支配下なれずも「野球人生が終わったわけじゃない」 元新人王・高橋礼の現在地…難病克服の森脇からもらった勇気

今季から西武でプレーしている、プロ9年目の高橋礼【写真:湯浅大】今季から西武でプレーしている、プロ9年目の高橋礼【写真:湯浅大】

12日のファーム巨人戦で西武加入後、初先発を果たした

 新たな一歩を踏み出した。昨年オフに育成契約で西武に入団した高橋礼投手は、12日のファーム・リーグの巨人戦(ベルーナドーム)で、加入後初となる先発登板を果たした。今季中の支配下登録復帰は果たせなかったが、ソフトバンク、巨人でプレーしたサブマリンは、現在の“立ち位置”を見つめ、来季へかける強い思いを語った。

 32試合で救援登板し、36回2/3を投げて自責点6の防御率1.47。好成績を残してつかんだ先発登板だった。まっさらなマウンドに立った高橋礼は、古巣相手に102キロ~138キロという緩急を駆使。中山礼都外野手にはソロ本塁打を浴びたが3回3安打1失点、4奪三振とまずまずの内容だった。

「ストライク先行を大事にしました」。中山にはワンボールから低めに制球したシンカーをうまく拾われてバックスクリーンに運ばれた。試合後には痛打されたことよりも、打者有利のカウントにして打たれた過程を反省した。

「その前の(外角に外れた)スライダーがもう少し中に入っていればストライクになっていた。そうすれば多分バッターの反応も変わってきたと思う。流れの中で、あそこのシンカーだけをピックアップして、それがダメだったと思うよりは、球種を変えるとかいろんな選択肢ができた。今後これを生かすのは自分の考え方やキャッチャーとの話し合いになるので、次はホームランにはならない、最低でも単打で抑えられるような形に持っていけたらなと思います」

 2024、2025年と所属した巨人戦での初先発。「やっぱりいいバッターが揃っているので、カウントを不利にはしないように意識しました」。特にこの日の巨人のラインナップには、2017年ドラフトでソフトバンクへ同期入団したリチャード内野手の名前もあった。対戦結果はまさかの2打席連続死球だった。

2017年にソフトバンクの入団会見に臨んだ高橋礼(前列右)とリチャード(後列左から3人目)【写真提供:産経新聞社】2017年にソフトバンクの入団会見に臨んだ高橋礼(前列右)とリチャード(後列左から3人目)【写真提供:産経新聞社】

2軍でともに過ごした34歳の森脇亮介の躍動に刺激「年齢に関係なく」

 初回2死二塁、続いて3回2死で、いずれも抜けた球を足に当ててしまった。幸い、どちらも大事に至ることはなく、リチャードはすぐに歩いて一塁へ向かった。

「あんまり意識はしていなくて、普通に配球すれば抑えられるとは思っていたんですけど、ちょっとこう、カーブが2球抜けてしまったのは、普通に申し訳ないなっていう感じですね」と苦笑した。反省しつつも「グラウンド外では楽しく話す仲間ですし、いい緊張感と楽しさの中で投げられました」と古巣との対戦を振り返った。

 ソフトバンクでは入団2年目の2019年に12勝をマークして新人王を獲得した。翌2020年には中継ぎとして52試合に登板し、23ホールドを挙げるも、徐々に活躍の機会は減少し、2023年オフにトレードで巨人に移籍。2025年を1軍登板機会なしで終えると戦力外となり、西武と育成契約。背番号「136」で再出発した。

 支配下登録を目指すなか、7月末のシーズン中の補強期限は過ぎた。それでも悲壮感はない。むしろ「右上腕動脈閉塞症」という難病を乗り越えて6月30日に支配下復帰した森脇亮介投手が13試合で5ホールド、防御率1.59と躍動する姿に勇気をもらい、前向きな姿があった。

「僕の中では森脇さんが今、抑えているのを見て、年齢に関係なく去年から今年にかけてのレベルアップというところはかなり大きかった。たとえ育成選手であっても、支配下登録期間が終わったとしても、後輩たちに見せる姿というのは非常に大切なこと。ライオンズというチームだけではなくて、ひとつの社会として、先輩の姿というものはすごく大事だと思うので、自分の行動をもって目標や目的に向かって取り組んで過ごしていけたらと思います」

難病を克服した森脇の活躍に大きな刺激を受けている【写真:加治屋友輝】難病を克服した森脇の活躍に大きな刺激を受けている【写真:加治屋友輝】

支配下登録期間は終了も「逆にここからが大事」

 西武は「若手がすごく台頭してきているチーム」だと感じている。伸びしろ十分の選手が多数おり、実際に1軍でも活躍している。「どんどん、どんどん新しい若い“血”が入ってきているので、自分も結果でしっかり存在を証明しなきゃいけないので、そこはライオンズの良さかと思います。若さはすごく大事なので、僕も“血の入れ替え”に飲み込まれないように、毎日を大切にしていきたいという感じです」。

 加入初年度の支配下復帰はならなかったが「野球人生が終わったわけじゃないので。あと数か月をどう過ごすかが大事。逆にここからが大事かなと思っています」。

 若手との競争は続く。自身も先輩として、さらに成長していく背中を見せる。30歳のサブマリンの言葉に揺るぎない強さを感じた。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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