12号の裏で…大谷翔平に見えた変化「こだわりが」 専門家が予言した量産態勢のワケ

最終回に本塁打を放ったドジャース・大谷翔平【写真:黒澤崇】
最終回に本塁打を放ったドジャース・大谷翔平【写真:黒澤崇】

凡打も本塁打につながる好内容…新井宏昌氏が解説

 今後の爆発を予感させる一発だった。ドジャースの大谷翔平投手は10日(日本時間11日)、敵地で行われたパイレーツ戦に「1番・投手兼指名打者」で出場。打者として3点を追う9回、中堅後方のブルペンへ飛び込む3試合ぶりの12号2ランを放った。

 6-9と逆転を許して迎えた9回1死一塁の場面。左腕・ソトの初球、99.1マイル(約159.5キロ)の直球を完璧に捉えた。飛距離412フィート(約125.6メートル)の豪快なアーチ。現役時代にNPB通算2038安打を放ち、MLBにも詳しい野球評論家・新井宏昌氏は「左投手の速い球を、大谷選手が得意とする方向にホームラン。引き続き状態は悪くない」と分析した。

 兆しは凡退した前の打席にあったという。7回1死で迎えた第4打席。カウント1ボールからの2球目、右腕・ムジンスキの内角カーブに詰まらされ、三塁後方への飛球に倒れた。「体が開いて詰まっているわけではありません。センターから逆方向に打っていこうという意図が感じられました」。結果は平凡な三飛でも、内容には大きな意味があったのである。

「引きつけ過ぎて詰まってしまいましたね。見かけは悪いんですけど、打っていこうとする気持ち、打ち返す方向は凄くいい。形的には悪くない。変化球と分かっていて、引っ張り込むのではなく、反対方向に打とうとしている。それが最後のセンター左への2ランにつながっているんです」

 3回には本塁打性の大飛球を放った。先発・ジョーンズの99.4マイル(約160.0キロ)を左翼後方へ打ち返したが、左翼・レイノルズがジャンプ一番で本塁打キャッチ。美技に阻まれたが「これも左方向への強い当たりで、実際にホームランになるところまで飛ばせている。この試合はホームラン性の当たりが2本出ています。6月はホームラン量産を期待できると感じた試合でした」とさらなる爆発に期待する。

 1、3打席目は空振り三振。初回の第1打席は2球目の甘い直球を見逃し「ジョーンズ投手は球が速いという情報は入っていると思うんですけど、初球のフォーシームのボール球を見て、次のフォーシームのストライクを見逃したのが、どうしたのかなと感じました」と疑問も抱いたという。

 積極的な打撃が持ち味でもあり「追い込まれるとどんな打者も難しい。打っていくべき球を打ちにいっていない時はあまり結果が良くない」と指摘する。ただ、全ての打席で結果が出せるわけではないだけに「他の3打席の内容は非常にいい」と状態には太鼓判を押す。

2度目の休養日を境に変化…最近4試合連続安打

 5月までは打撃面で本来の調子を取り戻せていない時期もあった。「ヒットを打っても、右方向への低い打球のヒットが多かったです。それから調子を落として、二刀流での疲れもあったと思いますけど、うまくいかない時がありました」と振り返る。

 開幕直後の大谷について「今季は何か分からないんですけど、彼なりに目指したいものがあって、そこへのこだわりが強いように感じていました」という。「それがうまくいかなくて時には打席の中でいらだちがあったり、相手投手を打とうというより、自分がやろうとしていることができないことに対して、気持ちが向いているように見えていました」。自分との戦いが不振の一因だったと推測する。

 変化を感じたのは4日(同5日)に2度目の休養日を迎えた後だという。「その辺りから、こだわり過ぎていた部分に、そこまでこだわらなくなったように感じました。そこの意識をなくしたことで、今は楽に構えている。打つ気があるのかなというぐらいの構えから、いいヒットが出ています。余計なことを考えることなく、力が抜けて、いい形で打席に入れているように思います」。

 6日(同7日)のエンゼルス戦で11号2ランを含む2安打。そこからこの日まで4試合連続で安打が出ており、最近4試合は打率.333、2本塁打、6打点と調子が上向いているのは明らかだ。

「ホームランキャッチされたのは運がありませんでしたけど、ホームランの打球を1試合で2回見られた。非常にいい状態だと感じます」。例年、6月は得意の時期。量産態勢に入っていきそうな気配が漂っている。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY