阪神打線が「ついていけていない」 専門家も称賛…セ最強チーム攻略の“お手本”

伊藤大海が完封できた要因、野口寿浩氏が解説
■日本ハム 4ー0 阪神(26日・甲子園)
付け入る隙を与えなかった。日本ハム・伊藤大海投手は26日、交流戦開幕となる敵地・甲子園での阪神戦に先発登板。セ・リーグ首位の強力打線を封じ込め、4-0の勝利に導いた。今季初完封でパ・リーグ単独トップに立つ6勝目。現役時代に日本ハム、阪神など4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「完璧な投球だったと思います」と手放しで称えた。
「伊藤大海の真っすぐは普段対戦しているパ・リーグの打者が『メチャクチャ速い』と言っています。球速以上に速く感じるんです。その直球にツーシームも交えながら右打者にも左打者にも内角を攻めていました。内角を意識させて、最後は外のスライダーなど変化球で仕留める。完全に阪神の打者がついていけていませんでした」
初回、森下翔太外野手に対して3球連続で内角をえぐった。カウント1-2から最後は152キロの高め直球で空振り三振。3者凡退と絶好の立ち上がりを見せた。2回、現在セ・リーグ3冠王の佐藤輝明内野手に対しても果敢に攻め、最後はフルカウントからのスライダーで空振り三振。続く大山悠輔内野手も見逃し三振に仕留めた。
中盤まで西勇輝投手との息詰まる投手戦を展開。4回、味方の失策もあって1死一、二塁のピンチを招いたが慌てない。5番・大山を内角中心の投球で追い込み、最後は外角スライダーで空振り三振。木浪聖也内野手は一ゴロに抑えてピンチを脱した。
「序盤に走者を置かない場面で、各打者の内角をかなり攻めていました。あれは結構効いている。打者の頭には内角の残像があるので、絶対に影響はあります。内角を意識せざるを得ない状況で追い込まれて、最後は外にカットボールやスライダーを投げられるときょうの感じだと打てないでしょう」
無四球13奪三振「無駄な走者を出していない」
8回まで散発4安打無失点。9回は森下、佐藤、大山に3連打を許し、無死満塁と攻め立てられたが、ここからギアを上げた。「最後の場面は『絶対に打たさないぞ』という気迫を感じましたね。あの感じだと、阪神にとっては時すでに遅しという感じでした」。後続を断って完封勝利。チームの連敗を3で止め、新庄監督に就任後300勝となる節目の勝利を届けた。
無四球13奪三振の内容を、野口氏は「無駄な走者を出していないし、とにかく的も絞らせていない」と絶賛。好投につながった主な要因について「佐藤輝明にも徹底してインコースを攻めていた。試合前にプランニングをしっかり立てて、その通りできていたんだと思います。田宮(裕涼)のリードも良かった」と分析した。
佐藤輝に対しては4回の第2打席は二ゴロ(失策)。7回の第3打席は左飛に抑えた。9回の第4打席で右前打を許したものの、完全に詰まらせてバットは折っており、飛んだコースが悪かったという打球。主砲に決定的な仕事はさせなかったことが快投の一因でもあった。
阪神から見れば、9回に見せ場は作ったものの、ほぼお手上げ状態。「それじゃいけないんでしょうけど、きょうは伊藤大海に脱帽するしかないんじゃないでしょうか。いい時の伊藤大海の投球で、まさにエースの仕事でした」。さすがは2年連続最多勝で昨年の沢村賞投手。日本を代表する投手の凄さが際立った一戦だった。
(尾辻剛 / Go Otsuji)