侍Jの起用は「不思議だった」…意図見えるも重なった条件 専門家が指摘した“誤算”

勝敗を分けた“ブルペンの差”
■ベネズエラ 8ー5 日本(日本時間15日・マイアミ)
野球日本代表「侍ジャパン」は14日(日本時間15日)、米国フロリダ州マイアミのローンデポパークで行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準々決勝・ベネズエラ戦に5-8で敗れ、大会2連覇の夢は幻に終わった。3回に森下翔太外野手(阪神)の3ランで3点リードしたが、それ以降は得点を奪えず、逆に伊藤大海投手(日本ハム)らリリーフ陣が持ちこたえられず、逆転を許した。現役時代にNPB通算2038安打を放ち、MLB中継の解説などを務める野球評論家・新井宏昌氏は2番手・隅田知一郎投手(西武)の起用に首を捻った。
ベネズエラに逆転負けした試合を振り返って新井氏は「やっぱりブルペンの投手ですね」と指摘した。「ベネズエラは2番手以降が好投しましたけど、日本のピッチャーは2番手以降がほぼ失点しているので、その差が出ました。4回まで5-2でリードしていましたから、本来でいけば、その後、小刻みな投手リレーでその点差を守っていくっていうのが、ジャパンの野球になるんじゃないかと思っていたんですけど、向こうの打線が好調でしたね」。
ベネズエラ打線は1次ラウンドの対戦相手とはかなり違っていた。「日本の投手たちは速い球と落ちる球のコンビネーションでやってくるっていうようなことが、データとかそういうので知られていると思うんですけど、低めに落ちるいい球を投げてもなかなか手を出してくれず、見逃されていました。今大会は(審判が)低めをあまりとってくれないというのもありましたしね」と日本投手陣が研究されていたのも苦しい展開につながったとみている。
その上で新井氏はポイントとして、5回に2番手の隅田がガルシアに2ランを浴びて1点差に迫られたシーンを挙げた。「彼も低めにいい球を投げていたんですけど、粘られて、緩急をつけて裏をかこうかなっていう真っ直ぐを見事にホームランされてしまったんじゃないかと思う。あれでベネズエラ打線はまだ行けるぞ、逆転できるぞっていうふうな雰囲気になってしまった。あれが大きかったですね」。

計り知れぬ重圧…WBCは「精神的に厳しい」
そして、その隅田の2番手起用ついて「ちょっと不思議だった」と付け加えた。「ベネズエラ打線って左打者が少なくて右打者が多いのだから、僕は先に(2番手で)伊藤投手なのかなと思っていた。まぁ、隅田投手もチェンジアップなどをうまく投げるピッチャーなので、右打者の方がより有効に効くのではないかって判断だったとは思いますが、彼はそこまで代表の経験は多くないので、そういった面でも伊藤投手を先に行った方がって思ったんですけどね」。
負けたら終わりの一発勝負はかなりの重圧との戦いでもある。「山本由伸投手(ドジャース)みたいに大きな試合を何度も経験している人でも、(先発したこの日の)立ち上がりはボールを操れていませんでしたからね。(2番手の)隅田投手がいきなり(先頭打者に)フォアボールを出したのも、そういうところがあったのかなと。(日本からの)長距離移動、時差もあったし、いろんな条件が重なって初めて経験する人たちにとってはちょっと精神的に厳しいところがあったのかなと思います」。
5-4の6回に4番手で登板した伊藤は痛恨の逆転3ランを浴びたが「3点差があるのと1点差では気持ちがまた変わります。厳しくなりますよね」と新井氏は言い、さらに「(4回2失点、69球で降板した)山本投手ももう1イニングはいけるはずだったんですけどね」とも。もちろん、結果論ではあるとはいえ、国際大会における投手リレーの難しさも浮き彫りになっての敗戦だったとはいえそうだ。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)