ベネズエラは「犯罪的に過小評価されている」 侍Jの敗戦…米国内でのリアルな受け止め「対抗できるとは…」

  • 笹田大介 2026.03.31
  • MLB
ベネズエラの初優勝で幕を閉じたWBC【写真:ロイター】ベネズエラの初優勝で幕を閉じたWBC【写真:ロイター】

日本を優勝候補に挙げる識者もいたが…ベネズエラに敗戦は「全く驚かず」

 ベネズエラの初優勝で幕を閉じた2026 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。侍ジャパンが準々決勝で、そのベネズエラに敗れたことは、米国のメディアやアナリスト、多くのファンが衝撃を受けた。WBCで初めて準決勝進出を逃すことになった侍ジャパンは実際のところ、どう見られていたのか。そして、大会を重ねるごとに他国の本気度があがっていく中、次回大会での覇権奪回は可能なのか。現地のリアルな声を拾った。

 米国内で日本の下馬評は高かった。MLBのスーパースターである大谷翔平投手や山本由伸投手(ともにドジャース)を擁するディフェンディングチャンピオンについて、米メディア「ジョンボーイ・メディア」の創設者であるジミー・オブライエン氏をはじめとする多くのコメンテーターが優勝候補に挙げていた。

 さらに、準々決勝・ベネズエラ戦の試合前に放送された米ポッドキャスト番組「ファウル・テリトリー」では、元メジャーリーガーのトッド・フレイジャー氏(元メッツなど)とエリック・クラッツ氏(元ヤンキースなど)が、日本が勝利すると予想していた。クラッツ氏は先発投手のマッチアップとして、レンジャー・スアレス投手(レッドソックス)よりも山本を高く評価。フレイジャー氏は大谷が打線を牽引して勝利に導くと確信していたが、ベネズエラの強力打線と強固なリリーフ陣に日本は圧倒され、力の差を見せつける結果となった。

 試合後には現地でリアルな評価が次々と下された。

「ジョンボーイ・メディア」のポッドキャスト番組「ベースボール・トゥデイ」に出演した元メジャーリーガーのトレバー・プルーフ氏(元ツインズなど)は驚きの結果ではないと言い切っている。

「実際のところ、彼ら(ベネズエラ)が勝ったこと自体には全く驚かなかったよ。ベネズエラのロースターを見ればわかることだ」

 さらにプルーフ氏は「アメリカ、ドミニカ共和国、そしてベネズエラは、正真正銘のメジャーリーガー、しかも現役のメジャーリーガーが揃っているチームだ。日本のチームは、ある程度のメンバーはいるものの、メジャーリーガーでフルメンバーが構成されているわけではない」と説明。日本のロースターは今回のWBCにおいてトップランクではないと主張した。

WBCで初優勝を果たし歓喜に沸くベネズエラナイン【写真:ロイター】WBCで初優勝を果たし歓喜に沸くベネズエラナイン【写真:ロイター】

 ラテン系選手やその野球文化全般を取り上げることで知られる「ジョンボーイ・メディア」のトークショー「トータル・ベースボール」では、ジョセフ・ソラノ氏(ネット上ではYouTuber「ジョーズ・マクフライ」として知られる)が、ベネズエラ代表チームは「犯罪的に過小評価されている」と強調。実際に、ベネズエラの打線はメジャーリーグのオールスター選手や、ゴールドグラブ賞、シルバースラッガー賞の受賞者で溢れていたが、ソラノ氏はその点を踏まえた上でブルペン陣も称賛した。

「5点を失った後に登板した投手は皆、無失点に抑えた。ベネズエラのブルペンから繰り出される強力な投球に日本が対抗できるようには見えなかった」

スパースターが公言「WBCで優勝することはワールドシリーズで優勝することよりも重要」

 アメリカ、ドミニカ共和国、ベネズエラのロースターは、いずれもメジャーリーグのオールスター選手で埋め尽くされ、今大会ではその打力や強力な投球で他国を圧倒できることを証明した。日本も東京ラウンドでは台湾、韓国などの相手をスコアボード上では圧倒したが、対戦したチームのロースターはメジャー級の球速や強打と日常的に対戦したことのないメンバーばかりであり、その中で4連勝を収めてきただけであったとも言える。

 2006年の第1回大会開催から20年の節目を迎えた今大会。大会創設当初は、アメリカやラテンアメリカの選手の間で、どちらかといえば「エキシビション(親善試合)」と見なされていた。しかし現在、WBCははるかに大きなイベントへと成長。若手選手の多くが、WBCを観戦しながら育ってきたことがその要因になっていると言われる。

ドミニカ共和国代表のスーパースター、フリオ・ロドリゲス【写真:ロイター】ドミニカ共和国代表のスーパースター、フリオ・ロドリゲス【写真:ロイター】

 マリナーズのスーパースターであるフリオ・ロドリゲス外野手(ドミニカ共和国)は「WBCで優勝することはワールドシリーズで優勝することよりも重要だ」と公言している。特に、2013年にドミニカ共和国代表がWBCで優勝した際、その勝利が国にもたらした影響を目の当たりにしたことが大きかったそうで、「これは私の国のため、私の町のため、そして近所の皆のためだ。だから、WBCで優勝することが一番だと言える」と語った。

 また、同じドミニカ共和国のカルロス・サンタナ内野手(ダイヤモンドバックス)は、WBCに出場することとワールドシリーズ優勝を目指すことの違いをさらに明確にし、「プレーオフは単に勝つために競技者としてプレーするだけだ。だが、ここ(WBC)では、祖国への情熱がある」と熱く訴えかけていた。

 20年の歳月が経ち、MLBに所属するアメリカやラテンアメリカの選手のWBCに対する情熱は確実に高まっている。こうした選手たちがWBCで勝つことをさらに重視するようになれば、今後、侍ジャパンはますます厳しい戦いを強いられることになるだろう。そう感じさせられる大会となった。

(笹田大介 / Daisuke Sasada)

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