屈辱の「189.00」からの再出発 オリ齋藤響介の現在地…降板後に岸田監督が伝えた“全力投球”の意味

7月22日のソフトバンク戦で7失点を喫し降板するオリックス・齋藤響介【写真:栗木一考】7月22日のソフトバンク戦で7失点を喫し降板するオリックス・齋藤響介【写真:栗木一考】

オリックスの4年目・齋藤響介は今季初登板で1/3回を7失点…翌日に2軍降格

 1軍成績の欄に刻まれた数字は「189.00」。2年ぶりの1軍登板で味わった屈辱は、必ず1軍で返すと誓っている。高卒4年目を迎えたオリックスの齋藤響介投手は「やっぱり1軍の舞台だと、真っすぐをゾーンに入れにいったら、一発で捉えられる。昨年を考えれば一歩は進めているので、負けずに頑張っていきたい」と、リベンジの炎を燃やしている。

 待ちに待った1軍マウンドは、あっけなく終わった。7月22日のソフトバンク戦(みずほPayPayドーム)。8点ビハインドの4回にリリーフ登板するも、先頭の山本恵大外野手から3連打を浴び2点を失う。さらに1死二塁からは5連続長短打を許して計7失点。打者9人に34球を投げ、1/3回を8安打7失点というほろ苦い結果で降板した。

 今シーズンは昨年負傷した右肘の状態を見ながら調整を続け、2軍で11試合に登板。4勝0敗、防御率1.94の好成績を残して7月20日に今季1軍初昇格を果たした。だが、滅多打ちをくらった翌日に登録を抹消され、2軍での再調整を命じられた。1軍滞在はわずか3日間。前半戦が終わり、1軍での成績は「1試合登板、0勝0敗、防御率189.00」という数字だけが残った。

 降板後、岸田護監督とマンツーマンで話す機会があったという。なぜ、あれだけの痛打を浴びたのか――。両者の意見は一致していた。

「監督などとも色々お話ししたのですが、やっぱり意見は一緒でした。ゾーン内にポンポン投げている感じで、全力で投げていないわけではないですが、枠内にマックスの力で投げ切れていない感じだったんです。たくさんの言葉を頂きました」

平井2軍投手コーチが抱く齋藤の課題と期待【写真:小林靖】平井2軍投手コーチが抱く齋藤の課題と期待【写真:小林靖】

平井2軍投手コーチが抱く課題と期待「リミッターがかかっている」

 制球を重視するあまり、無意識に出力を抑えていたことに気づかされた。抹消後に球団施設のある舞洲に戻ると、自らの課題と向き合いトレーニングを開始。「枠内にマックスで投げ切るためのトレーニングをしています。このままでは1軍の打者には通用しない」と、覚悟を決めた表情を見せる右腕に、平井正史2軍投手コーチも成長を感じ取っていた。

「あれだけバカバカ打たれて、もっと落ち込んでいるのかなとは思っていたけれど、そういうのもなかった。メカニック的なことも自分でしっかり分かっているし、やることは明確。本人的にも、腕は振れているんだけど、まだゾーンの枠にいくか、いかないか分からないというところのリミッターがかかっている状態なんだよ」

 盛岡中央高(岩手)から2022年ドラフト3位入団した齋藤は2024年に初勝利を含む2勝を挙げ、山本由伸(現ドジャース)から“ネクストブレーク候補”に指名され注目を集めた。150キロを超える直球とキレのあるスライダー。誰もが羨むポテンシャルを持っているだけに、平井コーチはもどかしさも感じている。

「デビューから見たらやっぱり期待するよ。でも、あの時はポテンシャルだけでやっていた部分もある。技術もそうだし、まだまだやらなきゃいけないことはいっぱいある。響介の尻を叩きながら、頑張らせなきゃいけない。もっと練習せなアカンってことだよな」

4日、ファームのオイシックス戦に登板した齋藤響介【写真:橋本健吾】4日、ファームのオイシックス戦に登板した齋藤響介【写真:橋本健吾】

ファームでの復帰登板で見せた希望…「189.00」から始まる逆襲

 そして迎えた8月4日。齋藤は杉本商事BSで行われたファーム・リーグのオイシックス戦に先発した。後半戦初登板となったマウンドは、6回途中7安打6失点。しかし、3回までは1人の走者も許さない無安打5奪三振の完全投球を見せた。疲れの見えた4回からは甘く入ったボールを痛打される場面もあったが、確かな収穫があった。

「前半の3イニングは、意識していた下半身をうまく使えた感じがありました。『まっすぐを強く』というテーマでやっていて、少し後半はスピードも落ちてきてしまったので、次はそこをちょっとずつ伸ばしていきたいです」

 平井コーチもこの日の登板について「どれだけ四球を出してもいい。すぐバテてもいいから、マックスで行ってこいっていう感じで行かせた」と意図を明かす。「3回でバテちゃったから、問題はそこなんだよ」とスタミナ面を指摘しつつも、自身が思い描く直球を取り戻しつつある背番号「26」の姿があった。

「気持ちの面はもう、前よりも『頑張るぞ!』っていう思いが強くなっています。あとは結果もついてきてくれれば。課題を克服して、1軍でやり返すチャンスを掴み取りたいです」

 満を持して上がった1軍マウンドでは厳しい現実に直面したが、悲観することはない。「次に投げる機会があれば、これ以上(防御率が)上がることはあんまり多くないと思う。少しでも1軍で投げて、ちょっとずつ頑張っていきたい」。突きつけられた「189.00」という数字は、這い上がるためのスタートラインにすぎない。心身ともに成長した時、背番号「26」は再び京セラドームのマウンドで眩い光を放つはずだ。21歳右腕の逆襲は、ここから始まる。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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