遊撃手の常識を覆す25歳 日本ハムの若き才能が打線を変える、覚醒のメカニズム

リーグトップの6本の三塁打を放っている日本ハム・水野達稀【写真:球団提供】 
リーグトップの6本の三塁打を放っている日本ハム・水野達稀【写真:球団提供】 

打撃開眼の兆し、向上を続ける驚きの生産性

 日本ハムの水野達稀内野手が、16日時点で打率.292を記録し、リーグ5位に名を連ねている。守備の負担が大きい遊撃手を務めながら、一時は打率ランキング2位に入るなどハイレベルな打撃成績を残し、上位争いを繰り広げるチームにとって大きな原動力となっている。これまでの成績や指標をもとに、水野の強みや特徴、そして今季好調の要因に迫る。(※数字は16日の試合終了時点)

 プロ1年目の2022年と2023年は、打率が1割台に沈み、OPSも.334(2022年)、.481(2023年)と指標面で苦戦を強いられた。出場機会も2022年は21試合、2023年は31試合に限られていた。しかし、2024年に打率.220、2025年に打率.247と年々数字を向上させ、2024年から2年連続で100試合以上に出場している。打率のみならず、出塁率と長打率も毎シーズン上昇しており、OPSはプロ1年目から5年連続で右肩上がりだ。現在、リーグトップの6本の三塁打を放っており、今季のOPS.788はリーグ7位と、リーグ屈指の生産性を誇る打者へと成長を遂げた。

 その他の指標に目を向けると、通算打率.242に対し、通算出塁率は.290と3割に届いていない。打率と出塁率の差を示すIsoDもキャリア平均で.048とやや低く、ボールをじっくりと見極めるよりも、積極的に仕掛けていく打撃スタイルが浮き彫りとなる。

 この傾向は、1軍で初めて100試合以上に出場した2024年は特に顕著で、359打席で選んだ四球は13個、IsoDは.031にとどまった。一方、2025年には出塁率がキャリア初の3割超えとなる.317を記録し、IsoDも平均的な水準である.070まで向上するなど、四球を選ぶ割合が増加した。

プロ入り後に記録した年度別の指標【画像提供:PLM】 
プロ入り後に記録した年度別の指標【画像提供:PLM】 

遊撃手として大きなプラスを生み出し、今後もチームをけん引できるか

 2026年は打率.292に対し、出塁率.336、IsoD.044と再び積極的な打撃スタイルに戻っている。以前のスタイルに戻したにもかかわらず、着実に成績を向上させている点は、試行錯誤の跡と向上心の表れと言える。

 選球眼やストライクゾーンの管理能力を示すBB/Kに注目すると、2022年から2024年までは3年連続で1割台と低迷していたが、2025年と2026年は2年続けて.304を記録しており、キャリア初期と比較して改善が見られる。2025年にIsoDが向上し、2026年には再び積極的な打撃スタイルに戻した経緯がありながら、BB/Kを維持している点は、ストライクゾーンの管理能力が向上したことを証明している。

 本塁打を除くインプレーとなった打球が安打になった割合を示すBABIPは、運に左右される側面が強く、一般的に.300が基準とされる指標だ。水野のBABIPは、2022年が.200、2023年が.250、2024年が.269と、キャリア初期の3年はいずれも大きく基準値を下回っていた。この数字は、同時期に打撃面で苦戦を強いられていた理由の一端を示している。2025年には.299と基準値に近い値まで改善され、打率も向上した。今季は.337と基準値を大きく上回る数値へと飛躍的に上昇しており、これまでのキャリアで運に恵まれなかったぶんの揺り戻しが訪れている。

 BABIPはフェアゾーンに飛んだ打球が安打になる確率を意味するだけに、ボールに食らいつく積極的な打者にとっては大きな意味を持つ。まさに、これまで以上に本領を発揮するシーズンと言えるだろう。昨季、IsoDの改善を経て、今季は好球必打の姿勢へ回帰し、OPSや長打率を大きく引き上げた。このBABIPの上昇と自身の打撃スタイルが相乗効果を生み、持ち味が存分に発揮されている。上位を争う日本ハムの中心選手へと成長を遂げつつある水野の打撃成績は、後半戦におけるチームの浮沈を左右する重要な鍵となるはずだ。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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