鷹・山川穂高が「勘弁してくれよ」 駐車場で思わず…復活した西武29歳の新魔球

ジャイロ系のスライダーとシンカーを新たに加え、スイーパーも改良
■西武 10ー2 ソフトバンク(6日・ベルーナドーム)
西武・高橋光成投手が6日、ベルーナドームで行われたソフトバンク戦に先発し、6回2安打無失点の快投で今季リーグ最多タイの4勝目(2敗)を挙げた。防御率も0.84とし、リーグ単独トップに躍り出た。2021年から3年連続2桁勝利を挙げた後、2年間不振だったが、見事に“第2次進化”を遂げている。
試合終了後、帰途に就こうとする高橋光を駐車場内で、3年前までチームメートだったソフトバンク・山川穂高内野手が呼び止めた。「光成! スライダー、ばり曲がるやないか。やばいだろうが、あれ。何投げてんの。勘弁してくれよ」。これに高橋は「ギュンギュンでした」と余裕の笑みで返した。
今季の高橋光は、新たにジャイロ系で縦に落ちるスライダーと右打者の内角に食い込むシンカーを球種に加え、さらに横に大きく曲がるスイーパーにも改良を施し、投球の幅を広げてイメージチェンジに成功している。山川が驚いたのは、スイーパーの方だ。
この日は、昨季8打数4安打(対戦打率.500)1本塁打とカモにされ、今季も過去2試合で6打数2安打(同.333)と打たれていた栗原陵矢内野手を“スイーパー攻め”で翻弄した。初回の第1打席は5球中4球がスイーパーで、空振り三振。4回の第2打席も、初球の内角高めのスイーパーを打たせて右飛に仕留めた。
2回には先頭の柳田悠岐外野手、続く山川をいずれもスイーパーで連続空振り三振させ、さらに続く川瀬晃内野手に対しては、スイーパーを意識せざるを得ない状況で、カウント1-2から内角低めに151キロのストレートを投げ込みバットを出させず、3者連続三振に斬って取った。
味方打線は2回に、2年目の渡部聖弥外野手の4号満塁弾などで一挙8得点と強力援護。3回の守備でソフトバンク・笹川吉康外野手が放った打球がワンバウンドで高橋光の右膝付近に当たったこともあって、6回73球で降板したが、相手打線を全く寄せ付けなかった。「(右膝は)大丈夫です!」と笑顔が弾けた。
3年連続2桁勝利も一昨年0勝11敗、昨季も黒星が先行していた
チームは昨季覇者で年間8勝17敗と苦汁をなめたソフトバンクに、今季開幕から3カード連続勝ち越し(6勝3敗)。とりわけ、ソフトバンクに1完投を含め3戦3勝、対戦防御率0.39(計23イニング1失点)をマークしている高橋光の貢献度は高い。
大石達也投手コーチは「ジャイロ系のスライダーとシンカーが加わったこともそうですが、昨季まで高めにこだわりがちだった配球で、高めと低めの両方をうまく使うようになったことも好調の要因かなと思います」と指摘する。
バッテリーを組んだ古賀悠斗捕手は「新しい球種をしっかり自分で操れているところが凄いと思います。高めと低め、さらにスイーパーによって横にも投球の幅が広がっている。光成さん自身、試合で投げて成功体験を積み重ねることによって、どんどん自信をつけているところだと思います」と称賛した。
高橋光は2021年から3年連続2桁勝利を挙げ、リーグを代表する存在にのし上がったが、一昨年まさかの0勝11敗(防御率3.87)。昨季も8勝9敗(防御率3.04)と黒星が上回り、オフにはポスティングシステムを申請しながら、念願のメジャー移籍を断念したが、今季はまさに別人のような投球を続けている。
これまでタイトルに縁がなかったが、今季は開幕から1か月以上を経過し、勝利数と防御率で先頭を走っている。高橋光成の才能がフルに開花するのは、29歳で迎えたプロ12年目の今季なのかもしれない。