日本人コンビで躍動も「関係ないと思っている」 村上宗隆の言葉の意味…西田陸浮との“共通点”

Wソックス・村上宗隆(右)と西田陸浮【写真:ロイター】Wソックス・村上宗隆(右)と西田陸浮【写真:ロイター】

西田陸浮のメジャー昇格で実現した村上宗隆とのコンビ

 先日の取材中に「なるほど、確かに」と感じた出来事があった。5月26日(日本時間27日)、ホワイトソックスの本拠地で行われたツインズ戦でのことだ。スタメンに並ぶのは「2番・一塁」村上宗隆内野手、「9番・右翼」西田陸浮外野手の名前。前日25日に傘下3Aシャーロットから西田がメジャー昇格し、実現したラインナップだ。

 西田はメジャーデビューとなった25日の同カードで、右翼から本塁への好返球や二遊間を破る初安打を記録するなど躍動。村上も8試合ぶりとなる18号ソロを放ち、チームの勝利に貢献した。

 この日の米国はメモリアル・デー(戦没将兵追悼記念日)と呼ばれる祝日で、試合開始は午後1時10分のデーゲームだった。だが、ホワイトソックスは前日までシアトル→サンフランシスコで全6戦を行う西海岸遠征で、選手がシカゴの自宅に戻ったのは深夜1時過ぎ。野球の実力と同じくらいの高さで「パーソナリティ(人柄)」を買われている西田の加入は、移動疲れと2時間の時差でどんよりと重くなりがちなクラブハウスに活気を運び込んだ。

 2023年ドラフトで11巡目に指名されてから約3年。ルーキーリーグから3Aまで一段ずつ階段を上り、掴んだメジャーの舞台だ。試合前に日米メディアに囲まれると、マイナー通算110盗塁を誇るスピードスターは自身の役割について「村上さんの前にランナーを出そうぜっていう話ですよね。とりあえずランナーとして(塁に)おることが僕の仕事やと思うんで、徹底したいと思います」と明確にしてみせた。

 そして翌日。2点を追う8回に先頭の西田は左前打を放ち、出塁に成功した。1死後に打席に立った村上は、カウント1−1からの3球目を豪快にスイング。夜空に高々と打ち上げられたボールは右翼スタンドに飛び込む19号同点2ランとなった。先に生還した西田はホーム付近でペコリと90度お辞儀をして村上をお出迎え。体格もプレースタイルも、メジャーの舞台にたどり着いた道のりも、まったく異なる2人の日本人選手の活躍はどこか誇らしく、どこか微笑ましかった。

西田が出塁→村上が2ラン、日本人コンビの活躍も…

 西田が出塁して、村上が返す。まさに期待通りの得点パターンだ。試合後、メディア対応した村上にこんな質問が投げかけられた。「日本人コンビでチームに貢献できたことに対する思いはいかがでしょう?」

 村上の答えはこうだった。

「チームとしてスタメンで出ている以上は、日本人も、アメリカ人も、他の(国の)選手も関係ないと思っていますし、チームに貢献できることは100%やるというのが、僕らプロ野球選手、プロスポーツ選手の役割なので、それを全うしているというだけ。西田選手もプロ野球選手ですし、僕もプロ野球選手ですし、チーム一丸となって、打線として良い方向に向かっていくことが一番かなと思います」

19号を放った村上宗隆【写真:ロイター】19号を放った村上宗隆【写真:ロイター】

 西田にも同じような質問が飛んだ。すると……

「もう、なんですかね。日本人やからって、あんま関係ないっすね(笑)」

 おぉ、なるほど! 2人の言わんとするところは、ほぼ同じと見ていいだろう。何人であろうが、チームに貢献できればそれでいい。至ってシンプルかつ真っ直ぐな考えだ。

「日本人」としてではなく、1人の人間としてかける勝負

 大前提として、2人が日本で生まれ育った日本人であることは変わらない。ただ、それぞれの動機や背景は違えど、日本を飛び出して米国で勝負しようと海を渡った2人でもある。世界各地にルーツを持つ様々な人が集まり暮らす米国の地で、1人の人間として自分の力を試したい思いもあるだろう。

 上手くいくこともあれば、つまづくこともある。村上宗隆として何が通用して、どんな努力が必要なのか。西田陸浮として何を認められ、何を悔しいと思うのか。己の実力のほどを試している真っ最中、そしてどんな状況に置かれても、その1分1秒を楽しめているからこそ、あえて「日本人」としてカテゴライズされることが少し窮屈に感じたのかもしれない。

メジャーの舞台で奮闘する西田陸浮【写真:ロイター】メジャーの舞台で奮闘する西田陸浮【写真:ロイター】

 もちろん、見ている側は「日本人」がメジャーの舞台で活躍する姿を痛快に感じるし、応援にも一段と力が入るもの。ただ、その「日本人」という条件に甘えることなく、「日本人」ではないとしてもなお、同じ熱量を持って応援してもらえる存在になることが、真のメジャー選手として認められた証でもあり、2人が目指す姿なのだろう。

 残念ながら村上は左太もも裏の怪我のために負傷者リスト入りし、復帰まで4~6週間が見込まれている。日本人であろうがなかろうが、早期復帰を目指して治療とリハビリに全力を尽くすことは変わらない。そして、メジャー定着を目指す西田は、日本人であろうがなかろうが、チームが勝つために必要な選手だと首脳陣に思わせる努力を続けていく。

 日本人という共通点に親しみを感じながらも、少し広い視野を持って見てみると、2人が持つ本当の魅力が見えてくるような気がした。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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