ニックネーム「たっちゃん」の“由来”になった祖父
ダイヤモンドバックスのラーズ・ヌートバー外野手が、7月に死去した日本人の祖父・達治さんへの感謝を語った。
ヌートバーの本名「ラーズ・テイラー=タツジ・ヌートバー」のミドルネームは、祖父の名前が由来。2023年のWBCでは一躍時の人となり、ファンから愛された「たっちゃん」というニックネームは、祖父がいたからこそついたものだった。
「あのミドルネームを持っていて、それが僕のニックネームになり、おじいちゃんが注目されたことも嬉しかったです。おじいちゃんがいなければ今の僕は存在しないし、あのような機会を得ることもできなかった」
グラブや防具には「tatsuji」と刺繍。昨年からは「達治」と漢字で刻んでいる。
「この名前はいつも誇りに思っているし、僕にとってとても大きな意味を持っている。そして、さらに特別な意味を持つようになった」
達治さんは埼玉・東松山市で暮らしていた。母・久美子さんと米国人の父・チャーリーさんとの間に産まれたヌートバーは、幼少期に何度か家を訪問。その思い出は今も忘れない。祖父は日本語、ヌートバーは英語しか話せず、直接会話することは難しかった。それでも、やんちゃな自分をいつも可愛がってくれた。
「子どもの頃、東松山に遊びに行くと、おじいちゃんはいつも昼寝をしていて、僕たちがちょっかいを出したりしていたんです。今考えれば昼寝をしている時に邪魔されたらすごくイライラすると思うんだけど、おじいちゃんは僕や姉、兄に対して、いつもとても気長に接してくれたんだ」
2023年のWBCではヌートバーが日本代表として選出され、世界一に貢献した。「祖父に僕が日本代表としてプレーする姿を見せられたことは、僕にとってかけがえのないことなんだ」。孫の活躍もあり、達治さんの存在も日本で話題となった。
「あの大会は僕にとってかけがえのない経験でしたし、おじいちゃんにとってもそうだったと思います。WBCでプレーし、結果を残すことができたのはすべておじいちゃんのおかげです。本当に感謝しています」
ヌートバーが達治さんと最後に会ったのは、昨年来日した時だという。「本当に素晴らしい人で、最高に格好いいおじいちゃんでした。言葉の壁があったので直接会話することはできなかったけど、僕のことをいつも温かく受け入れてくれましたし、会う時はいつも楽しい時間を過ごしました。WBCの後は僕たちの関係がさらに良いものになった。僕のことをとても誇りに思ってくれていて、本当に嬉しかったです」。
最後に、天国の祖父へのメッセージを語った。
「『最高のおじいちゃんでいてくれてありがとう』。アメリカ人である僕の父を受け入れ、僕たち家族をいつも温かく見守り、優しく接してくれたこと。本当に最高のおじいちゃんでした。今、僕が『達治』という名前を背負ってプレーしていることを、誇りに思ってくれていたら嬉しいな」
(上野明洸 / Akihiro Ueno)