西の146キロのカットボールに詰まらされ三飛に倒れたが、5回の第2打席では九里亜蓮投手の内角低めのスライダーをとらえ、右翼5階席へ特大のソロを運んだ。7回の第3打席では、入山海斗投手の146キロの速球をジャストミートし、速い球足で一、二塁間を破って右前打を記録した。新井氏は「初対戦の投手に対しても、一番速い球にパッとタイミングを合わせる能力が高いのだと思います」と称賛した。

 いずれにせよ、来日して間もないメジャーリーグ所属組はこれから徐々に調子を上げていくだろうし、そもそも本番では外国人の投手が相手だ。WBCの大舞台で本来の打撃を存分に発揮してほしい。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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