驚異の防御率0.47…ロッテ・中森俊介が打たれないワケ 操る複数フォーム、怪我防止へ欠かさぬ“30分間の工夫”

今季19試合で1失点と躍動するロッテ・中森俊介【写真:加治屋友輝】今季19試合で1失点と躍動するロッテ・中森俊介【写真:加治屋友輝】

6年目・中森俊介は今季19試合で1失点…1勝0敗10ホールド

 ロッテ・中森俊介投手が好調な投球を続けている。今季は開幕2軍スタートも、5月に1軍昇格後は12試合連続無失点を記録するなど19試合でわずか1失点。10日のオリックス戦(ZOZOマリンスタジアム)では、9球で3者凡退に抑えた。防御率は驚異の0.47をマークしている(12日終了時点)。

「今の状態は悪くないです。ちょっとのバランスのズレとかはありますけど、そこをうまく対応しながらできてるなと思います。正直、中継ぎをやっている上で防御率ってあんまり重要じゃないと思っているんです。リードを守ってつなげるというのが大事。自分に任せられた役割というのをしっかり全うできるようにしたいなと思います」

 明石商高から2020年ドラフト2位で入団。3年目の2023年に1軍デビューを果たし、プロ初勝利も記録した。2024年は先発でも勝利投手となるなど着実にステップアップ。昨年は開幕から勝利の方程式の一角を担い、前半戦だけで自己最多25試合に登板し、2勝2敗5セーブ10ホールド、防御率1.23の好成績で初のオールスター出場を果たした。

 ただ、オールスター出場が決まった後の7月13日に腰痛で出場選手登録を抹消。強行出場したオールスターは第2戦で5回に登板したものの「メッチャ腰は痛かったです」と振り返る。「痛いですけど、最後まで耐えながらできるかなって思ってたんですけど、そこでパフォーマンスが出なかった」。本来の力を発揮できず、2本のソロ本塁打を浴びた。

「パフォーマンスが出せないなら1軍にいても戦力にならない。しっかり治療に専念しようと思いました」。後半戦は一度も1軍に上がることなくリハビリに終始。「腰は11月くらいには治っていた」という一方で「投げていなかった分、筋力的なところも衰えていました。そこを戻すのにちょっと時間がかかったという感じです」。万全の状態に戻すことを優先し、今季開幕は2軍で迎えた。

 5月4日に1軍昇格すると、同日のオリックス戦(京セラドーム)で今季初登板。1三振を奪って3者凡退に抑えた。勢いに乗ると12試合連続無失点をマーク。6月7日の巨人戦(東京ドーム)で1失点したものの、その後の6試合は再びゼロを並べている。19試合全て1イニングを投げ切り、1勝0敗10ホールド、防御率0.47。抜群の安定感を示している。

 6年目の24歳右腕は好成績にも満足していない。「パフォーマンスはまだまだ。球速も全然上がってきていない」。10日のオリックス戦では紅林弘太郎内野手を150キロ直球で右飛、宗佑磨内野手は148キロ直球で遊ゴロ、若月健矢捕手は151キロ直球で右飛に仕留めて3者凡退。直球で押し込んでいるように見えたが、「平均150キロは超えていかないと。超えたいんです」と力を込める。

今季の最大の目標はシーズンの完走【写真:栗木一考】今季の最大の目標はシーズンの完走【写真:栗木一考】

マウンドや体の状態に合うフォームをその都度模索

 元々、150キロ台中盤の直球を投げられるだけに「真っすぐが強ければ、よりカウントを整えやすくなる」と高みを見据える。「日によって真っすぐの強さのブレというのがまだ多少あるので、再現性というか適応性、そこを求めていきたい」とどこまでも貪欲だ。

 安定して強い威力の球を投げ続ける。中森にとってポイントになるのは、再現性よりも適応性だという。「よくフォームを再現という言葉があると思うんですけど、僕は再現ってそんなに大事じゃないと思っています。いろんなマウンドで投げますし、土の硬さや掘れ具合も違う。いろんなところに適応しないといけない。その適応性が大事なのかなと思っています」。

 適応性を高める努力は怠らない。自分の中で複数のフォームが存在する。「フォームを一つに絞って突き詰めていくというより、いろんなフォームで投げる。時にはキャッチボールで遊びがてらサイドスローで投げたりして、体のいろんなセンサーを自分の中で感じ取るんです」。マウンドの状態などで微調整できる引き出しを増やすのである。

「やっぱり毎日、体の状態が違うと思う。張りが出たりしますし、そこで同じフォームを突き詰めていくというのも大事だと思うんですけど、僕はその体の状態を見ながらフォームを当てはめる。練習ではいろんなフォームで投げたり、いろんなことを試しています」

 昨年は故障で後半戦を棒に振っただけに、体のケアにも余念がない。特に腰痛の再発には気をつけている。疲労を残さないよう睡眠時間は8〜9時間確保。さらに日中も「仮眠、昼寝を20〜30分とることもありますし、やっぱりスッキリする」という。「ルーティンではないですけど、その日の体調にあった調整です」と説明した。

 昨年12月には一般女性との結婚を発表。「それはもう頑張らないといけない。責任感もあります」と発奮材料の一つとなっている。将来的には「先発をやりたい」と言いつつ、「今は与えてもらっている自分のポジションがある。そこは嬉しいこと。意気に感じながら、その期待には応えたい」と自覚を見せる。

 最大の目標はシーズンの完走。「やっぱり最後まで投げるというのが一番です。打たれる試合もあるとは思うんですけど、引きずらずに、怪我もせずに最後まで1軍にいられるのが一番だと思っています」。昨年とは何もかもが違う。成長を続ける若き右腕が、まだまだギアを上げてフル回転していく。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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