もがき続けるメジャー4年目…吉田正尚が語る“現在地” 自問自答を繰り返す日々、求める希望の光

メジャー4年目、もがき苦しむRソックス・吉田正尚【写真:ロイター】メジャー4年目、もがき苦しむRソックス・吉田正尚【写真:ロイター】

海を渡って4年…吉田正尚「自分の目で見て、肌で感じてみたかった」

 沈む夕日を、じっと見つめた。東海岸から西海岸に移動した2日(日本時間3日)。レッドソックスの吉田正尚外野手は、ロサンゼルスのニューポートビーチを歩いていた。「(メジャー4年目でも)移動は大変だよね。1日1コマと考えて、移動だけで終わってしまう日もあるぐらい」。眩しい日差しを浴びても、サングラスは胸元にある。経験や天性の感触を大切にする32歳は、自らの目で“現実”を見る。

 長い砂浜、木造の橋を歩きながら、言葉は続く。「こっち(米国)の街文化はすごいよね。もちろん、スポーツや競技が好きなのはそうだけど、野球もバスケもアメフトも……。みんな自分たちのホームタウンに誇りを持って応援している。ボストンの熱狂も、改めて考えてもすごいな……と思うよね」。ジリジリと日光を浴びながらも、海面をなでて当たる風は冷たい。

 オリックスを悲願の日本一に導いた2022年オフ。吉田はレッドソックスに移籍し、憧れだったメジャーの舞台に立った。「世界最高峰の場所を自分の目で見て、肌で感じてみたかったのでね」。

 メジャー挑戦1年目の2023年は、侍ジャパンの一員として第5回ワールド・ベースボール・クラシックにも出場。大会期間中、全7試合で打率.409、2本塁打、13打点。決勝の米国戦で際どいコースを見逃して三振を喫するまで「K」はゼロ。吉田のバットで世界一まで導いたと言っても過言ではない。

 それでも“新天地”は戦いの連続だった。「もう1度、自分をアピールしないといけない立場でした。WBCの優勝で、知名度も期待も上がっていた。世界一にはなりましたけど、また新しい自分を見せられるようにしないとな、と思ってグラウンドに出ていきましたね。ワクワクと不安、緊張感がありました」。あれから4年の月日が経った。

メジャー4年目で迎えた“正念場”

 今季の吉田は、もがいている。チームは38勝48敗の借金10でア・リーグ東地区の最下位に沈んでいる。86試合を消化して、吉田の出場は56試合。打率.250、2本塁打、11打点。相手の先発投手が左腕の試合は、ベンチスタートになるパターンも増えてきた。

ベンチスタートになる試合も増えてきた【写真:ロイター】ベンチスタートになる試合も増えてきた【写真:ロイター】

「メジャーリーグのファンは、わかりやすく応援してくれている。喜ぶ時は、ものすごく歓声をくれるし、ダメな時はブーイングの音もすごく大きい。ファンがスタジアムで声を大にして楽しんでいる。これが、野球を『楽しむ』ということなのかなと。ボールパークと呼ばれる理由がわかったてきている気がします」

 復調の兆しも見える。6月27日(同28日)の本拠地・ヤンキース戦は「1番・指名打者」で出場。初回先頭で2号ソロを放った。翌28日(同29日)の同戦では9回に代打で出場。右翼へ二塁打を放ち、二塁ベースには執念のヘッドスライディング。「ああいうところで見せないと。やっぱり、試合終盤からの出場とあって、より気持ちが入ってましたね。勝つために打席に入るので」。勝利に貢献した試合の景色は綺麗に映る。

「球場の雰囲気……すごく良いですね。すごくファンに楽しんでもらえているし、僕たちもファンに楽しませてもらえる。ボールパーク……。わかりやすく言えば、野球はエンターテインメントだと、すごく感じますね」

「心のどこかで、逃げ出したくなる自分もいましたよ」

メジャーの舞台で自問自答を繰り返す日々【写真:真柴健】メジャーの舞台で自問自答を繰り返す日々【写真:真柴健】

 初心を思い出す。メジャー移籍1年目の春先、打率が1割台に落ち込んだこともある。それでも最終的には打率.289でシーズンを終えた。高い壁にぶつかっても、這い上がる。「心のどこかで、逃げ出したくなる自分もいましたよ。メンタルの部分と技術の部分で改善したいことがあった。打率が1割台になってしまったり、足の怪我も重なったので。でも、こういう苦しみは、絶対に1度立ち止まって打開しないといけないと思ったんです」。自問自答を繰り返した。

「開き直って戦ったとしても、その場しのぎの戦い方になる。もちろん、僕も人間なので……。開き直りたくもなったりしましたよ。でも、それじゃ打開策になっていない。また同じような状態になってしまうと感じたので、原因を探らないと、と」

 光を追い求める。幾多の困難を乗り越えてきた男に、陽はまた昇る。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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