大谷翔平は本当に「勝負弱い」のか 満塁で三振も…覆す「3.0」の意味、数字が捉える実像

ブルワーズ戦に「1番・DH」で先発したドジャース・大谷翔平【写真:黒澤崇】
ブルワーズ戦に「1番・DH」で先発したドジャース・大谷翔平【写真:黒澤崇】

5回1死満塁の好機でミジオロウスキーのスライダーに三振

【MLB】ブルワーズ 4ー1 ドジャース(日本時間16日・ロサンゼルス)

 ドジャースは15日(日本時間16日)、本拠地でのブルワーズ戦に1-4で敗れた。大谷翔平投手は4打数1安打1打点。3回に適時三塁打を放った一方、5回1死満塁では三振に倒れた。SNS上では「やっぱりチャンスに弱い」と辛辣な声も飛んだ。痛い凡退だったのは間違いない。だが、大谷は本当に「勝負弱い」のだろうか。

 相手は怪物右腕ジェイコブ・ミジオロウスキー。第1打席は103.8マイル(約167.0キロ)の直球に差し込まれて三飛に倒れたが、3回2死一塁では0-2から内角100.3マイル(約161.4キロ)の直球を捉え、適時三塁打とした。

 問題視されたのは5回1死満塁だ。初球のスライダーに空振り。2球目の102.4マイル(約164.8キロ)のフォーシームを見逃すと、最後は92.5マイル(約148.8キロ)のスライダーにバットは空を切った。続くフレディ・フリーマン内野手も三振。絶好機を逃したドジャースはそのまま敗れた。

 大谷が好機で凡退すると、「チャンスに弱い」という指摘はたびたび聞かれる。昨季も8月に「12打席連続ソロ本塁打」を記録し、満塁では10打数1安打。得点圏打率.247は規定打席到達者145人中101位だった。シーズン55本塁打、OPS1.014という圧倒的な成績との落差が、そうした印象を強めた面はある。

 ただ、得点圏打率だけで「勝負強さ」のすべてを測れるわけではない。大差での適時打と、同点の終盤に放つ決勝打では試合に与える影響が違う。その試合状況を加味する指標の一つが「WPA(Win Probability Added)」だ。打席の前後でチームの勝利確率がどれだけ変化したかを積み重ねる。

 昨季の大谷はWPAでメジャー全体トップ。さらにFanGraphsによると、勝敗への影響が大きい「ハイ・レバレッジ」では打率.326、出塁率.492、OPS1.143を記録した。少なくとも昨季について、得点圏打率だけを根拠に「勝負弱い」と断じるのは無理がある。

 では今季はどうか。試合前時点で得点圏では打率.310、6本塁打、出塁率.435、OPS1.044。走者なしの打率.273、OPS.892を上回る。満塁でも7打数3安打の打率.429、10打点、OPS1.016だ。WPAも「3.0」に達し、カイル・シュワーバー外野手(フィリーズ)の2.8を上回っている。一方、今季のハイ・レバレッジでは打率.308、出塁率.400ながら、本塁打は0でOPS.785。重要局面で圧倒しているとまでは言えないが、「チャンスになると打てない」という数字でもない。

 もちろん、ミジオロウスキー相手の満塁機で1本を期待したくなる場面だった。そして三振という結果が痛かったことも変わらない。それでも、この日唯一の得点を叩き出したのも大谷だった。得点圏、満塁、WPAと複数の数字を重ねれば、少なくとも今季の大谷を「勝負弱い」と一括りにするのは難しい。

 1度の痛烈な凡退は記憶に残る。だが、それがシーズン全体の評価と同じとは限らない。

(新井裕貴 / Yuki Arai)

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