7月2日に3番で1軍デビュー、翌3日から4番に定着している
DeNAが熱い。6月末の時点で首位に11ゲーム差、CS進出圏内の3位にも10.5ゲームの大差をつけられ5位に低迷していたが、7月以降は勝率.630(17勝10敗1分)の快進撃。3位のヤクルトに勝率1厘差の4位と肉薄している。豹変の要因の1つが、シーズン途中の6月に入団して7月から1軍に昇格し、4番に定着しているヘラル・エンカーナシオン外野手の存在だ。
シーズン途中に、日本の野球に合う“優良外国人選手”を見つけ出し連れて来るのは、オフの補強以上に難しいが、エンカーナシオンは間違いなく“当たり”と言えそうである。
DeNA入りが発表されたのは6月12日だった。ドミニカ共和国出身で、193センチ、113キロの体格から放たれる長打が持ち味の28歳は、メジャー通算10本塁打、打率.211(279打数59安打)。今季はジャイアンツで17試合出場、打率.176(34打数6安打と本塁打・打点は0)だった。
来日当初はファームで7試合に出場し、打率.304(23打数7安打、本塁打0)。万を持して7月2日に1軍昇格すると即、本拠地・横浜スタジアムで行われた広島戦に「3番・右翼」でスタメン出場し初安打も記録した。翌3日のヤクルト戦(神宮)からは4番に定着。ダイビングキャッチの際に体を強打した影響などで2試合に欠場したが、その他は4番で出続けている。
大村巌打撃育成コーチがエンカーナシオンの対応力を説明する。
「最初に4番で使った試合でスライダーを上手くヒットにするシーンがあり、変化球に柔軟に対応できることがわかりました。日本の野球で結果を出せている1番の理由は、その対応力にあると思います。チャンスに強く、打点を稼ぐことができる打者でもあるので、4番を任せ続けています」
確かに、初めて4番に座った7月3日のヤクルト戦では、延長10回2死満塁のチャンスで大西広樹投手の外角低めのスライダーにバットを折られながら、打球を三遊間に運び内野安打をゲット。一塁への送球がそれたこともあり2者が生還した。翌4日の同戦でも、5回に松本健吾投手のスライダーに泳がされながら左前へ運び、適時打を記録した。
登場曲はドラゴンボールZのオープニングテーマ「凄くなじみがある」
際立つのは安定したコンタクト力で、今季打率.305(105打数32安打)、6本塁打26打点。1軍昇格から1か月以上が経過したが、ノーヒットが続いたのは最長でも2試合までだ。大村コーチは「結果を出しているうちに相手の攻め方も変わってきて、インコースの球が増え、打てなくなってきたかなと思った時もありましたが、ほんの2、3試合で戻しました。修正能力もありますね」とうなずく。
一方、8月6日の阪神戦で中堅スコアボードを直撃する特大の6号ソロを放ち、ツボにはまれば前評判通りの長打を披露できることも実証した。
相川亮二監督が就任した今季のDeNAで、開幕4番を任されたのはダヤン・ビシエド内野手だったが、不振のまま5月に現役引退を表明。その後、宮崎敏郎内野手、佐野恵太外野手、筒香嘉智内野手らが務めたが、打線はつながりを欠いていた。エンカーナシオンが定着したことで軸ができ、チーム成績も上昇し始めたのだった。
エンカーナシオン自身は「日本にいる以上、アメリカの野球との違いは意識していません。自分にできることをやるだけだと思っています。打順についても、チームから与えられた役割を全うしたいと思っているだけで、今のところいい成績を残せているので満足しています」と優等生的な言葉を並べる。
表情が和らいだのは、登場曲として使用しているアニメ「ドラゴンボールZ」のオープニングテーマ曲「CHA-LA HEAD-CHA-LA(チャラ・ヘッチャラ)」に話題が及んだ時だった。「ドラゴンボールは8〜9歳の頃ドミニカ共和国で、スペイン語に吹き替えられたものを見ていました。凄くなじみのある曲で、日本にいることで自分の登場曲に使えるのはうれしいです」と、髭をたくわえた頬を綻ばせた。
首位までにはまだ9.5ゲームの大差があるが、DeNAには伝統的に、いったん勢いに乗ったら手がつけられない反発力がある。昨季は9・10月に勝率.739(17勝6敗1分)の驚異的なラストスパートを見せ、シーズン2位を確保した。今季は新顔の助っ人を中心に、どんな強さを見せてくれるだろうか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)