11連勝の裏で…日韓戦にあった変化 専門家が分析、かつての“天敵”を圧倒する差

大会連覇へ向けて監督・コーチに求められる「各選手の調子の見極め」
■日本 8ー6 韓国(7日・東京ドーム)
野球日本代表「侍ジャパン」は7日、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次ラウンドC組の韓国戦(東京ドーム)に8-6で競り勝ち、2連勝を飾った。MLBに所属する鈴木誠也外野手(カブス)が2発、大谷翔平投手(ドジャース)と吉田正尚外野手(レッドソックス)が1発ずつ本塁打を放つ豪快な勝ちっぷりに、専門家は隔世の感を覚えた。
初回に先発の菊池雄星投手(エンゼルス)がいきなり3点を奪われ、暗雲が漂った侍ジャパンだが、その裏にすかさず鈴木が“逆方向”の右翼席へ2ランを放ち1点差。3回には大谷が右中間へ同点ソロ、鈴木が2発目となる勝ち越し左越えソロ、吉田も右翼席へソロを運び、一気に試合の主導権を握ったのだった。
現役時代にNPB通算2038安打を放ち、引退後も名コーチとして鳴らした野球評論家・新井宏昌氏は「かつての日本は投手を中心とした守りのチームで、機動力を使ってもぎ取った少ない得点を守り抜くスタイルでした。しかし、MLBで2年連続50本塁打以上を記録した大谷、日本人の右打者で初めて30本塁打100打点をクリアした鈴木らが台頭したことで、豪快な勝ち方ができるようになりました」と指摘する。
韓国にはかつて、国際大会で何度も煮え湯を飲まされたことがあったが、これで引き分けを挟み11連勝。「以前はパワーに勝る韓国に大事なところで手痛い一発を食らい、敗れるケースがありましたが、力負けしなくなったことが要因だと思います」と新井氏は見ている。
2008年の北京五輪では準決勝の韓国戦で、同点で迎えた8回、イ・スンヨプ内野手(現巨人打撃コーチ)に勝ち越し2ランを浴び金メダルの可能性が消滅した。この試合などは、“かつての日韓戦”の象徴といえるかもしれない。
ただし、大会連覇を目指す日本だけに、新井氏は「1次ラウンド突破は大前提として、問題は舞台をアメリカに移した後(準々決勝以降)にどう戦うかです」と強調する。そういう意味で重要なのは「監督・コーチが各選手の調子を見極めること」だという。

「現状の鈴木の調子であれば、打順を1つ上げても十分こなせる」
初戦のチャイニーズ・タイペイ戦で13安打13得点、韓国戦でも7安打8得点で打ち勝った侍ジャパンの打線にあって、計8打数無安打と苦しんでいるのが、2番を任されている近藤健介外野手(ソフトバンク)である。そもそも敬遠されがちな大谷の後を打つ重圧は、並大抵ではない。
韓国戦では同点で迎えた7回、2死一、三塁の好機で貴重な四球を選び、鈴木の押し出し四球、吉田の2点タイムリーにつなげた働きもあった。しかし、「力みがあってボール球に手を出すこともあり、彼らしい打撃はできていません」と新井氏は見ている。そして「井端(弘和)監督は、信頼して2番を任せている近藤を今後も使い続けるかもしれませんが、選択肢は他にもあります」と指摘する。
「現状の鈴木の調子であれば、打順を3番から2番に上げても、大谷の後を打つ重責を十分こなせると思います。現在の打順を1つずつ上げて3番に吉田、4番に岡本(和真内野手=ブルージェイズ)、5番に村上(宗隆)を置けば、1番の大谷から左打者、右打者が交互に現れる“ジグザグ打線”にもなります」
さらに「近藤に代わって外野に佐藤(輝明内野手=阪神)か森下(翔太外野手=阪神)を入れ、下位の打順に置けば、打線に厚みが増すのではないでしょうか。走力に期待して周東(佑京外野手=ソフトバンク)をスタメンで使う手もあると思います」とも。
“打線は水物”で当てにはできないともいわれるが……大会開幕から圧倒的なパワーを見せつける侍ジャパンの打線には、まだ改善の余地まであるというわけだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)