荒木雅博氏も認める「未知数」の才能 中日に眠る“逸材”…中村奈一輝がレジェンドの背中をあえて追わない理由

18日のDeNA2軍戦に出場した中日・中村奈一輝【写真:木村竜也】18日のDeNA2軍戦に出場した中日・中村奈一輝【写真:木村竜也】

184センチの長身内野手に宿る底知れぬ可能性

 若き才能が、泥にまみれながら必死に未来を切り拓いている。2024年に宮崎商から育成1位で中日に入団した中村奈一輝(ないき)内野手は、背番号202を背負い2年目のシーズンを戦っている。17日の2軍DeNA戦では4打数3安打をマーク。10試合で打率.333と、着実にステップアップを続ける19歳の現在地に迫った。

 今季、最も手応えを感じているのは「振る力」の向上。昨季はファームで51試合に出場し、打率.265、4打点。自らの課題を明確にしてオフの自主トレに臨んだ。

「昨年よりもバットが振れている感覚があります。少し体が大きくなって、振る力がつきました。ボールに負けない、速い球に負けないというところで、自主トレの成果を感じています。筋肉量は4キロぐらい上がったんです。全体的に体が1段階上がったかなという感覚です」

 筋肉量の増加は、そのまま技術的な余裕へと繋がっている。「速い球に振り遅れずアジャストできています。それが余裕にも繋がっていると思います。17日の3安打も、今日(18日)の打席内容も別に悪いことじゃなかったと思います」。

 18日のDeNA戦は4打数無安打に終わったものの、飯山裕志2軍監督は「作戦の部分はしっかり決めてくれました」と貢献度を評価した。

名手・荒木雅博氏と「被るものがある」

 プレースタイルや風貌に対し、スタッフや裏方からは中日の黄金時代を支えた名手・荒木雅博氏と「被るものがある」という声も上がっている。中村自身も「よく言われるんです」とどこか嬉しそうに笑顔を見せる。

 荒木氏本人は、中村の持つポテンシャルに大きな期待を寄せている。「肩、スローイングがいいなという印象がありますね。内野手として体が大きいところはとても期待しています」と話す。

“似ている”と言われることについては、「周りが言っている分には楽しみにしてますよ」と、はにかみつつ「ただ、僕らが『こういう選手』という枠を作らないようにしたいですね。僕らが思っている以上の、未知数のものを持っている可能性がありますから」と評価は高い。

春季キャンプで汗を流す中村【写真:栗木一孝】春季キャンプで汗を流す中村【写真:栗木一孝】

「憧れを持たない」という独自のポリシー

 当の中村には、独自のポリシーがある。「(似ていると言われることは)とてもありがたいですが、特に憧れとかはないんです。参考にはしたいとは思いますけど、あえて憧れない、みたいな。憧れたら超えられないですから」。大先輩への敬意を払いつつも、プロの世界で戦う覚悟が滲む。

「憧れの選手とかよく聞かれるんですけど、憧れとかはないんです。プロに入ったらもう一緒なので。ライバルですし。結局1軍のレギュラーで出ている選手を抜かないといけない」

 プロの世界は、相手を蹴落としてでも這い上がる場所。弱冠19歳にして地に足の着いた考え方の根底には、自らの未熟さを痛感した1年目の日々がある。

「高校では守備も上の方でやれていた自負がありましたけど、プロに入って自分の未熟さを感じました。1軍を経験している選手たちは試合と練習で同じようなプレーができる。そこが自分には足りない。やり込んでいるんだなと感じました。そういうところは心に来るものがありました」

支配下への道筋は…飯山監督「安定してプレーができるようになれば」

 育成選手にとって、第一の目標は支配下登録を勝ち取ることだ。「全体的にレベルアップしないといけないですが、支配下になるということは『1軍で使える選手』と認められること」。支配下のその先を見据えながら、自分の武器の磨き方を冷静に分析する。

「打撃は水もので波がありますが、守備と走塁には調子の変動がない。走攻守の3つのうち、2つを認められれば1軍に近づける。今はその2つを重点的にやっています。守備を磨けば打撃も良くなるという言葉を信じてやっています」

 将来的な目標として掲げるのは「3割、15本、30盗塁」。トリプルスリーを視野に入れつつも、現実的な到達点としてこの数字を見据える。飯山2軍監督も「常に可能性を秘めていると思って見ていますが、一瞬で何かをという判断はしないようにしています。一番の課題は安定性。ムラをなくし、安定してプレーができるようになれば支配下が見えてくる」と、継続的な成長を求めている。

 食事中も1軍の試合を欠かさずチェックし、ライバルでもある先輩たちの動きを目に焼き付ける。鋭い中村のまなざしは、まっすぐ前を向いている。

(木村竜也 / Tatsuya Kimura)

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