DeNA・篠木健太郎、防御率4.45も続く“珍現象” 伊藤光から受けた教え…アマとの違いに「塩梅が難しい」

エースの東克樹の8勝に次ぐ5勝を挙げているDeNA・篠木健太郎【写真:イワモトアキト】エースの東克樹の8勝に次ぐ5勝を挙げているDeNA・篠木健太郎【写真:イワモトアキト】

DeNA投手で2番目に多い5勝…篠木健太郎が打線の援護を受けるワケ

 7月以降急上昇し、セ・リーグ3位につけるDeNAで、プロ2年目の篠木健太郎投手が先発ローテで回り、エースの東克樹投手の8勝に次ぐ5勝(2敗)を挙げている。防御率は4.45だが、“貯金3”はチームにとって貴重。“篠木が先発すると、打線が爆発する”パターンが多く、援護率(登板中に味方が挙げた得点を9回当たりで表した数値)は7.54(成績は8日現在、以下同)。右腕の投球スタイルに幸運を引き寄せる要因があるのだろうか──。

 登板時の援護がすさまじい。8月1日の巨人戦(東京ドーム)では2回と3回に4点ずつ。篠木は5回まで無失点も6回に崩れ、先頭から6連打を浴びてマウンドを降りた。救援の2番手も勢いを止められず、この回7点を失い、そのうち6点が篠木の失点となったが、チームは8-7で逃げ切って篠木に5勝目がついた。

 6月13日のロッテ戦(ZOZOマリン)でも初回に2点、2回に8点、4回に5点を奪い、この時点で15-0と大量リード。篠木は4回に3点、5回に2点を失うも白星を手にした。130球1失点でプロ初完投を達成した7月4日のヤクルト戦(神宮)でも12得点と、打線が強力アシストした。

 篠木は投球テンポが速い。野手陣をリズムに乗せ、攻撃に回った時の援護につなげている可能性がある。大きく振りかぶって投げ込むフォームは躍動感にあふれる。ピンチを切り抜けた際には雄叫びを上げるなど闘志が前面に出るタイプだけに、味方に与える心理的影響もあるかもしれない。

 篠木自身は「野手の方々には、本当にずっと助けていただいています」と最敬礼。その上で、「昨年ファームで、入来(祐作2軍チーフ投手戦術・育成コーチ)さんに『淡々とストライクゾーン内に自分の強いボールを投げ込むことがチームのためにできる最低限のことだぞ』と言われて、テンポを大事にしているのは確かです。それが援護につながっているのかどうかはわかりませんが……」と語る。

今季から楽天でプレーする伊藤光とは、ファームでバッテリーを組んだ【写真:荒川祐史】今季から楽天でプレーする伊藤光とは、ファームでバッテリーを組んだ【写真:荒川祐史】

伊藤光から受けた薫陶…再認識したテンポの重要性

 そして、「昨年までいらっしゃった光さん(現楽天・伊藤光捕手)からもファームでバッテリーを組んだ時に『どんどん来ていい』という話をいただいていました」と振り返る。豊富な経験を持つ伊藤だが、昨季はDeNAで1軍出場6試合にとどまり2軍暮らしが長かった。

 篠木は「10月の宮崎でのフェニックスリーグでも、光さんから食事の時に打者の心理などをいろいろ教えていただき、『結局、テンポが大事』という話をいただきました。光さんクラスの方がフェニックスリーグに出場することはなかなかないと思うのですが、自分にとってはあの時のことが活きています」と感謝する。伊藤は11月に海外FA権を行使し、プロ19年目の今季は楽天でプレーしている。

 テンポだけでなく、投球内容にも成長が見られる。ルーキーイヤーの昨季はリリーフで3登板、防御率10.13(5回1/3で自責6)。夏場からはファームで先発として調整した。今季は持ち味のストレートの球速が、短いイニングを投げていた昨季よりもアップして平均約147キロ。スピードガンの表示以上にホップ成分の高い球質で、打者を押し込んでいる。

 球種の配分では、昨季は全体の6割近くを占めていたストレートを40%台中盤に減らし、カットボールの割合を増やしている。「プロは同じ相手と何度も対戦する。そこが学生野球との大きな違いだと思います。今季は最初、真っすぐとスライダー中心でしたが2度、3度と対戦する中で分析されるので、最近はカットボールを増やしています。ただ、自分の持ち味はやはり真っすぐだと思っていて、その塩梅が難しいです」と説明する。

試行錯誤を重ね、さらなる成長を目指す篠木健太郎【写真:イワモトアキト】試行錯誤を重ね、さらなる成長を目指す篠木健太郎【写真:イワモトアキト】

50メートル走で5秒台の俊足…NPBでの3本のヒットは全て内野安打

 木更津総合高から進んだ法大2年の春よりエースとして活躍。大学通算14勝12敗、防御率2.26をマークした。リリーフよりも先発に向いているのかもしれない。篠木自身、「球数をたくさん投げることが好きですし、できる限り長いイニングでマウンドを守りたいと思っています」とうなずく。

 近年はNPBでもMLBでも常時、セットポジションから投げる投手が増加。ワインドアップの投手が少なくなっている中、篠木の大きくふりかぶって投げる豪快フォームは魅力的だ。「ワインドアップして投げるのが自分のリズムに合っている」とするが、「大学時代には松坂大輔さん(元西武、レッドソックスなど)のワインドアップを動画で見て真似したこともありましたが、自分には合っていなかったようで、今は真似はしていないです」と苦笑する。

 足も速い。大学時代に50メートル走で「5秒93」。プロでも野手を含めて速い部類に入るタイムを叩き出している。今月8日の広島戦(横浜)では第1打席で投手強襲の痛烈な打球を放ち、こぼれたボールを遊撃手が素早く一塁へ送球するも、全力疾走で内野安打にした。プロ入り後にマークした3本のヒットは全て内野安打。本人は「外野まで飛ばないだけです」と笑うものの、左打ちで俊足の持ち主だからこそだろう。

 未完成の部分も多いが、近い将来に大黒柱としてチームを支えることになりそうな、スケールの大きさと底知れない潜在能力を備えた24歳。今後の投球に要注目だ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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