第2戦は前田悠が先発予定…松尾「楽しみっすよ。打たせてくれよって感じ」
高校野球ファンにとっても待ち遠しい“初対決”が、ついに実現するかもしれない。“別れ”から4年。DeNAの松尾汐恩捕手が胸を踊らせた。
「楽しみっすよ。まずは自分が出るかわからないので出たいですね。で、『打たせてくれよ』って感じです。本当に楽しみっす」
年に1度しかない交流戦。5日から横浜スタジアムでソフトバンク3連戦が行われるが、6日の第2戦で相手先発に予想されているのが前田悠伍投手だ。松尾にとって、大阪桐蔭高時代の1学年後輩にあたる。
実は松尾、5月25日に都内のホテルで行われた「日本生命セ・パ交流戦」開幕記者会見に出席した際、対戦したい選手に前田悠の名前を挙げていた。
さらに「高校の後輩ですごく生意気なので。たまに連絡が来るんですけど『対戦したらお手柔らかにね』って言ったら『どうせ打てないでしょう』みたいに言われたので。すごく生意気なので、ギャフンと言わせてやろうと思っています」と春季キャンプ時に交わしたやり取りを明かしていた。
「あいつが人懐こいんで、自然と仲良くなっていきました」
左腕は同日に出場選手登録を抹消され、次回登板が注目されていたが、横浜スタジアムのマウンドに上がることになりそうだ。
松尾が高校2年時、前田悠が入学してきたときのことを忘れることはない。
「衝撃でした。1年生で入ってきてすぐ、真っすぐとチェンジアップがすごいなと思って。何をやらせても器用な子だし、ポテンシャルが高いというか、本当に、率直にすごいなと思いました」
すぐにバッテリーを組むことになった2人は「悠伍」「汐恩」と呼び合い、タメ口で話していた。松尾は「舐められているんで」と笑いながら、「あいつが人懐こいんで、自然と仲良くなっていきました。あんなに活躍してもらったら憎めないっすよ。練習が終わっても室内で一緒に喋ったりとか、よくしていました」と懐かしんだ。
2年秋には明治神宮大会優勝。3年春には選抜を制した。しかし3年夏の甲子園は逆転負けで準々決勝敗退となった。笑って泣いて、多くのときを過ごした。マスク越しに見ていた、数え切れないほどの球を受けた後輩を「やっぱり気持ちが強かったです。堂々としていて、マウンドさばきも上手でした」と称えた。
一方で、部内の紅白戦では「僕、あいつからめっちゃ打っているんですよ。初めて対戦したときにホームランを打っていますし」。さすが甲子園で計5本塁打をマークした高校通算38発男。先輩の“威厳”をアピールすることも忘れなかった。
登板結果をチェック、昨夏の初勝利時には高級スニーカーをプレゼント
ともに高校時代から注目され、松尾は2022年ドラフト1位でDeNAへ、前田悠は2023年ドラフト1位でソフトバンクに入団した。プロに進んでも松尾は前田悠の登板があれば結果をチェックすることを欠かさない。
昨年7月にプロ初勝利を挙げた際には高級ブランド「CELINE」のスニーカーをプレゼントした。「『なんかあげるわ』って約束していたんで。でもあいつ、足デカいんですよ。29センチか30センチあるから、探すのが大変で大変でしゃあなかったです。足と態度だけはデカいんすよ」。なんだかんだ言いつつ、その表情はうれしそうだった。
現在の関係は「友達みたいな感じ。お互い頑張ろう、みたいな」と話す。しかし最近はオフに食事などに行くこともなかったそうで、会うことも久々だという。待ち望む対戦へ、イメージはできているのだろうか。
「いや、全くです。もう頑張って食らいつくしかないです。いい投手ですから。プロに入って成長して、本当にまたすごくなっているでしょうね。楽しみですし、いろいろな方に楽しみにしてもらっているみたいでありがたいです」
そして最後に力強く言った。
「絶対打ちます。ホームラン、任せてください」
甲子園を沸かせたバッテリーが、ドラフト1位で進んだプロの舞台で敵となって相対する。その結末やいかに――。
(町田利衣 / Rie Machida)