大量失点しても無人のブルペン ド軍32歳が受け入れたメジャーの残酷さ「役目を果たさねば」

レッドソックス戦に登板したドジャースのコール・アービン(左)とデーブ・ロバーツ監督【写真:ロイター】
レッドソックス戦に登板したドジャースのコール・アービン(左)とデーブ・ロバーツ監督【写真:ロイター】

32歳左腕アービンは6回8安打6失点で今季初黒星

【MLB】Rソックス 9ー4 ドジャース(日本時間1日・ロサンゼルス)

 韓国球界を経て2年ぶりにつかんだメジャー復帰戦。そこにあったのは華やかな祝福ではなく、あまりにも酷な現実だった。ドジャースのコール・アービン投手は7月31日(日本時間8月1日)、本拠地のレッドソックス戦の3回途中から3番手として登板。移籍後初登板は6回8安打6失点と打ち込まれ、今季初黒星を喫した。

 カリフォルニア州アナハイム出身の32歳。ドジャースとマイナー契約を結んだ左腕は今季、傘下3Aオクラホマシティで9勝6敗、防御率3.26の好成績を収め、自らの力で2年ぶりのメジャーの舞台を掴み取った。だが、出番が巡ってきたのは、試合展開に関係なく、イニングを消化するという苦しいマウンドだった。

 試合中、ブルペンには誰一人として投球練習を行う投手はいなかった。どれほど痛打を浴び、失点を重ねようとも、アービンがマウンドを降りる選択肢は最初から用意されていなかった。託されたのは「反撃」のためではなく、1日(同2日)以降の戦いのために「味方のブルペンを休ませる」という、あまりにも切ない役目だった。

 打ち込まれるたびにベンチの視線を感じながらも、アービンはただ黙々とストライクゾーンへ投げ続けた。試合後、アービンは「負けたことは本当に悔しい。だが、ブルペンを休ませるという自分の役目は果たさなければならなかった」と声を絞り出し、「地元でこの青いユニホームを着られたことだけは、胸を張り続けたい」と、寂しげな笑みを浮かべた。

 デーブ・ロバーツ監督もまた、胸を痛めながら残酷な采配を下したことを認めた。「コールにはできる限り長く投げてもらう必要があった。勝ち越しを目指す戦いの中で、時に我々はこうした痛みを甘んじて受け入れなければならない。渦中にいる時、決して良い気分などしない」と苦渋の表情を浮かべ、「チームのために泥をかぶってくれた彼の仕事には、感謝しかない」とベテランの犠牲に最大限の敬意を払った。

 2年ぶりのメジャー登板は6回6失点。その数字の裏には、メジャーの熾烈な競争と、チームの明日を守るために一人でマウンドに立ち続けた32歳の、報われぬプライドが滲んでいた。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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