今季は日本人投手にCY賞は難しい?「印象が…」 武田一浩氏、山本由伸は「昨季より進化」

「年間30試合投げていれば、こういう日もある」
ドジャース・山本由伸投手は今季オールスター前の全登板を終え、17試合9勝6敗、防御率2.85。前半戦最後の11日(日本時間12日)・ダイヤモンドバックス戦では6回を投げメジャー移籍後自己ワーストタイの6失点を喫したが、現役時代に右腕投手としてNPB通算89勝を挙げ、メジャー中継の解説などを務める野球評論家・武田一浩氏は「心配する必要は全くない。昨季よりも進化している」と断言する。
11日のダイヤモンドバックス戦も、5回までは上々の出来だった。ストレートのスピード、スプリット、シンカーの切れ味は申し分なく、タイミングを外すカーブのコントロールも良かった。4回に1死から四球を与え、さらに高いバウンドで一塁手の頭上を越えていく不運な右前打で1死一、三塁。次打者の三ゴロの間に先制の1点を許したが、これは致し方なかった。
6回1死一塁の場面で打たれた右前打も、バットの先に当たった打球が一、二塁間を抜けた“コースヒット”だった。しかし、ここから中犠飛、左翼線適時二塁打と畳みかけられ、少し気落ちしたのか、8番のジェームズ・マキャン捕手にも3ランを浴びた。あれよあれよという間に、この回だけで5失点を喫したのだった。
武田氏は「ボールは悪くなかったので、心配する必要は全然ないと思います。不運な当たりのヒットが多くて、6点取られましたが、打たれた感じはあまりなかった。年間30試合投げていれば、こういう日もあります。絶好調ではなかったにせよ、山本としては普通の出来だったと思います。絶好調でも、やられる時はありますから」と分析した。
「今季の山本は、昨季よりもいいと思います。コントロールがいいですし、カットボールを増やして投球の幅が広がりました。このカットボールは左打者の外角からストライクゾーンに食い込んでくる球で、カウントを稼げますし、見逃し三振も取れます。安定感はチーム随一です」と称賛する武田氏。確かに、QS(クオリティ・スタート=6回以上を投げて、自責点3以内)が13に上り、リーグ3位にランクされている(トップタイの2人の「14」に1差)ことが、今季の山本の安定感を物語っている。
最速169.8キロを計測し防御率両リーグ断トツのミジオロウスキー
30試合12勝8敗、防御率2.49で終えた昨季も、武田氏は「サイ・ヤング賞に選出されてもおかしくない」と絶賛していた。実際に、山本は昨季のナ・リーグのサイ・ヤング賞投票で、満場一致で選出されたパイレーツのポール・スキーンズ投手、次点のフィリーズのクリストファー・サンチェス投手に次いで3位に入った。
「今季はブルワーズのジェイコブ・ミジオロウスキー投手の印象が凄いので、今後故障がなければ、サイ・ヤング賞は彼が取るのではないかと思います」と武田氏。ミジオロウスキーは今季、最速169.8キロを計測し、防御率は両リーグを通じて断トツの1.62をマークしている。一方で「山本も最終的に15勝くらいできると思いますし、昨年に続いてポストシーズンで大活躍できればいいなと思います」と予想する。
山本は14日(日本時間15日)のオールスターには、前出のダイヤモンドバックス戦からわずか中2日となるため登板しない。それでも後半戦には、昨季以上の楽しみが待っている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)