防御率1点台でもNPBからオファーなし…痛感した差、消えた情熱 元DeNA左腕の“第2の人生”

引退会見に出席した際の田中健二朗【写真:湯浅大】
引退会見に出席した際の田中健二朗【写真:湯浅大】

田中健二朗氏はTJ手術から復帰後2年でDeNAを戦力外となった

 DeNAを戦力外となり、2024年からくふうハヤテ(現ハヤテ)でNPB復帰を目指した田中健二朗氏だったが、思いは叶わず2025年シーズン限りで現役を引退した。好成績を残していたが、初年度はNPB球団との契約期間期限前に怪我を負い、2年目を迎えてもNPBからは声がかかることはなかった。

「“なんで?”っていうことばかりだった気がします。怪我ばかりしていました」

 加入初年度、セーブを挙げた5月14日のヤクルト戦で左肩に痛みが走った。「キャッチボールもできないくらいでした」。約2週間空けて同30日のDeNA戦で無失点に抑えるも激痛は消えない。ここまで防御率0.00の結果を残していながらも、治療に専念することとなった。「肩甲骨の裏側の肉離れでした。そんなとこを肉離れするんだ、とびっくりしたんです」。

 長期離脱を余儀なくされ、その間にNPB球団との契約可能期限の7月31日も過ぎた。復帰は9月12日の広島戦。1年でNPBへ戻れなかったが「怪我があったから、もう1年ちゃんと勝負したいなと思って。来年もう1回、7月いっぱいまで勝負して、そこからどうするか決めようと」。翌2025年も現役続行を選び、35歳で最後の勝負に出た。

 迎えた2025年、6月20日まで20試合登板で24回1/3を投げて防御率0.74と結果を残すなか、同22日のソフトバンク戦で2/3回6失点を喫した。「本当に勝負をかけて挑んだ年で6失点してしまって、これ以上頑張れないなっていう気持ちになってしまいました」。張り詰めていた気持ちの糸が緩んだ。

DeNAなどでプレーした田中健二朗氏【写真:湯浅大】
DeNAなどでプレーした田中健二朗氏【写真:湯浅大】

「自分なりに恩返しをしていきたい」

 6失点した試合以降も無失点投球を続けたが、オファーがないままNPBへの移籍期限の7月31日を越え、引退を決めた。「NPBにいられれば40歳までやりたいなと思っていたんですけどね」。34試合に登板し3勝3セーブ、防御率1.91の成績を残しながら、9月に引退を発表した。

「NPBへの壁は感じました。パフォーマンスがいいという理由だけでは獲ってもらえない。チームにプラスの影響を与える選手じゃないと戻ることができないと思いました。めちゃめちゃ突き抜けないと難しいですよ」。ベテランの域となった年齢で、NPBへ復帰する難しさを痛感した。

 DeNAで16年間、ハヤテで2年間プレーした。179センチ、80キロとプロ野球選手として決して大柄ではなく、剛腕でもない。それでもNPBで274試合、ハヤテで52試合で投げた。

「人より少しだけ球を速く見せるとか、あまり投げられないような軌道の変化球を投げるとか、なんとか工夫してバッターに向かっていった。周囲より素晴らしい肉体があるわけでもない。ちょっとだけ他の人ができない部分がいい方向に出ていたのかなっていう感じです」

 現在は野球教室に積極的に参加し、母校の常葉菊川で臨時コーチを務めることもある。「いずれは自分でアカデミーを立ち上げたい。まずは色々なことを勉強させてもらっています。これまで本当に周囲に支えられてきたので、今度は自分なりに恩返ししていきたいと考えています」。ユニホームは脱いだが、野球への情熱は衰えていない。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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