3年連続Bクラス→首位争いの躍進…西武が“激変”した理由 「46/50」が生み出す革命の裏側

攻撃面の各種成績が大幅に改善
西武が好調である。5月6日から15日にかけて7連勝を記録し、17日の勝利で首位に浮上。その後も快進撃を続けている。要因としてはリーグ屈指の先発投手陣や野手陣の守備力の高さも挙げられるが、昨季からの変化という点で打力の向上は見逃せない。2024年はパ・リーグの歴代ワースト記録を更新するチーム打率.212に終わり、翌25年も各種打撃成績がリーグ最下位に沈んだ。
ここ数年は得点力不足が明確な課題となっていた。しかし今季は長打率をはじめとした成績が大幅に改善し、リーグ上位の攻撃を展開している。西武のチーム本塁打数を見ると、2024年はリーグワーストの60本、翌年はリーグ4位の80本にとどまっていた。一転して今季は59試合消化時点で50本をマークするなど、例年以上のペースで本塁打が飛び出している。
また、注目したいのはその打球方向である。ここまで記録した全50本塁打のうち、中堅方向へ放った本塁打は3本、流し方向にはわずか1本のみ。それ以外の46本は引っ張っての一発となっており、全体の約92%を占めている。強い打球を飛ばしやすい引っ張り方向が大半なのは他球団も同じだが、今季の西武は引っ張った本塁打の割合がリーグでも突出して高い。
引っ張り本塁打の増加は、やみくもに振り回した結果ではない。続いて紹介したいのが、「引っ張り方向のフライ・ライナー打球となった割合」を示す「プル・エア割合」である。角度のついた引っ張り打球は長打や本塁打といった好結果につながりやすいとされ、プル・エアはメジャーリーグでもトレンドの指標となっている。
そのプル・エア割合を球速帯別で見ると、今季の西武は129キロ以下、130キロ台の投球に対してリーグ上位の数値をマーク。特に129キロ以下は昨季から6.6ポイントも増えるなど、緩いボールに対して引っ張りかつ角度のついた打球を増やすことに成功している。
緩いボールに対する長打力はリーグ随一
球速帯別の打撃成績を見ると、その効果は一目瞭然である。129キロ以下、130キロ台の投球に対して、いずれもリーグ2位の打率をマーク。単打を除外することで純粋な長打力を示すISOも、130キロ台の球速帯ではリーグトップクラスの数値を残している。一方、140キロ台の投球に対するISOはリーグ4位と平均的だが、打率はリーグトップの数字を収めるなど苦にしているわけではない。
速い球はコンパクトに、緩い球は長打にする対応力が、ここまでの躍進につながっていることは間違いない。そんなチームのアプローチを象徴するのが、タイラー・ネビン内野手である。来日1年目の昨季はリーグ3位の21本塁打、63打点を記録。今季は負傷で出遅れたが、復帰後31試合で打率.304、24打点をマークするなど、好調なチームをけん引する活躍を見せている。
また、ここまでの129打席で11本塁打と驚異的なペースで本塁打を量産しており、その背景には前述の緩いボールを仕留めるアプローチがある。プル・エア割合を昨季と比較すると、チーム全体の傾向と同じく130キロ台以下の投球に対する数値が大きく上昇。ここまでの11本塁打のうち9本をこの球速帯から放っているのだ。昨季も見事な活躍を見せた頼れる主砲が、新たなアプローチの採用でより洗練された打者へと進化を遂げている。
活躍を見せている長谷川信哉外野手や平沢大河内野手、新加入の桑原将志外野手も積極的に引っ張ることで長打を増やすことに成功している。堅固なディフェンスに、新たな取り組みを見せるオフェンスがかみ合う今季の西武。歴史的貧打からの“打破”の先に、7年ぶりのリーグ制覇が待っている。
※文章、表中の数字はすべて2026年6月11日終了時点
(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)