なぜマーリンズは佐々木麟太郎に惚れ込んだのか? 番記者が明かすソフトバンクの好条件を蹴った“140発男の信念”

マーリンズの本拠地で入団会見に臨んだ佐々木麟太郎【写真:アフロ】マーリンズの本拠地で入団会見に臨んだ佐々木麟太郎【写真:アフロ】

マーリンズ番アルバレス記者「ササキのパワーには本当に驚かされた」

 マーリンズと正式契約を結んだ佐々木麟太郎内野手(スタンフォード大)が23日(日本時間24日)、本拠地マイアミのローンデポ・パークで入団記者会見に臨んだ。高校通算140本塁打を誇る怪物大砲のメジャー挑戦に対し、現地メディアも強い関心を寄せている。米スポーツメディア「エル・エクストラベース」でマーリンズ番記者を務めるダニエル・アルバレス氏も、佐々木の将来性と秘められたポテンシャルに大きな期待を寄せた。

 アルバレス記者は、マーリンズが佐々木の獲得に踏み切った背景について、球団が抱える長年の課題と佐々木の長所が見事にかみ合った結果だと分析する。

「マーリンズは現在、パワフルな打者がそれほど多くないチームだ。彼のようにボールを強く叩けたり、遠くへ飛ばせたりする長打者は決して多くない。だからこそ、彼のような打者が組織に加わることは球団にとって非常に重要な意味を持つ。チームにいないタイプの打者であり、まさにこの球団にとって、うってつけの存在だ」

 アルバレス記者が佐々木を評価する上で、まず最大の魅力として挙げたのが、その圧倒的なスイングの速さと圧倒的な長打力だ。

佐々木の最大の魅力は「間違いなくパワーだ」

日本人離れした圧倒的なパワーは米国でも注目を集めている【写真:アフロ】日本人離れした圧倒的なパワーは米国でも注目を集めている【写真:アフロ】

「彼の何に最も感銘を受けたかと言われれば、間違いなくパワーだ。バットのスイングスピード、手の振りが非常に速く、あっという間にバットがボールへと向かう。ストライクゾーンの中の球はもちろん、ゾーンから外れた球であってもスタンドまで運ぶことができる技術を持っている。彼のパワーには本当に驚かされた」

 さらにアルバレス記者は、技術面だけでなく佐々木の精神的な成熟度や人柄についても高く評価している。日本での慣れ親しんだ環境を離れ、言葉も文化も異なる米国へと飛び込み、大学野球で揉まれた経験が、彼を一回り大きく成長させたという。

「彼の『成熟度』にも目を見張るものがある。英語が話せない状態から米国へ渡り、新たな言語や文化を学ぼうと挑戦した。その経験は、彼を野球選手としてだけでなく、1人の人間としても大きく成長させたはずだ。困難に向き合う姿勢には、彼の素晴らしい人柄が表れていると感じる」

米メディア「エル・エクストラベース」でマーリンズ番記者を務めるダニエル・アルバレス氏【写真:小谷真弥】米メディア「エル・エクストラベース」でマーリンズ番記者を務めるダニエル・アルバレス氏【写真:小谷真弥】

ソフトバンク入団なら1億5000万円の契約金を得る可能性があった

 花巻東高時代に高校野球の歴代最多とされる本塁打記録を打ち立てた佐々木。日本のプロ野球ドラフト会議でもソフトバンクから1位指名を受け、日本に残れば契約金の上限1億5000万円(出来高5000万円を含む)や確固たる将来が約束されていた。しかし、佐々木は契約金も安いメジャーリーグ挑戦という道を選んだ。この決断に、アルバレス記者は強い感銘を受けたという。

「日本に残っていればもっとお金を稼げたという指摘には、確かに同意する部分もある。しかし、その選択こそが、彼がお金のためだけにプレーしているのではないということを何より証明している。メジャーリーグで本当に素晴らしい選手になれば、結果としてここで大きな成功とお金を掴むことができると彼は理解しているのだろう。自分自身の中で明確な目標を設定し、それに向かって突き進む信念の強さを感じる。彼がどのような人物なのかを物語っている」

 そして、話が佐々木の「将来像」に及ぶと、アルバレス記者の口からは日米の野球ファンを唸らせる具体的なスター選手の名前が飛び出した。これこそが佐々木に抱く最大の期待の表れだ。

「彼は非常にインパクトのある選手になれるポテンシャルを秘めている。マーリンズにはここ近年、彼のような生粋の長距離砲がいなかった。一塁手としてそれだけのパワーを持った選手が打線に入ることは、チームにとって大きな強みになる。通算300本塁打以上のカルロス・サンタナのようなスラッガーになるかもしれないし、それ以上のパワーを発揮する可能性だってある。ホワイトソックスのムネタカ・ムラカミ(村上宗隆)に近い存在と言ってもいいだろう。また、かつてマーリンズで活躍し、日本の阪神でもプレーしたジャスティン・ボーアのような主砲になってくれることも期待できる」

村上宗隆のようなパワー溢れる打撃が期待される【写真:ロイター】村上宗隆のようなパワー溢れる打撃が期待される【写真:ロイター】

指摘した課題「養うことが重要になる」

 メジャー最高峰の主砲たち、そしてホワイトソックスの村上宗隆や、かつてマイアミと日本を沸かせたボーアの名を挙げたアルバレス記者。もちろん、メジャーの厚い壁を突破するためには、今後の課題克服も欠かせないと冷静に指摘することも忘れない。

「今後は、打席でのコンタクト率を高めること、そしてボール球を追いかけすぎない選球眼を養うことが重要になる。その部分を自分自身で整理し、アジャストできるようになれば、もともと打球を強く飛ばす力はあるのだから大成功を収めることができるはずだ。また、一塁としての守備面もさらに磨いていく必要があるだろう」

 若き大砲が踏み出したメジャーへの第一歩。地元の番記者もその無限の可能性に太鼓判を押しており、主砲として花開くその時を、現地メディアも固唾をのんで見守っている。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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