なぜ巨人は森下&佐藤輝に打たれたのか? 2戦6被弾…狭い東京ドームに潜む「心理的な罠」

阪神との天王山で痛恨の2連敗、森下&佐藤に計6発を献上
■阪神 5ー1 巨人(12日・東京ドーム)
伝統の一戦、首位攻防の熱気で包まれた東京ドームが、またしても阪神ファンの歓声に包まれた。巨人は12日、阪神との首位攻防カード(東京ドーム)で痛恨の2連敗を喫し、カード負け越しが決定。首位・阪神とのゲーム差は「2」へと広がった。
今カード2試合で森下翔太と佐藤輝明の主軸コンビに浴びた一発は2人で計6本。今季の対戦成績を振り返れば、森下に6本塁打11打点、佐藤にも6本塁打17打点を献上している。さらに際立つのは、森下が打点を挙げた全8試合のうち実に7試合が東京ドームで、その7試合すべてで巨人が敗れているという冷酷なデータだ。
なぜこれほどまでに、本拠地で同じ打者にやられてしまうのか。この日、今季チームトップの10勝目を誇りながら5回4失点で6敗目を喫した井上温大投手と、杉内俊哉投手チーフコーチの言葉から、その深層心理を紐解いた。
「阪神になるとね、ストライクゾーンが狭く見えるんですよね。僕も狭くしてるように見えちゃうのかな」
試合後、杉内コーチが第一声で口にしたこの言葉は、巨人投手陣が陥っている心理的な罠を象徴している。
立ち上がり、初回1死一塁から森下に高めの直球を左前打とされると、続く佐藤には甘く入った直球を左前へ弾き返され先制点を奪われた。この初回の中軸のバッティングが、若き左腕の脳裏に「直球への疑念」を植え付けた。
0-2の3回、1死から森下に許したソロについて、井上は「いつもなら簡単にカウントが取れているコースと高さだった。相手が一枚上だった」と振り返り、続く佐藤の被弾は「空振りを狙ったフォークが浮いてしまった」と唇を噛んだ。
しかし、杉内コーチの見立ては異なる。
「初回の真っ直ぐも別に悪いわけじゃない。その後に打たれたヒットやホームランは、ほとんどが変化球。自分の真っ直ぐを信じ切れるかどうかが今後の鍵になる」
「いいコースに投げなければ打たれる」という強迫観念が先行し、勝負球を変化球に頼る。結果としてその変化球がコースを外れ、甘く入った失投を相手の中軸が一振りで仕留める――。警戒心が自らの首を絞めるという悪循環が、そこにはあった。
相手を大きく見せない「開き直り」の境地
東京ドームは一発が出やすい打者有利の球場だ。だからこそ、ベンチは「ソロホームランならOK」と割り切った大胆な攻めを求めている。
「ちょっと打たれすぎている。そこを含めて対策しないといけない。でも、打たれるなと言ったらフォアボールが増える。開き直って、アウトコースへ投げて流されて本塁打なら仕方ないと思えるか、どうか。そこ(の気持ち)が大事かなと思うので」
杉内コーチの指摘通り、打者が打つ確率は高くても3割だ。残りの7割は打ち取れる計算になる。開き直って真っ向勝負できるかどうかも、天敵を封じるための第一歩となる。
対照的に、この日巨人を翻弄した阪神・高橋遥人は、低めにボールを集めてストライク先行の投球を徹底していた。井上も「ストライク先行で攻めている。低めに集めればホームランも出ず、長打も少なくなる。そのコントロールをもっと身につけたい」と脱帽する。
「困った時のアウトコース」という投手の原点に立ち返り、自慢のストレートを信じて腕を振り切れるか。東京ドームに染み付いた苦手意識という見えない重圧を払拭し、殻を破ることこそが、巨人のペナントレース奪還に向けた最大の試練となる。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)