ド軍が“破壊”した相場 日本企業と199億円以上の契約…大谷翔平がもたらした爆益

伝統の維持か商業的利益か…メジャー他球団が示す命名権への慎重な姿勢
ドジャースが衣料品大手ユニクロと結んだパートナーシップ契約が、球界の勢力図を塗り替えている。本拠地にユニクロフィールド・アット・ドジャースタジアムの名称を冠する5年契約は、総額1億2500万ドル(約199億円)以上と報じられた。米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」のサム・ブラム記者は、一部のファンが「アイデンティティの取り違え」と複雑な心境を抱いている現状を伝えた。
メジャーリーグでは、全30球場のうち3分の2以上が何らかの命名権契約を結んでいる。一方で、ヤンキースタジアムやフェンウェイパークなど、伝統を重んじて名称を維持する球場も存在する。経済学者のアンドリュー・ジンバリスト氏は、フェンウェイの価値を下げることはレッドソックスの価値も損なう重大なことだと指摘。それに対し、ドジャースは命名権の扱いにおいて「異なる計算」をしたわけだと分析した。
レッドソックスのエグゼクティブ・バイス・プレジデント、トループ・パーキンソン氏は「我々にとって、フェンウェイパークは独自のカテゴリーに属するのです」と強調した。チームと街のアイデンティティの一部である名称を変更するハードルは極めて高く、社内で検討されたこともないという。しかし、現在の野球界においてドジャースは、こうした伝統球団とは一線を画すビジネスモデルを構築し、収益化を加速させている。
今回のユニクロとの契約は、球場名そのものを変更するものではなく、期間もわずか5年と短いが、年間平均額は他球団を圧倒している。メッツがシティバンクから受けている年間2000万ドル(約31億8500万円)の命名権料よりも、少なくとも年間500万ドル(約7億9600万円)も高い計算となる。レイズなどの長期契約と比較してもその差は歴然で、同メディアの報道によれば、ドジャースが市場の相場を大きく上回る好条件を引き出したことは間違いない。
ドジャースが強気な姿勢を崩さない背景には、圧倒的な収益力がある。米メディア「スポルティコ」によると、球団価値は過去1年で17%上昇し、90億ドル(約1兆4300億円)に達した。大谷翔平投手の加入により、日本市場との繋がりが強固になったことが最大の要因だ。チケットや駐車場代の値上げに加え、高額な記念カップを販売するなど、需要と供給の現実を最大限に活用し、他球団とは異なる経済圏の中で運営されている実態が浮き彫りとなった。
ジンバリスト氏は「(ドジャースは)選手たちのおかげで、おそらく史上最高の選手であるショウヘイ・オオタニのおかげで、日本とのそのつながりのおかげで、さらなる交渉力を持っています」と分析した。ドジャースは世界的なブランドとして君臨し、命名権においても「完全に異例なこと」を成し遂げた。伝統の維持よりも商業的な成功を優先する現在の経営方針は、大谷という至宝を手にしたからこそ可能な、冷徹なまでの選択だといえる。
(Full-Count編集部)