救われた母の命…忘れぬ大谷翔平の「もちろん力になるよ」 元ドジャース右腕の尽きぬ感謝「彼は人間としても最高」

  • 小谷真弥
    小谷真弥 2026.04.04
  • MLB
ドジャース・大谷翔平(左)とナショナルズのガス・バーランド【写真:黒澤崇】ドジャース・大谷翔平(左)とナショナルズのガス・バーランド【写真:黒澤崇】

元ドジャース・バーランドの母親が難病に…チームミーティングで告白

 大谷翔平投手へ、恩返しの3球だった。元ドジャースでナショナルズのガス・バーランド投手は3日(日本時間4日)、本拠地でのドジャース戦の5回途中から2番手としてマウンドへ上がった。大谷とは1死満塁の絶体絶命のピンチで対戦し、フォーシーム2球で追い込む。最後は97.0マイル(約156.1マイル)のフォーシームで空振り三振に仕留めた。

「僕はラッキーだっただけだよ」

 この日の投球内容は打者5人に対して2安打、1奪三振1四球。チームは13失点で大敗したとあって、試合後は短い言葉で振り返った。

 バーランドは2023年にブルワーズでメジャーデビュー。同年5月下旬にドジャースへ移り、大谷とチームメートとなった2024年はメジャーとマイナーを行ったり来たりする日々だった。

 そんな時だった。現在57歳の母を病魔が襲った。難病の「アミロイドーシス」。アミロイドと呼ばれる線維状の不溶性タンパク質が、心臓など全身の様々な臓器に沈着して機能障害を引き起こす病気だ。

 1歳年下の弟ルイス・バーランド投手も、現在はブルージェイズに所属するメジャーリーガーだが、当時メジャーとマイナーを行き来する日々。当然、母の難病を治すだけの治療費を持っていなかった。

ドジャース時代のバーランド【写真:アフロ】ドジャース時代のバーランド【写真:アフロ】

 母を助けてください――。バーランドはドジャースのチームミーティングで母が難病におかされていることを告白。資金を調達するため、クラウドファンディングを立ち上げたことも報告した。

「寄付を強要したわけではなく、『もし助けたいと思ってくれるなら』と話したのですが、他の多くのチームメートと共に、ショウヘイも支援してくれました」

日本に親しみ「ショウヘイとも少しアニメの話をしたことがあります」

 米ミネソタ州メープルウッド出身の29歳。アジア系アメリカ人が多く住み、大谷とチームメートとなる前から日本には親しみがあった。

「アニメをよく見るので、日本語も少しだけフレーズを知っています。『ありがとう』『こんにちは』とか。アニメはONE PIECE、ちびまる子ちゃん、呪術廻戦、HUNTER×HUNTER。とにかくアニメが大好きなんです。ショウヘイとも少しアニメの話をしたことがあります」

 アニメを通じて交流していた二刀流が、母のために手を差し伸べてくれた。

「『大変な状況にあることをお気の毒に思う』と優しい言葉をかけてくれて、チーム全員の前でその話をした私の勇気を称えてくれました。そして『もちろん力になるよ』と言ってくれました」

 クラウドファンディングは大成功。化学療法や手術など「癌とよく似た治療」(バーランド)を繰り返した。

「今は寛解していて、母はとても元気です。1か月ほど前に最後の手術を終え、化学療法など全ての治療が終わったことをとても喜んでいます」

 2人のメジャーリーガーを育て上げた母は、全快になりつつあるという。

「ショウヘイには『全てに感謝している』と伝えたいです。彼は人間としても選手としても最高です。フィールド内外を問わず、最高の男です。まさに『GOAT(史上最高)』ですね」

「母とショウヘイはまだ会ったことがないんだ。僕もドジャースにいた時ほど多く連絡を取れていないけど、次に会った時はハグを交わしたいと思ってます」

 バーランドは2018年ドラフト14巡目、全体413位からメジャーまで這い上がってきた。今季は2年ぶりのメジャーで、「ドジャースではプロのアスリートとしてのあり方を学びました。自分ではない誰かになろうとするのではなく、自分自身のベストを尽くすべきだと教わりました。今年はキャンプ中盤から非常に良い状態です」。ブレークを期する29歳の苦労人は、笑顔満開だった。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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