現ドラで覚醒…西武28歳の“後ろめたさ”「申し訳ない」 予期していたロッテの選択

移籍2年目で飛躍のシーズンを過ごしている西武・平沢大河【写真:加治屋友輝】
移籍2年目で飛躍のシーズンを過ごしている西武・平沢大河【写真:加治屋友輝】

西武2年目を迎えた平沢大河…“代役”ながら打率.327の猛打

 現役ドラフトの成功例に名を連ねることになるかもしれない。ロッテから移籍し2年目を迎えた西武・平沢大河内野手が、驚異的な打棒を振るっている。「個人的には、現役ドラフトはいい制度だと思います」。細川成也外野手(DeNA→中日)、大竹耕太郎投手(ソフトバンク→阪神)、水谷瞬外野手(ソフトバンク→日本ハム)ら、2022年オフに導入された新制度を飛躍につなげた選手たちに続こうとしている。

 2024年オフの現役ドラフトで西武入りし、移籍1年目の昨季は2度のぎっくり腰に見舞われ、わずか7試合出場、打率.059(17打数1安打)に終わった。今季も開幕1軍は逃したが、4月5日に1軍昇格すると、連日スタメン出場し、28試合で打率.327(101打数33安打)の大活躍である。

 宮城・仙台育英高3年の2015年、春夏連続で甲子園に出場し、同年ドラフト1位でロッテ入り。高卒1年目ながら1軍で23試合に出場した。次代を担う遊撃手として大いに期待された。

 しかし、相次ぐ故障に見舞われたこともあり、成績はなかなか伸びなかった。ロッテ在籍9年間で、最も1軍で働いたのは2018年。112試合出場、打率.213(291打数62安打)、5本塁打32打点、8盗塁だった。平沢は「もっともっと1軍で活躍しなければいけない立場でしたが、なかなか叶わず、ロッテには本当に申し訳ない気持ちです」と胸の内を吐露する。

 そして1軍出場なしに終わった一昨年のオフ、現役ドラフトの対象選手となった。「正直言って、僕が選ばれるだろうと思っていました。ロッテのメンバーを見れば、出るのは僕だろうと……。案の定でした。ただ、移籍先の西武はレギュラーが固定されていなかったので、チャンスはあると感じました」と当時の心境を振り返る。

インタビューに応じた西武・平沢大河【写真:加治屋友輝】
インタビューに応じた西武・平沢大河【写真:加治屋友輝】

常に危機感「僕が試合に出るには打ち続けるしかない」

 西武入団会見では「守備で一番自信があるのは外野」と答え、周囲を少し驚かせた。西武の重要な補強ポイントは、内野手だったからだ。「ロッテでは外野を守ることが多くなっていましたから。でも当時、西武の広池(浩司)球団本部長から『内野にもう1度チャレンジしよう。外野を守れることはもうわかっているから、セカンドとサードの準備をしてきてくれ』というお話をいただきました」と明かす。「今季、こうして内野で試合に出られているので、凄くいい挑戦ができているのかなと思います」と感慨深げだ。

 今季1軍昇格当初は一塁手としてのスタメン出場が多く、主砲のタイラー・ネビン内野手が怪我で戦列を離れていた穴を埋めた。5月1日にネビンが不動の一塁手として復帰すると、平沢は三塁に回った。そこも、本来レギュラー三塁手と目されながら、右手親指の打撲で指名打者としての出場が続いている渡部聖弥外野手が回復すれば、安泰ではなくなる。

「どこか空いたところに入れるように準備します。内野も外野もできるのが僕の強みですから、空いたところで頑張りたいと思います」とポジションにはこだわらない。「ともかく、僕が試合に出るには、打ち続けるしかない。常に危機感はあります。今は打てていますが、満足せず、もっともっと打てるようにしたいと思っています」とボルテージを上げる。

「個人的には、現役ドラフトはいい制度だと思います。僕自身、必要とされているところで頑張ることができているのは、凄くいいなと思います」と実感している。「前所属球団でこういう選手という固定観念ができて、選手の優先順位も固まっていく中で、移籍先ではフラットな目で見てもらえる。環境も変わりますし、新たな気持ちで野球をやれるのはいいことだと思います」と続ける。

 日本ハムの主軸を務める郡司裕也捕手は、仙台育英高時代の同級生。平沢が「3番・遊撃」、郡司が「4番・捕手」で甲子園を沸かせた。実は誕生日も3日しか違わない(平沢が12月24日、郡司が同27日)。そして郡司も明大、中日を経て、現役ドラフトではないが、2023年のシーズン途中にトレードで移籍してから、主軸にのし上がった。

「(郡司のことは)気になります。向こうは移籍してきて主力になっているので素晴らしいと思いますし、負けられないという気持ちもあります」と力を込める平沢。才能を開花させつつあるが、28歳の潜在能力はまだまだ、こんなものではない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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