岡本和真の送球ミスが“単なる失策”で済まない理由 WBCで命取り…球数増と途中降板招いた遠因|解説者の眼

チャイニーズ・タイペイ戦に「5番・三塁」で先発出場した岡本和真【写真:gettyimages】チャイニーズ・タイペイ戦に「5番・三塁」で先発出場した岡本和真【写真:gettyimages】

武田一浩氏が分析…13安打13得点の打線は「いいことしかなかったです」

 打線は文句なしも、ちょっとしたミスが気がかりだ。野球日本代表「侍ジャパン」は6日、東京ドームで行われた第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次ラウンド初戦、チャイニーズ・タイペイ戦に13-0で7回コールド勝ち。2度目の連覇に向け好発進した。

 現役時代にはNPB通算89勝をマークした右腕で、NHKのMLB中継などで解説を務めている野球評論家・武田一浩氏は「攻撃はいいところがたくさん出ました。いいことしかなかったです」と称賛。強化試合では安打が出なかった岡本和真内野手や村上宗隆内野手のバットからも快音が響き「1本出れば気持ちがいい。今後につながる」とさらなる爆発に期待を寄せた。

 2回に大量10得点を奪う中、近藤健介外野手が1イニングで2度凡退するなど、この試合は5打数無安打。前回2023年大会では打率.346、出塁率.500だった日本球界屈指の安打製造機がまさかの“蚊帳の外”も意に介さない。

「近藤選手はたまたまです。周りが凄く打って、1人だけ打てないのは“野球あるある”。みんな心配でしょうけど、大丈夫です。近藤選手が打たなくても、他にいい選手がいっぱいいます。近藤選手の状態も心配ないと思います」

 13安打で13得点。野手陣は充実ぶりを見せつけたが「あれはあんまり良くないですね」と気になるプレーが1つだけあった。

WBCではひとつのミスが命取り…過去には苦い記憶も

 3回1死で迎えた守備。相手の右打者が三塁線に放ったゴロをさばいた三塁・岡本が一塁にやや中途半端なワンバウンド送球。一塁・村上がはじいて失策が記録された。

 13点差がついて気が緩んだわけではないだろうが、僅差の展開だと試合の流れが一変しかねない失策。国際大会では1つのミスが命取りとなるケースがあるだけに「村上と岡本の送球は良くなかった」と繰り返した。

 しかも先発・山本由伸投手が2死一塁から連続四球を与え、この回途中で降板しただけに後味の悪さが残る。結果的に失策がなければ3者凡退。球数も抑えられた可能性が高く「エラーがなければ山本投手が代わることもなかったし(連続四球の)悪い部分もあまり出なかった」と振り返った。

2013年のプエルトリコとの準決勝、一、二塁間に挟まれタッチアウトとなった内川聖一【写真提供:産経新聞社】2013年のプエルトリコとの準決勝、一、二塁間に挟まれタッチアウトとなった内川聖一【写真提供:産経新聞社】

 WBCでは大事な局面でミスが出て敗れた苦い過去がある。2013年のプエルトリコとの準決勝。1-3の8回1死一、二塁の場面で、一塁走者だった内川聖一がスタートを切ったが、二塁走者・井端弘和(現監督)は動いておらず、内川は一、二塁間に挟まれタッチアウト。そのまま試合に敗れて3連覇を逃した。

 2017年の米国との準決勝では、0-0の4回に名手の二塁・菊池涼介が失策。ピンチを招いて先制点を許した。1-1の8回1死二、三塁では平凡な三ゴロを松田宣浩がファンブル。本塁に送球できず、勝ち越しを許して1-2で敗れた。

 接戦の時ほど、ほんのわずかなミスが勝敗を分ける。2006年の第1回大会で投手コーチとして世界一を経験した武田氏は、大勝スタートにも「あのエラーだけはいけません」と厳しい姿勢を忘れなかった。頂点をつかむためには、わずかな隙も見せてはいけないのである。

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