DH制がない最後の交流戦 パ球団で顕著な“傾向”…数字から紐解く10年間の成績変化

オリックス・岸田護監督【写真:加治屋友輝】
オリックス・岸田護監督【写真:加治屋友輝】

セの制度変更に伴い、交流戦でも全試合でDH制が導入される見通し

 セ・リーグが2027年から指名打者(DH)制度を導入することに伴い、来年以降は交流戦のセ・リーグ主催試合でもDHが採用される見通しだ。今季まではパ・リーグ主催試合でのみDH制が用いられていたが、各球団の成績はホームとビジターでどう変化していたのだろうか。

 今回は、交流戦が現在の18試合制になった2015年以降の10シーズン(2020年は新型コロナウイルスの影響で交流戦開催なし)における、ホームとビジターの成績を紹介。パ・リーグ6チームの戦いぶりをあらためて振り返るとともに、球団ごとの傾向の差についても確認していきたい。

○日本ハム
 ホームで48勝40敗2分と8つの貯金を作ったのに対して、ビジターでは42勝47敗1分と5つの借金を背負っている。2015年以降の交流戦通算成績は90勝87敗3分と3つの勝ち越しを生んでいるが、ホームとビジターの成績には少なからず差がある点が見て取れる。

 各シーズンの成績を見ていくと、ホームでは10年間のうち6度の勝ち越しを達成しており、ホームアドバンテージを活かす戦いを実現していた。ビジターでも10年間のちょうど半数にあたる5度の勝ち越しを記録したが、2019年に3勝6敗、2022年に2勝7敗と大きく負け越したシーズンが2度存在した点が響いていた。

 また、本拠地をエスコンフィールドに移転した2023年以降のホーム成績は、13勝13敗1分けと全くの五分になっている。直近のシーズンである2025年には6勝3敗と大きく勝ち越しただけに、新たな本拠地でもこれから多くの勝ち越しを生み出す可能性は十分だ。

楽天はホームとビジター双方で貯金を生み出す

○楽天
 2015年以降の交流戦通算成績は96勝82敗2分と14個の勝ち越しを生み出しており、近年は交流戦を得意としていることがうかがえる。さらに、ホームで49勝40敗1分、ビジターで47勝42敗1分と、ホームとビジターの双方で貯金を生み出している点も特筆ものだ。

 ただし、シーズン別の成績を見ると、ホームでは10シーズン中7度の勝ち越しを飾った一方で、ビジターでの勝ち越しは4度にとどまっている。ホームでは堅実に勝ち星を積み上げる一方で、ビジターでは球団初の交流戦優勝を達成した2024年に7勝2敗、ほか3度の勝ち越しも全て6勝3敗と、4年間の大勝ちで貯金を積み上げるという対照的な経緯を辿っている。

○西武
 ホームでは52勝37敗1分と15個の貯金を生み出した一方で、ビジターでは33勝51敗6分と18個の負け越しを喫した。2015年以降の交流戦成績も85勝88敗7分と3つ負け越しており、ビジターでの苦戦が交流戦における成績そのものに影響を及ぼしたことが見て取れる。

 シーズン別の成績を見ると、ホームでは10シーズン中8度にわたって勝ち越しており、6勝以上を記録した年も5度存在。その一方で、ビジターで勝ち越した年は10年間で2度のみで、その2年間も5勝4敗と大きく勝ち越すには至らず。2023年と2024年には2年続けてビジターで2勝7敗と苦しんでおり、ホームとビジターでは全く異なる戦いぶりとなっていた。

○ロッテ
 ホームでは53勝37敗と16の貯金を生んだが、ビジターでは36勝49敗5分と13個の借金を作った。2015年以降の交流戦成績は89勝86敗5分と3つの勝ち越しを作っているが、西武と同様に、ホームとビジターの間に大きな成績の差が生じていることがわかる。

 シーズン別の成績では、ホームで勝ち越した数は10シーズンで7度とコンスタントに好成績を残し、4度にわたって6勝以上を記録。しかし、ビジターで勝ち越した回数は10年間で3度にとどまり、3勝以下のシーズンも5度存在。長打力のある外国人選手を中軸に据えるシーズンが多かったこともあり、DH制の有無が戦績に大きな影響を及ぼしたと言えよう。

ソフトバンクは12球団最多5度の交流戦優勝を誇る

○オリックス
 2015年以降の交流戦成績は97勝80敗3分と17個の貯金を作っており、伝統的に交流戦を得意としていることがわかる。しかし、ホームでの成績は47勝41敗2分で6個の勝ち越しだったのに対して、ビジターでは50勝39敗1分で11個の貯金を記録。該当期間において、ホームよりもビジターの成績の方が優れているパ・リーグで唯一の球団となっている。

 ホームでの勝ち越し数は10年間で5回とちょうど半分で、2016年にはホームで1勝8敗と大苦戦を強いられた。ビジターでも同じく勝ち越し数は10年間で5回だが、2015年から2018年までは4年連続で勝率5割以下だった一方で、2019年から2024年まで5シーズン連続で勝ち越しており、チームの躍進に伴って交流戦の成績も向上を遂げたことがうかがえる。

○ソフトバンク
 2015年以降の交流戦成績は108勝64敗8分と、勝利数が3桁の大台に到達。該当期間の交流戦優勝回数も、12球団最多の5度に及んでいる。ホームで57勝28敗5分と29個の貯金、ビジターでは51勝36敗3分で15個の貯金といずれも優秀な成績を記録したが、ホームにおける成績はビジター以上に優れていたことが示されている。

 シーズン別の成績に目を向けると、ホームで勝ち越した回数が10年間で8度、そのうち2敗以下にとどめたのが5度と抜群の戦績。ビジターでも同じく10シーズンで8度の勝ち越しを作っており、ホームとビジターの両方で安定した成績を残し続けている。交流戦で数多の優勝を勝ち取ってきたゆえんが、こうした各種の数字にも表れている。

 オリックス以外の5球団は全て、直近10シーズンにおけるホームでの成績がビジターでの数字を上回っていた。DH制を利用できるホームゲームで各球団が好成績を残していることが、交流戦においてパ・リーグが強さを発揮してきた要因の一つと言えるかもしれない。

 両リーグでDH制が導入される来季以降は、交流戦においても全試合で普段と同じ起用法を実現することが可能だ。新たな環境におけるホームとビジターの成績の変化、そして各球団が記録する交流戦の成績は、これまで以上に注目する価値があるトピックとなりそうだ。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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