“所沢が泣く日”まで1か月…それでも栗山巧は「必死にやってる」 25年目も変わらぬチームへの思い

現役最終年に臨む西武・栗山巧は真夏を迎えた7月も2軍で黙々とバットを振り続けている【写真:加治屋友輝】現役最終年に臨む西武・栗山巧は真夏を迎えた7月も2軍で黙々とバットを振り続けている【写真:加治屋友輝】

8月30日に引退セレモニー&引退試合が実施

 西武の栗山巧外野手は今季限りでユニホームを脱ぐ。球団は8月30日にベルーナドームで開催する楽天戦で引退試合と引退セレモニーを行うと発表している。“所沢が泣く日”まで約1か月。孤高のバットマンは、今どのような心境でいるのだろうか――。

 昨年11月24日、契約更改を終えた栗山が「私、栗山巧は、2026年シーズン、僕自身の25年目を迎えるシーズンで、締めくくりのシーズンとさせていただくことを報告します」と表明した。

 異例ともいえるシーズン前の“引退宣言”について「ファンの皆様に、しっかり僕のプレーを見てもらいたい。自分が培ってきた技術を見てもらうことによって、ファンの皆様に支えてもらってここまで来られた感謝の気持ちを伝えたい」と語っていた。並々ならぬ決意のもと、2026年シーズンを迎えていた。

 7月23日、カーミニークフィールドで行われたファーム・リーグの前半戦最終となったヤクルト戦。「4番・指名打者」で第1打席を終えた42歳はベンチへ下がり、早々に球場脇の灼熱の通路をクラブハウスへと静かに歩いていた。一般客も通る場所とあって、まさかの“遭遇”に驚くファン。オーラを漂わせながらも「頑張ってください」の声に「ありがとうございます」と笑みを浮かべた。

 自らが決めた「締めくくりのシーズン」。今は、栗山はどんな胸中でグラウンドに立っているのだろうか――。

2軍での前半最終戦で途中交代すると、静かにグラウンドから引きあげた【写真:湯浅大】2軍での前半最終戦で途中交代すると、静かにグラウンドから引きあげた【写真:湯浅大】

4月に1軍昇格も10試合の出場に終わった

「いや、特に変化はないですよ。いつもと一緒っすよ」

 感情を押し殺して変わりないように努めているのか。「いえ、いえ、本当にそんなこともないです」と白い歯を見せた。記者が「引退試合が発表されて、あと1か月くらいに迫っているけど」と続けたら「引退セレモニー、ね。まあ、特別な気持ちとかはないですね」。現在も1人の選手として、これまでのシーズンと同じ気持ちでプレーを続けている。

 今季は2軍で開幕を迎えたが、4月18日に出場選手登録。10試合の出場で9打数1安打、打率.111で5月25日から再び2軍で調整している。

 チームは2023年から3年連続でBクラスに低迷したが、この苦しい時期に経験を積んだ才能溢れる若手選手が今年に入り躍動。交流戦では初優勝を飾り、リーグ戦でも2位につけている。

「今、僕はこっち(2軍)にいて、こっちはこっちで必死にやっているので、それで上がどうとかって感じる部分はないです。ただ、僕が1軍にいた1か月の間は、成長している姿というのは見られましたし、頑張っているなと思って見ていましたよ。うん」

西武一筋のプロ人生、最後まで優勝にこだわる【写真:加治屋友輝】西武一筋のプロ人生、最後まで優勝にこだわる【写真:加治屋友輝】

西武一筋25年…通算2151安打

 ただ、栗山自身が2軍に居続けるつもりもない。チームが勝つための力になりたいという思いは消えることはない。

「それはもう変わらずですね、うん。そういう気持ちは当然あるし、優勝争いするね、そういう1人のメンバーとして、戦力になりたいっていう思いは、それは変わらないです。それはずっと一緒です。去年も、もう毎年一緒ですよ。はい」

 引退試合のためではなく、1軍が勝つために栗山の力を必要とするタイミングはきっとくるだろう。ベンチにいるだけでチームに影響力をもたらす男。西武一筋25年、球団生え抜き選手として歴代最多の2151安打を誇るヒットメーカーは、勝利へ導く快音を、まだまだ積み重ねていく。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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