2年間ゼロ→3年ぶり1発に思わず漏れた本音 安田尚憲に降り注いだマリンの“爆音”コール「勇気もらっている」

阪神戦で3年ぶりの本塁打を放ったロッテ・安田尚憲【写真提供:産経新聞社】阪神戦で3年ぶりの本塁打を放ったロッテ・安田尚憲【写真提供:産経新聞社】

打撃好調の要因にファームでの泥臭い日々「ストレートをしっかり」

 長らく苦しんできた未完の大器が、ついに長いトンネルを抜け出そうとしている。ロッテの安田尚憲内野手が5月30日、ZOZOマリンスタジアムで行われた阪神戦で3年ぶりに本塁打を放った。ダイヤモンドをゆっくりと一周しながら本拠地に集まったファンの大歓声を浴びた。期待されながらも、悩み続けていた背番号5は「打った瞬間、ホッとしました」と肩の荷を降ろした。

 この日、安田は「7番・三塁」で先発出場。0-1で迎えた2回の第1打席だった。村上頌樹投手の投じたストレートを強振。会心の打球はバックスクリーンに突き刺さった。「良い打球だったのと、ひとまず1本打ててホッとしたっていうのが一番です」と2023年10月10日の楽天戦以来、3年ぶりの本塁打に静かに喜びを噛み締めた。

 さらに6月7日、敵地東京ドームで行われた巨人戦では、1-2で迎えた9回2死から、絶対的守護神のライデル・マルティネス投手から起死回生の同点となる本塁打を放ち、好調ぶりを見せつけた。ここまで打率.286、OPS.828と本来の姿を取り戻しつつあるが、その背景には2軍での泥臭い日々があった。

 2017年に大阪の名門・履正社高からドラフト1位で入団し、将来の主砲として期待を背負ってきた安田。しかし、2022年と2023年に自己最多タイの9本塁打を放って以降、ここ2年間は1軍では本塁打なしという苦しい時期を過ごしていた。

 1軍レベルの力強い直球に差し込まれる課題を克服するため、基本に立ち返った。福浦和也2軍監督や堀幸一2軍打撃コーチからの徹底的な指導のもと、「アドバイスをいただきながら、ストレートをしっかり打てるように」と、速球に負けない強いスイングを身体に染み込ませてきた。

 そうした地道な取り組みが実を結び、昇格前の4月22日、イースタン・リーグの楽天戦で待望の1号を放つなど、試行錯誤を続けて確かな感触を掴んだ。打撃好調の要因について「ファームでやってきたことを今も変わらず、継続できてるというのが、大きい」と語るように、裏付けされた自信が今の打席には宿ってる。

真の主砲へ向けた覚悟「しっかり打ち続けたい」

 迷いを吹っ切った背番号5の背中を、力強く押しているものがある。スタンドから降り注ぐ大歓声だ。「本当にすごい大きい声援をいただいているので、ありがたいですし、勇気をもらいながら打席にも入ってます」と、“地鳴り”のように鳴り響く安田コールを送ってくれるロッテファンへ感謝を口にした。

 ファンからの温かい声援に加え、もう一つ、安田の心を力強く奮い立たせる存在がある。同級生の活躍だ。ホワイトソックスで活躍する村上宗隆内野手は、同じ2017年ドラフトで競合指名された1人。現在は負傷者リスト(IL)入りで離脱しているものの、メジャー1年目から一時はリーグトップの本塁打を放つなど、その実力を世界に知らしめている。「もちろんニュースで見てますし、刺激はいつももらってます」と、海の向こうでの活躍を気にする様子がうかがえた。

 しかし、真の主砲への道は決して平坦ではない。

「2か月遅れている分、たくさん試合に出場したい。打たないと試合に出れないと思うので、しっかり打ち続けたい」

 チームは借金4を抱えて突入した交流戦で、10勝6敗2分けと奮闘して完済した。激戦のパ・リーグを制するには、勝負強い打撃が欠かせない。苦しんだ時期も信じて待ち続けてくれたファンからのエール。その想いにバットで応え、真の大砲として覚醒する安田のさらなる飛躍に期待したい。

(岡部直樹 / Naoki Okabe)

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