岡本の横の新アジア人は誰? トレード→デビューの激動だった1週間…日本人選手への敬意、抱く“違う世界”への憧れ

  • 佐藤直子
    佐藤直子 2026.08.16
  • MLB
ブルージェイズのブレット・ベイトマン【写真:アフロ】ブルージェイズのブレット・ベイトマン【写真:アフロ】

トレード期限間際にブルージェイズに移籍したブレット・ベイトマン

 メジャー1年目から、チームの主軸となっているブルージェイズの岡本和真内野手。チームには通訳の大嶋佑亮氏、野球運営部門補佐を務める加藤豪将氏、栄養士の讃井友香さんら日本人スタッフも在籍しているが、最近ベンチ内で、岡本の近くにアジア系の顔立ちをした人物がいることにお気付きだろうか。2日(日本時間3日)にトレード移籍してきたブレット・ベイトマン外野手だ。

 今季のトレード期限とされた3日(同4日)に向けて、カウントダウン体制に入った前日。ブルージェイズは先発右腕のケビン・ガウスマンをカブスに放出し、その見返りとして獲得したのがベイトマンとタイ・サウスシーン内野手だった。カブスで傘下3Aアイオワに所属していたベイトマンは、ブルージェイズでも3Aバファローに配属されたが、7日(同8日)のフィリーズ戦でメジャー初昇格&初スタメン。3回の第1打席で、左翼へ二塁打を放ち、メジャー初安打を記録した。

「トレードされてからの1週間は、まさにジェットコースターに乗っているかのような日々。正直なところ、まだ全てを自分事として受け止めきれていないというか。この若造に何ができる? って目を光らせるオオカミの集団の中に放り込まれた気がしていたけど、みんな、昔からの仲間のように迎え入れてくれて良かったよ」

 そう言ってホッとした表情を浮かべた24歳は、ミネソタ州セントポールで生まれ育った。米国人の父と韓国人の母を持つコリアン2世。父は地元ミネソタで大学野球のコーチを務めており、物心ついた頃には野球ボールを手に握っていたという。

 ミネソタ大学から2023年ドラフト8巡目(全体236位)でカブスから指名を受けて入団。ルーキーリーグ、1A、2Aと順調に階段を上がり、今年から3Aに配属された。優れた選球眼で四球数が多く、スピードもある。3Aで82試合に出場し、打率.321、3本塁打、60四球、20盗塁の成績を残したところで、トレードの声が掛かった。

ブルージェイズでメジャー初安打を記録するなど活躍を続けるベイトマン【写真:ロイター】ブルージェイズでメジャー初安打を記録するなど活躍を続けるベイトマン【写真:ロイター】

「3Aアイオワの本拠地デモインからインディアナポリスに向けてバス移動をしている時に、トレードの電話が掛かってきたんだ。なんというか、ホロ苦い気持ちだったね。カブスは大好きだったし、一生の友達とも呼べる仲間もたくさん出来たから。同時に、新しいチャンスが巡ってきたことにワクワクもしているんだ」

 インディアナポリスに到着すると、すぐさま新たな本拠地バファローへ移動。バタバタとしたまま2試合に出場すると、今度はメジャー初昇格の報せ。7日(同8日)、フィラデルフィアでチームに合流した。

「もう色々なことがありすぎて……(笑)」

 笑ってしまうくらい慌ただしい1週間だったが、「これも全ては、僕にトレードの価値を見出してくれなければ始まらなかったこと」と極めてポジティブ。「想像以上に早いメジャー昇格だったけど、自分の現在地をしっかりと理解して、一歩一歩重ねていきたい」と話してくれた。

岡本和真に感謝「気を配ってくれた」

 メジャー昇格した日、右も左も分からないベイトマンに声を掛け、一緒に行動していたのが岡本だった。早出特打でも同じ組となり、通訳を交えて3人で話す姿がよく見られた。「同じアジア人だから気を配ってくれたんじゃないかな」とベイトマンは感謝する。カブスには今永昇太投手や鈴木誠也外野手がいたため、日本との不思議な縁を感じているようだ。

「僕は米国で生まれ育ったけれど、岡本やショウタ、セイヤは、まったく違う世界に来て、まったく違う環境で、ハイレベルなパフォーマンスをしている。本当に尊敬しかないし、クールなことだと思うんだ」

 もしチャンスがあれば、ベイトマン自身も“まったく違う世界”でのチャレンジをしてみたいと思っている。それは、韓国代表としてWBCに出場することだ。韓国人の母は、3歳で米国人夫婦の養子となったため、韓国の影響を強く感じながら育ったわけではないが、自分のルーツとして韓国に対する想いは常に心の中にある。だからこそ「もしチャンスがあれば、ぜひ」と目を輝かせる。

「WBCは野球界でのワールドカップのようなもの。色々な国を代表するスター選手たちが、情熱をぶつけ合う場所でもある。やっぱり最近のWBCを見ると、出てみたい、と思うよね。韓国も野球のレベルは高いから、まずは呼んでもらえるようにメジャーでしっかり頑張ります」

移籍後はここまで8試合に出場し打率.314の好成績を残している【写真:ロイター】移籍後はここまで8試合に出場し打率.314の好成績を残している【写真:ロイター】

 ベイトマンをトレードで獲得したその日、ブルージェイズは正中堅手のドールトン・バーショをアストロズへトレード放出した。その枠はまだ空いたままだ。手中に収められるか否かは、ベイトマン次第。新天地で訪れた大チャンス、逃したくはないはずだ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

RECOMMEND

CATEGORY