開幕3連勝と好投を続ける25歳右腕 投球の幅を広げた必然の“モデルチェンジ”

楽天・荘司康誠【写真:球団提供】
楽天・荘司康誠【写真:球団提供】

真っすぐの割合を減らし…必然だったモデルチェンジ

 2022年ドラフト1位で楽天に入団した荘司康誠投手。昨季は2024年に受けた右肘手術の影響で出遅れるも、夏場からローテーションを守り、13試合の先発で防御率3.07を記録した。プロ4年目を迎えた今季は自身初の開幕投手に抜擢されると、そこから3連勝を挙げるなど安定した投球を披露している。イニング数を上回る奪三振を記録しながら、与四球の少ないピッチングを展開。本コラムでは、ここまで荘司が好投を続けている要因にデータで迫る。

 荘司の特徴として挙げられるのが、最速156キロのストレートを軸にした投球スタイルだ。しかし、今季は真っすぐの投球割合が29.8%と昨季から約15ポイント減少している。その分、スプリットやカットボールといった変化球の割合が増加し、昨季ほとんど投じられなかったツーシームも5.5%を占めるなど、投球の幅を広げつつある。こうした球種構成の変化にはどのような背景があったのだろうか。

 変化球が増えたのは、ストレートの被長打率が高いことが要因の一つとして挙げられる。投球割合の多い3球種で比較すると、昨季のストレートは被長打率.370、フライ割合54.9%といずれも最も高い数値を記録した。今季から本拠地の楽天モバイルパークにホームランゾーンが設置されたという事情もあり、長打のリスクを少しでも抑えたいという狙いがあるのだろう。

 荘司も自身のストレートを「一歩間違えたら(スタンドに)入っちゃう危険性が多いボールではある」と表現している。そうしたなかで、比較的ゴロ打球になりやすく、長打につながりにくいスプリットやカットボールの投球割合が増加傾向にあると考えられる。

変化球だけでなくストレートも…主要3球種で空振りを量産

 投球割合の増えたスプリットとカットボールは、長打につながりにくいだけでなく、空振りを奪える球種としても効果を発揮している。特にスプリットのスイング奪空振り率は、昨季から6.7ポイントアップの40.5%と、三振が増えた今季の大きな武器となっている。

 一方で、投球割合を減らしたストレートのスイング奪空振り率は、昨季の11.2%から今季20.2%と大幅にアップした。今季のリーグ平均である16.2%をも上回っており、こちらも空振りを奪えるボールとして機能している。

 ストレートのスイング奪空振り率が向上した理由の一つとして、高めのコースへの投球割合が増えたことが挙げられる。一般的に高めは、捉えられれば長打につながりやすい一方で、ストレートで最も空振りを奪えるゾーンでもある。荘司の真っすぐも同様で、高低別では高めのスイング奪空振り率が最も良い。制球力に優れた右腕だからこそ、空振りを狙う場面では意図的に高めへ真っすぐを投げ込むことも少なくないだろう。

 加えて、ストレートの平均球速が上昇したことも要因だと考えられる。今季は昨季の149.3キロを上回る150.5キロを記録しており、ボールの質自体も向上していることがうかがえる。投球割合こそ減少しているものの、ストレートが今季の好投を支えていることは間違いない。

 先発ローテーションの軸として、開幕からチームを牽引している荘司。4月21日の日本ハム戦では、自身初となる2桁奪三振をマークする力投を披露した。今後もより熾烈な上位争いが予想されるが、手に汗を握るような場面で背番号19が選択するのはどの球種か。楽天バッテリーの配球にも注目だ。

※文章、表中の数字はすべて2026年5月14日終了時点

(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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