1年で退団も…気に掛けるヤクルトの戦い「いい試合しているよね」 大谷翔平に投げ勝ち“日本から届いた連絡”

6日のドジャース戦で今季2勝目を挙げたアストロズのピーター・ランバート【写真:黒澤崇】6日のドジャース戦で今季2勝目を挙げたアストロズのピーター・ランバート【写真:黒澤崇】

投手陣が“火の車”のアストロズで…ピーター・ランバートが存在感

 ドジャースの大谷翔平投手に投げ勝ったのは“元助っ人”だった。5日(日本時間6日)にヒューストンで行われた試合で、アストロズの先発投手としてマウンドに上がったのはピーター・ランバート投手。昨季ヤクルトでプレーした右腕は7回無失点の好投で、チームの2-1の勝利に貢献。大谷と渡り合うどころか、白星まで手にした。さらに試合後、快投の興奮を倍増させた日本との“絆”を教えてくれた。

 奪三振は4つにすぎない。うまくゴロを打たせながら、バックの好守にも支えられた。日本時代からの「カットやツーシームを増やしたんだ」という“微調整”も生きた。すると打線は防御率0点台の大谷からクリスチャン・ウォーカーとブレイデン・シューメイクがソロ本塁打を放ち援護し、ランバートが今季2勝目を挙げた。

 試合後のロッカールーム。ランバートは「気分ですか? 最高ですよ!」。さらに、その気分を増幅する出来事もあったのだという。

「日本で僕の通訳だった人が、すでにメールをくれたのもうれしかったね。もちろん、良い試合だったからそれもすごくうれしいよ」

 ランバートは昨季ヤクルトでは3勝11敗、防御率4.29。決して思い通りの成績を残せたとは言えなかった。2015年のドラフト2巡目でロッキーズ入り。2020年には右ひじのトミー・ジョン手術を受けるなど、平坦ではないプロ生活を歩いてきた。2023年からの2年間はほぼメジャーに定着し、次に選んだのが日本のプロ野球だった。ヤクルトが低迷していたことから9月に一足先に帰国したものの、いい思い出ばかりだという。

ヤクルト時代のランバート【写真:小池義弘】ヤクルト時代のランバート【写真:小池義弘】

「東京という街での生活全体を楽しんだね。表参道のすぐ近くに住んでいたけれど、あの通りの店や食べ物はすべて最高だった。ジャパニーズ・バーベキュー……そう、ヤキニクは最高だよ。六本木とか、いろいろなところで食べたよ」

 日本生活での宝物を「チームメートたちと過ごした時間かな。みんな素晴らしい人たちだった」と友情に感謝する。そう言える境地へ至るには、最高の伴走者がいた。「僕の通訳も、他の通訳もみなすごくいい人たちで、よく一緒に出かけていたよ。それが一番よかった部分かと思う」と、日本での生活を支えてくれたスタッフへの感謝を忘れない。その経験から、野球選手が海外で活躍するために必要なことも滑らかに口をつく。

「最も大切なのは、心地よくやることだと思う。大きな違いがあるからね。アメリカから日本に行くのも、日本からアメリカにやってくるのも、ライフスタイルが大きく変わる。様々な“新しいこと”にどう慣れるかだと思う

ヤクルトの成績もチェック…ファンへの感謝「すごく良くしてくれた」

 今も、古巣ヤクルトの成績はチェックしている。今季序盤、首位に立つような戦いを繰り広げているのも知っている。「ええ、今でも追いかけていますよ。詳細な成績までは追い切れていませんが、試合の速報などはチェックしています。彼らは非常にいいプレーをしていますね」。一緒に戦っていた若手選手が躍動する姿に思いを馳せる。

「とてもいい試合をしているよね。今年は若い選手たちが数人、波に乗っているように見えるから、いいことだと思う」。大谷のテレビ中継を見て、マウンドのランバートに気づいたファンにも「スワローズファンが恋しいよ。去年、僕に対してすごくよくしてくれたから。みんなにとって、すべてがよくなる年であることを願っているよ」とメッセージを送る。

ヤクルト・内山壮真【写真:加治屋友輝】ヤクルト・内山壮真【写真:加治屋友輝】

 さらに今季は、同僚だった村上宗隆内野手がホワイトソックスで本塁打を量産し話題だ。同じリーグで、今後対戦する可能性もあるが「あれだけ打つかもしれないとは思っていた。とんでもないパワーを持っているから。こっちでそれを披露できているのはいいと思う」と当然のように受け止めている。

 ランバートは昨オフにヤクルトを退団すると、アストロズとマイナー契約を結び米球界に戻った。開幕は3Aシュガーランドで迎えたものの、アストロズ投手陣は開幕から火の車。4月17日にメジャー昇格を果たし、先発ローテーションに加わった。これが4試合目の登板で、2勝2敗の星を残している。

 アストロズは現在、チーム防御率が5.67でメジャー最下位の惨状。先発陣が早々に崩れ、ブルペンに負担が集中する展開が続いている。投げられるリリーフの頭数をそろえるために、3Aとの入れ替えも頻繁に行わざるを得ない悪循環だ。だからランバートの好投を、ジョー・エスパーダ監督は「非常に強力な打線を相手に、本当に素晴らしい仕事だ。これぞまさに“根性”だよ」と手放しで称えた。ランバートも役割は心得たものだ。

「先発投手の最初の目標は、長いイニングを投げること。特に、ブルペンが打ち込まれている状況で迎える今日のような試合では、それがより重要になる。だから、ストライク先行、積極的にゾーンで攻める、早いカウントでアウトを取ってイニングを進める、というのは確実にゲームプランの中にあったよ」

 アストロズには西武からポスティング移籍した今井達也投手も在籍している。ランバートがヤクルトでの経験で感じた「活躍するための方法」を伝えることもあるかもしれない。大谷翔平との投げ合いで得た自信が、低迷するチームを後押しするか。

(羽鳥慶太 / Keita Hatori)

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