DeNA捕手陣…ファームにいる「頼もしい存在」、古市尊が吹かせる“風” 村田修一2軍監督も絶賛「明確な意図が見える」

人的補償で西武から加入した古市尊【写真:町田利衣】人的補償で西武から加入した古市尊【写真:町田利衣】

桑原将志の人的補償で西武から加入したプロ5年目の23歳

 12日に発表されたDeNA・山本祐大捕手のソフトバンクへの電撃トレードは、プロ野球ファンに大きな衝撃を与えた。今後は高卒4年目の松尾汐恩捕手にかかる期待が大きいのは当然のことだが、ファームにいる23歳の存在も見逃せない。FA移籍した桑原将志外野手の人的補償で西武から加入した古市尊捕手だ。

 ファームの試合中、ベンチで辻俊哉2軍バッテリー戦術・育成コーチと積極的に会話する姿がある。そんな古市のもとに打者たちが頻繁に訪れる。「僕、結構打席で(球種を)張ったりするんですけど、打席前に『何がくると思います?』とか『何狙うんですか?』とか野手に聞かれることは多いです。西武ではあまりなかったんですけどね」。まさに“新しい風”を吹かせている。

 村田修一2軍監督は「新しい球団で、すごくピッチャーとうまくコミュニケーションを取ってくれています。積極的に話しに行ってリードしてくれている。ピッチャーの防御率がここまでいいのも、古市が頑張ってくれているからこそだと思います」と最大級の賛辞を送った。

 2021年育成ドラフト1位で西武に入団した古市。2023年4月に支配下を掴んで1軍で29試合に出場したが、昨季はわずか10試合の出場だった。西武では4年間で計45試合の出場にとどまり、人的補償でDeNAのユニホームに袖を通すことになった。

獲得の際に木村社長は「どちらかというと数年先を見据えた中で…」

 人的補償が古市に決まった際、木村洋太球団社長が「どちらかというと、今年というよりは数年先を見据えた中で、守備能力としてうちの捕手陣でも数年後には1軍に割って入る可能性がある選手」と話していたように、もともと守備力は高かったが、課題は打撃面だった。

 それが4月15日、カーミニークフィールドで行われたファーム・リーグの西武戦でプロ5年目“初本塁打”を放った。これまでは右方向への打撃を意識していたが、今春1軍キャンプに参加して強い打球を打つことを求められた。「村田監督はホームランバッターなので打撃を聞きました。前で引っ張りにいけるような打ち方を教わって、バットの軌道を修正したら引っ張れるようになって、そこがいい感じかなと思います」と笑う。

 村田2軍監督は「ここ(2軍)は試す場だから思い切って試してもらって構わない。『迷ったら聞きに来い』と言ったらすぐ話を聞きに来る。『こうやって打ちたいんですけど、どういう方法がありますか』とかね。打席でこうやりたいんだろうなという明確な意図が見えます。僕らともコミュニケーションを取ってくれて、頼もしい存在だなと思いますよ」。まさに“扇の要”たる振る舞いを見せている。

ファームで存在感を増している【写真:加治屋友輝】ファームで存在感を増している【写真:加治屋友輝】

「打撃も守備力も、全体的なスキルアップを目標にやっています」と現状を語る古市。リーグの違う西武から移籍したこともあり「配球の違いは感じますね。西武にあった配球がこちらではちょっと珍しかったり、投手の方に『こういってみたい』と言われた時に『あ、そういう配球もあるんだな』っていう新しい発見もありますし、本当に引き出しが増えています」と目を輝かせた。

冷静に自分を分析…今の目標は「ファームで100試合に出ること」

 松尾、戸柱恭孝捕手がいる1軍の壁は高い。それでも「レベルの高いキャッチャー陣がいる中で、今はしっかり下で経験を積んでと自分では思っています。でも、いつかは割って入らないといけないと思うので、来たチャンスを掴めるために、今はしっかり頑張るしかないかなっていう気持ちです」。“そのとき”に向け、着々と成長を図っている。

 直近の目標は「ファームで100試合に出ること」。1軍に上がることは大前提に置きつつも、自らの現在地を把握している。だからこそ冷静にこう話す。

「2、3年後のことを考えながら、自分を長い目で見られるようにというか。目先の結果も欲しいので難しいですけど……。ファームであれ、100試合出てみてどういう体の疲れがあるかとか。1カード3試合中2試合出してもらうと配球とかも初戦から繋げられることもありますし、そういうのを含めて今は本当にいい時間を過ごさせてもらってます」

 ここまでファーム・リーグ25試合で打率.294をマークしており、村田2軍監督も「将来的には上のキャッチャーの一人として頑張ってもらえる存在になるんじゃないかなとは思いますね。2番手のキャッチャーとしていてくれるとチームもうまく回せるだろうし、そこに割って入るだけの考え方と姿勢は見て取れるんじゃないかと僕は思います」と太鼓判を押す。攻守両面で、背番号60の期待は高まるばかりだ。

(町田利衣 / Rie Machida)

RECOMMEND

CATEGORY