東京ドームの監督室は今も“空室” 橋上秀樹代行が維持する距離感…続く試行錯誤と対話

巨人は6月2日のオリックス戦で逆転勝利をおさめた【写真:加治屋友輝】巨人は6月2日のオリックス戦で逆転勝利をおさめた【写真:加治屋友輝】

則本が6回途中2失点で移籍後初勝利、橋上監督代行就任後は4勝3敗

 巨人が新体制の下で踏ん張っている。2日のオリックス戦(東京ドーム)は先発・則本昂大投手が6回途中2失点と試合をつくり、移籍後初勝利をマーク。チームは貯金を3とし、橋上秀樹監督代行が指揮を執るようになった交流戦を4勝3敗で乗り切っている。

 5月26日の交流戦開幕から約1週間。この日のオーダーは1番・泉口友汰が16試合ぶりにスタメンを外れ、大城卓三がプロ9年目で初めて3番に入った。橋上監督代行が指揮を執った7試合で7通りの先発オーダーが組まれており、試行錯誤を重ねながら戦っている。

移籍後初勝利の則本昂大はお立ち台で笑顔【写真:加治屋友輝】移籍後初勝利の則本昂大はお立ち台で笑顔【写真:加治屋友輝】

 阿部慎之助前監督の辞任によってチームは新体制へ移行した。ただ、チーム内部で大きな改革が行われたわけではない。川相昌弘ディフェンスチーフコーチが実質的なヘッドコーチ役を担っているが、各コーチの担当業務や組織の枠組みは大きく変わっていない。それでも複数の球団スタッフによると、以前より準備や情報共有がスムーズになったとの声がある。

 球団スタッフは「阿部監督が悪いわけではありませんが、橋上監督代行はオフェンスチーフコーチの肩書きもあるので、コーチ陣のミーティングにも出ています。橋上監督代行がコーチの立場もあるからこそできるのであって、それがうまく回っているのだと思います」と明かした。

 橋上監督代行は監督代行就任後もオフェンスチーフコーチを兼務しており、監督としてチーム全体を統括しながら、コーチ陣の議論にも加わっている。新体制では橋上監督代行を含めたコーチ陣が意見を出し合いながら方向性を固めているという。

 現場関係者によると、以前は準備面を指摘する声もあったというが、新体制になってからはそうした声も少なくなったという。もちろん、それは阿部前監督時代を否定するものではない。これまで築かれた土台の上で、コミュニケーションの形がより円滑になった結果という見方が強い。

坂本勇人(左)は守備でも貢献【写真:加治屋友輝】坂本勇人(左)は守備でも貢献【写真:加治屋友輝】

 その変化を象徴する場所がある。東京ドームの監督室だ。

 橋上監督代行は就任後も監督室を使用せず、これまで通りコーチ室を拠点としている。監督室とコーチ室は扉一枚を隔てただけの距離だが、監督室は現在も空室のままだという。

今季はシーズン終了まで指揮を執る橋上秀樹監督代行【写真:加治屋友輝】今季はシーズン終了まで指揮を執る橋上秀樹監督代行【写真:加治屋友輝】

 コーチ室には各部門のコーチが集まり、試合前後の準備や情報共有、意見交換が行われる。橋上監督代行もその空間で日々を過ごしている。コーチ陣との距離が近い環境を維持していることも、新体制の好循環を支える一因となっているようだ。

 東京ドームにできた“空室”。扉一枚向こうにある監督室ではなく、コーチ室を拠点とする指揮官の姿は、「橋上巨人」に生まれた好循環の象徴と言えそうだ。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

RECOMMEND

CATEGORY