MLBのトレード期限が迫る…ドジャースの動きは?
米国の有力紙やスポーツ専門メディアの記者が、日本国内の報道とは一線を画す視点を提供する「MLB Press Box~米国記者の忖度なき評価~」。今回はドジャースを長年取材するディラン・ヘルナンデス記者(カリフォルニア・ポスト)が、約2週間後に迫るトレード期限の動きを読む。
著者:ディラン・ヘルナンデス
Dylan Hernandez
カリフォルニア・ポスト所属
エルサルバドル出身の父、新潟出身の日本人の母を持ち、日本語も堪能。カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)を卒業。「サンノゼ・マーキュリー」紙を経て、2025年まで「ロサンゼルス・タイムズ」紙に所属し、コラムニストを務めた。2026年から「カリフォルニア・ポスト」に所属。
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メジャーリーグは現地8月3日の午後6時にトレード期限を迎える。毎年期限間近には多くのトレードが成立し、各球団が戦力を調整するのだが……。私はコラムニストとして毎年この時期は様々な予想記事を書ける“好きな時期”なのだが、今年ほどつまらない状況は久しぶりだ。
ワールドシリーズ3連覇を目指すドジャースは、2位に11.5ゲーム差をつけて前半戦を終えた。プレーオフを戦う戦力は現時点で申し分なく、大きなトレードはしないだろう。
2年連続でサイ・ヤング賞になったタイガースのタリク・スクーバルはトレード期限の注目選手だ。普段なら「何が何でも獲るべき」と言いたいところなのだが、今季に関してはそうとも言えないのだ。
現状、ドジャースではタイラー・グラスノーが離脱しているが、プレーオフに間に合うとすれば、プレーオフの4人のローテーションは大谷翔平、山本由伸、ブレイク・スネル、タイラー・グラスノーで固い。そこにスクーバルがいれば、ここから誰かをリリーフに回す必要がある。仮にスクーバルのコンディションがまずかったとして、スクーバルにリリーフ起用は頼みづらいところもある。
思い出すのが2021年だ。トレード期限の目玉だったマックス・シャーザーがドジャースに入り、好成績を残した。ただプレーオフでは地区シリーズでわざわざリリーフ登板を志願。その結果もあって、リーグ優勝決定シリーズ第6戦では腕の疲労で先発を辞退し、ドジャースは負けてワールドシリーズ進出を逃したのだ。
シャーザーはその性格もあり、途中加入とはいえ彼に物申せる人は少ない。最終的に急きょ登板を回避し、ワールドシリーズを逃す結果になってしまったことを根に持っているチームメートは多いと思う。
もちろん、当時シャーザーはトレード期限では断トツで目玉だった選手。しかし、野球がうまいからといって安直に選手を獲得すると、予想しないような問題が発生することもある。
一方、ドジャースでの半年で好成績を残し、メッツとの大型契約に繋げたシャーザーは結果的に上手い立ち回りだった。特にこっちは、「野球はビジネス」だから。
なので、先発投手は無理に獲らなくてもいい。野手ではムーキー・ベッツ内野手も徐々に調子を上げてきた。2年前のように、「彼が打席に立てばなにかラッキーなことが起こるんじゃないか」という雰囲気に戻りつつある。彼が以前のような状態になれば、打線の厚みはさらに増す。彼が復活すれば、ドジャースにとってはスター野手を1人獲得したことと同じになるのだ。
リリーフもプレーオフを見据えれば盤石な布陣だ。守護神エドウィン・ディアスの復帰が近い。去年ちょっと問題だったタナー・スコットもいい成績を残している。1人くらいは増やしていい感じもするが、このままいけばプレーオフではロブレスキー、佐々木朗希がブルペンに回ればいいので、現時点である程度の計算が立つ。
仮に今の投手陣にスクーバルが加入すれば、「どうやってプレーオフのローテーションを回すんだ」みたいな予想で話が膨らむ。それほどドジャースの投手陣が充実しているということで、ある意味、ドジャースにとっては幸せな問題だ。ただ私としては、面白くない(笑)。
(ディラン・ヘルナンデス / Dylan Hernandez)