巨人・村田善則バッテリーチーフコーチが説明した意図
小林誠司、甲斐拓也の両ベテラン捕手が、巨人のベンチ内に安心感を与えている。開幕から岸田行倫、大城卓三の2人が主にスタメンマスクをかぶっており、チームは現在、異例の「捕手4人体制」を敷いている。村田善則バッテリーチーフコーチはその意図とベテランコンビの存在の大きさを語った。(文中の成績は6月終了時点)
オープン戦で結果を残せず、2軍でシーズン開幕を迎えた甲斐は、6月21日に今季1軍初昇格を果たした。4人の捕手をベンチに置いた狙いについて村田コーチは「橋上さん(橋上秀樹監督代行)もおっしゃっていると思うんですけど」と前置きした上で、説明した。
「卓三(大城)や岸田のバッティングを生かす。キャッチャーじゃない時にも柔軟に使いたいっていうことがあったので。1週間で何試合か中止になっていますけど、先発ピッチャーの人数も1人少なくできる分、枠としては空いてるので」
交流戦明け、巨人は6月19日から7月5日までの17日間で13試合(そのうち3試合が雨天中止)が予定されていた。1週間で5試合ペースということもあり、先発ローテーションに余裕が生まれ、ベンチ入り野手に厚みを持たせることが可能となっていた。
「バッティングの利く選手を使いたいということで、その枠を野手として使うことになった。キャッチャーが4人になりますけど、代打も含めて躊躇することなく出せますし、何試合かファーストでっていうのもね。使い方次第にはなりますけど、臨機応変に野手をうまく使える枠として、現時点でキャッチャー4人がベターだということになったと思います」
出場機会激減…小林、甲斐の“立ち位置”
大城は今季50試合出場で打率.293、7本塁打、17打点、岸田は42試合出場で打率.268、4本塁打、15打点の成績を残している。ベンチに小林、甲斐が控えていることで、大城か岸田のスタメンマスクではない方を試合の早い段階から代打やファーストで積極的に起用することができるようになった。
その一方で気になるのは両ベテランの出場機会だ。37歳の小林は今季出場6試合でスタメン2試合。33歳の甲斐はまだスタメン機会はなく、途中出場の2試合のみとなっている。2人の“立ち位置”についても村田コーチは語った。
「広く(相手と)当たると思うので、その時にスタートで行く時もあると思いますし、途中から難しい局面で守備からということもあります。どの役割でもしっかりとこなしてくれるという信頼感があります。どういう状況でも力は発揮してくれると思っています」
心配される試合勘は豊富な経験値が補う。ベンチにいながらも、グラウンド内の情報は試合に出場しているバッテリーと常に共有しているという。
「例えば自分が出ていなくても、先発バッテリーの会話に入ってバッターの反応を耳に入れています。ピッチャーの出来をその場で聞いたりとか、試合中にブルペンに行って中継ぎ陣の状態を把握したりと、自分たちの出番がどういう状況で来るか分からない分、いろいろなことをやってくれています」と、準備力の高さを力説する。
さらに「ゲームに出なくても、できることを最大限にやってくれていると思う。そういう意味では、今のこの形でも、それぞれの役割を果たしてくれていると思っています」と、献身的な行動にも感謝している。
「毎試合出たいっていう思いは当然あるでしょうけど」
出場機会に偏りは出ているものの、村田コーチは「みんなで戦っている」とうなずく。「1人が出て、最後までいくっていうシーンも当然ありますし、それも望ましいとは思うんですけど、チームとしていろいろなオプションがあった方がいいということです。キャッチャーを攻撃陣として認めてくれるっていうところが、彼らにとっても大きいと思います」。
“4者4様”のプレーヤーが、チームの勝利のために尽くしている。「(捕手4人体制が)、現時点ではゲームオプションになっているっていうところだと思います。なので、どうやったら試合に出られるかというよりは、みんなで。もちろんそれぞれは最後まで出たいとか、毎試合出たいっていう思いは当然あるでしょうけど、そういう気持ちもありつつ、チームの現状というのも理解してくれている部分だと思います」。
実績のある小林、甲斐の存在はベンチ内に大きな影響を与えている。「それはもう、特に若い投手陣が多くなっていますから。それぞれの経験の中から、いろいろな話が聞けたりして、参考には当然なっていると思います」。試合に出ていなくても、両ベテランの“成績ではない貢献”がチームのレベルを上げている。
「試合に出た、活躍したという部分がクローズアップされてしまいますけど、そうじゃないところでも、各々がしっかりと役割を果たしてくれている。我々は裏側を見ていますので。その部分もやっぱり戦力ということになりますから。キャッチャー4人で“チーム”になっています」
巨人一筋で16年間プレー。“後輩”を語る村田コーチは誇らしげに見えた。
(湯浅大 / Dai Yuasa)