大谷翔平の左膝炎症…実は気になる“右腕” 専門家が警鐘、見え隠れする疲労の影響

投手として先発回避も…打者では11日に左中間ソロ、12日は中前打
ドジャース・大谷翔平投手は11日(日本時間12日)、本拠地でのダイヤモンドバックス戦に「1番・指名打者」で出場し、3打数1安打。今季前半戦最後の試合となる12日(同13日)の同戦後、左膝に溜まった水を抜く治療を受け、14日(同15日)のオールスターは辞退する。NPB通算89勝を挙げ、現在はメジャー中継の解説などを務める野球評論家・武田一浩氏は、自身も膝の故障に悩まされた経験から大谷の状態を危惧している。
大谷は左膝の炎症で、投手として先発予定だった10日(同11日)の同戦の登板を回避したが打者として「1番・指名打者」で出場し、初回に左中間へ21号ソロ。一夜明けたこの日も、3回の第2打席で真ん中高めのボール気味の151キロ速球を中前に弾き返した。はた目には故障の影響を全く感じさせなかった。
今季打撃成績は打率.290、21本塁打、57打点。昨季大谷と激しい本塁打王争いを繰り広げたフィリーズのカイル・シュワーバー外野手は、既に32本塁打を量産しており、11本差をつけられている。それでも武田氏は「2年連続ワールドチャンピオンを達成しているドジャースの選手たちは総じて、9月以降に絶好調になる気がします。シュワーバーに50本打たれてしまったら、追いつくのは難しいと思いますが、彼がペースダウンするようなら、大谷が逆転する可能性もなきにしもあらずだと思います」と見ている。
心配なのが左膝の状態だ。武田氏自身、中日時代の1999年オフから軸足である右膝に痛みを抱え、2000年には軟骨の摘出手術を受けた。その後苦闘を重ねたが、巨人に移籍した2002年限りで現役を引退。「僕の場合は当時、週に1回、爪楊枝くらいの針を膝に刺し、料理店で出される小さいビールグラスに半分くらいの水を抜いて、薬を入れていました」と振り返る。

「変化球の曲がりが早くなり、打者にとって見極めやすい」
武田氏は「僕の場合は軸足の右足、大谷の場合は踏み出す左足という違いがありますし、ひとくちに膝痛といっても、どの部分を痛めたかによって、症状や治療法が違います。蓄積疲労が原因の場合もあります。僕がそうであったように、水が溜まることが癖になるケースもあります」とした上で、「投球のメカニズムにおいては肩・肘だけでなく、膝も非常に重要ですから、軽視はしない方がいい」と懸念する。
今月5日に32歳となった大谷は今季、投手に専念したり、二刀流で出場した翌日の試合にフル出場したりするケースがある。投手としては6月10日(同11日)のパイレーツ戦前まで防御率が驚異の0点台だったが、その後4試合連続3失点以上でややペースダウンしていた。
武田氏は「最近は投球の際に肘が少し下がり、立っていないといけない手首も寝てしまっているため、変化球の曲がりが少し早くなり、打者にとって見極めやすくなっています。これだと腕の負担も増します。原因は疲労ではないでしょうか」と指摘する。
「先発を1度回避し、オールスターも辞退したことで、多少疲れは抜けると思いますから、後半戦最初の登板に注目したいと思います」。図らずも訪れる本当の“オールスター・ブレーク”を、後半戦の大活躍につなげてほしい。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)