甲子園で見えた「島本浩也」タオル “温かった”阪神ファン…移籍1年目、日本ハムになじむ愛され力

日本ハム・島本浩也【写真提供:産経新聞社】日本ハム・島本浩也【写真提供:産経新聞社】

昨オフ阪神からトレード移籍、今季22試合で防御率1.02

 交流戦に入り10勝3敗と息を吹き返しつつある日本ハムの中で、背番号40の存在感が日に日に増している。昨年11月の交換トレードで阪神から新加入した島本浩也投手。ここまで22試合で11ホールド、防御率1.02の好成績を残している。

「体、コンディションがいいっていうのが一番の要因だと思います。タイガース時代の2023年のときくらいのいいときに戻っていますね」

 マウンドでは「表情に出さないようにしています」とポーカーフェイスを貫く左腕が、相好を崩す。そこにはプロ16年目で飛び込んだ新天地での、確かな手応えがあった。

 直球の平均球速は昨年の141.5キロから今季は144.3キロと約3キロアップ。35試合で防御率1.69をマークした2023年の数値に戻りつつある。「やっぱりコンディションが、ここ数年とは比べ物にならないくらいいいので」と強調した。

「コンディションがいい」と一言で言っても、ただ勝手によくなったわけではない。戦いの場を日本ハムに移すことに決まった昨オフから取り組みは始まっていた。

走者を出しても動じず「毎回毎回、綺麗には抑えられないですから」

「トレーニングもちょっと変えたりもしていて。ファイターズのトレーナーさんとかに、自分はこうなっているんでこうしたいんです、みたいなことを言ったり、そうやって取り組んでいます。そういうのもちょっとは成果として出ているのかなって思っています」

 体を根本から見直し、33歳にして新しいものを取り入れた。その結果が、野球面へと繋がってきた。さらに驚きの事実も打ち明ける。「走り方も変えて、全然今までとは違うんです。足、速くなっちゃっているかもしれないですね」。

 そんな島本の強さは、走者を出しても動じないメンタル面にもある。「四球を出しても、結果ゼロで帰ればいいと僕は思っています。毎回毎回、綺麗には抑えられないですから。走者を背負ってからが勝負だなって」。落ち着いて目の前の打者に対峙する。数々の修羅場をくぐり抜けてきたベテランらしいマウンドさばきを見せる。

 そこにチームカラーもマッチした。「野球を楽しめているなというのは思います。楽しんでるって言ったらおかしいかもしれないですけど、合っているっていうか」と明かすように、新庄ファイターズが島本の新たな一面も引き出した。

古巣甲子園で好投しヒーローに「タオルを持ってくれた人が…うれしかった」

 トレード時に掲げたひとつの目標が達成されたのが、5月26日から敵地で行われた阪神3連戦だった。

「しっかりした成績を残した状態で、甲子園で投げたいなっていうのは思っていました」

 5月27日の阪神戦では、かつての本拠地・甲子園のマウンドに立った。5-2の7回から3番手で登板して1回2安打無失点でホールドをマーク。翌28日の同戦は3-1の8回を3者凡退に抑え、ヒーローインタビューにも選ばれた。

「球団の方が指名してくれたので……」と謙遜しながらも、「温かく迎えてもらって、ファイターズファン以外でもタオルを持ってくれていた人がいっぱいいたので、なんかうれしかったです」と喜びを噛み締めた。

“敵”となった甲子園には「地響きを食らったっていうか。走者がひとり出るだけで大歓声で『やばっ』と思いました。これはビジターで投げるのは怖いだろうな」と話しつつ、「でも僕は全然。『これはビジターか』って楽しんでいました」と言ってのけるところがまた、頼もしかった。

無双状態の“弟分”には「別にビックリはしていないんです」

 遠征中には“弟分”として親交深い阪神・高橋遥人投手とも食事に出かけた。2020年に左肘のトミー・ジョン手術を受けた島本と、2022年に同手術を受けた高橋。「お互いしんどいときを知っているので」という“同志”だ。

 高橋は今季、9登板で7勝0敗、防御率0.90と“無双状態”。島本は「別にビックリはしていないんです。怪我をしなかったらたぶん、毎年ああいう成績を残していたので。さすがに7勝無敗はちょっと想像を超えていますけど、防御率はあいつの中で普通くらいだと思います。それくらいレベルが高いと思っています。頑張ってほしいとかよりは怪我だけしなければいいかなって、そう思っています」と優しい表情を見せた。

 かつての仲間からも刺激を受け、自身も長いシーズンを突き進む。「しっかり抑えないと信用してもらえないので、僕が投げたら安心して見てもらえるように、監督や首脳陣もそうですけど、ファンの方にもそう思ってもらえるようなピッチングがしたいです」と誓った。

 9日にエスコンフィールドで行われたDeNA戦前。解説に訪れたDeNA前監督で“奈良県人会”の三浦大輔氏から「友達できたか?」と気にかけられると、「できました!」と笑顔で即答した。「堀ちゃん(堀瑞輝投手)とか達稀(水野達稀内野手)とか、いつも一緒にいます」。まるでチームに何年もいるかのように、すっかり溶け込んでいる。

三浦大輔氏から「友達できたか?」と声をかけられる島本浩也【写真:町田利衣】三浦大輔氏から「友達できたか?」と声をかけられる島本浩也【写真:町田利衣】

 北の大地で過ごす、充実の日々。しかしこれがゴールではない。「まだまだ、もっと良くなることが多いと思うので、良くなっている段階、進化している途中だと思います」と島本。上位進出へ、その左腕に懸かる期待は高まるばかりだ。

(町田利衣 / Rie Machida)

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