開幕3連敗の中日は「優勝まであるかも」 打線不発も…元MVPが太鼓判、阪神王朝を崩す可能性

中尾孝義氏が見た今季の中日「当然、一発は増える」
昨年、3年連続最下位から4位に浮上した中日は、開幕カードでまさかの3連敗を喫した。ただ、シーズンはまだ始まったばかり。1982年に捕手としてMVPに輝き、中日優勝の立役者となった野球評論家の中尾孝義氏は「セ・リーグは連覇を狙う阪神の力がやっぱり抜けています」と認めたうえで「今年の中日なら上位争いだけでなく、優勝まであるかもしれない。僕はそう考えています」と古巣を強烈に推している。
今季の中日に起きた最大の変化は、バンテリンドームに新設された「ホームランウイング」と言えるだろう。昨年まで、バンテリンドームは12球団の本拠地のなかで、本塁打の出にくい球場として知られていた。外野テラス席「ホームランウイング」が設置されたことで、本塁からの距離は右中間、左中間ともに最深部が116メートルから110メートルへと短縮。外野フェンスの高さも4.8メートルから3.6メートルと低くなった。
中尾氏は、ホームランウイングがチーム全体に好循環をもたらすと予測する。「シンプルに一発は増えるでしょう。もちろん、中日の打者だけでなく相手チームも増えると思います。バッテリーの配球も変わります。逆方向に流してのホームランも警戒しないといけない。その辺りがどうなるかですが、中日は投手が多いから有利に働いてくるはず」と、メリットを強調した。
投手陣は、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で侍ジャパンの一員として戦った高橋宏斗、金丸夢斗のさらなる成長が望め、柳裕也、大野雄大、松葉貴大ら実績あるベテランも名を連ねる。開幕2戦目の広島戦(マツダスタジアム)では、ドラフト2位の桜井頼之介が7回1失点の好投を披露。怪我で出遅れている抑えの松山晋也が復帰すればさらに厚みが増す。
打線の中心となる細川成也、ジェイソン・ボスラーの両外野手は、もともと長打力を備えており、テラス席の恩恵を受けるケースも増えそうだ。また、メジャー通算164本塁打の新助っ人ミゲル・サノーの活躍も楽しみなところ。中尾氏は「当たればホームランの魅力がある。中日でもプレーしたトニ・ブランコみたい。まだ、彼ほどの選球眼はないけどね」と言及。ボール球を巧みに使う日本の野球への対応力が、サノーが結果を残す鍵になると見ている。
中日は昨年まで6年連続で総得点がリーグ最少。今季の開幕3試合も、5点、1点、無得点と不安な船出となった。中尾氏は捕手視点で課題を指摘する。「低めのボールをどれだけ見極められるか。ずっと見てて、狙ってもない球を2ストライクに追い込まれてもないのに、やっぱり振っちゃう。相手バッテリーからしたら、ものすごく楽なんです。指導者が選手たちに我慢できるヒントを与えなきゃいけない。そうすれば得点力が上がりますよ」。松中信彦、小池正晃の打撃コーチ2人の手腕に注目する。
阪神は「下位打線が弱い」、背番号9の後輩捕手・石伊に期待
守備面では“扇の要”となる捕手の固定を提言する。自身が現役時代につけていた背番号「9」を引き継ぐ石伊雄太は昨年85試合出場。「ルーキーだった昨年1年間で色んな事に慣れ、今年は落ち着いてやれると思います。25歳と他の捕手に比べて若いし可能性がある。がんがん使って欲しい」と期待をかける。
中尾氏は専大からプリンスホテルを経て中日に入団。プロ1年目はBクラスも2年目に優勝を経験した。石伊も中尾氏と同じように大学(近大)、社会人(日本生命)を経て、2024年ドラフト4位で中日に入団した。「僕と似通っている点が多いんだよ。大学、社会人を経験してプロ入り。石伊も今年2年目で優勝……って期待したくなるよね」。
中尾氏は、前年覇者の阪神について「昨シーズンの話をして申し訳ないんだけど、主力がほぼ怪我なく個人の役割を発揮していた。100%に近いほどです。他球団に故障者が出た影響もあり、阪神の独走になった。ただ、日本シリーズを見ていると下位打線が弱さが目立った。それは今年もあまり変わらない」と付け入る隙はあると語る。中日は昨年、リーグで唯一阪神に勝ち越しているだけに期待は大きい。
中日は昨季、本拠地主催試合の観客動員数が252万832人と球団最多を記録した。「名古屋独特の地元意識があるんですよね。本当にすごい。選手にとって声援は力になり、燃えます。ありがたいことです」。そして中尾氏はこう続けた。「優勝する時って、何かのきっかけで選手とファンのムードがどんどん盛り上がっていくんですよ。中日の優勝、あるかもしれないよ」。開幕3連敗からの逆襲に期待がかかる。
(西村大輔 / Taisuke Nishimura)