正統派からサイドへ…生きる道を求めた変化 日本通運・松澤海渡が見せる“火消し職人”の心意気

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  • 2026.08.28

日本通運OB、木南了さんが現役選手の心の内を深掘りする特別対談・第2回

 社会人野球の頂点を決める「第97回都市対抗野球大会」が26日に東京ドームで開幕する。日本通運(さいたま市・南関東第1代表)は12年連続51回目の出場となる強豪チーム。だが、1964年の初優勝以来、頂点になかなか手が届かないシーズンが続いている。そこで今年のチームが求めたのは『変化』だった――。

51回目の出場で目指す62年ぶりの頂点…OB辻発彦氏と澤村幸明監督が語った日通野球と都市対抗

 日本通運で2024年までプレーし、侍ジャパン社会人代表捕手としても活躍した木南了さんをナビゲーターに迎え、選手たちの変化を探る全3回シリーズ。第2回は、4年目を迎えるリリーフ右腕の松澤海渡投手だ。常に厳しい場面で投げる“リリーフ職人”の内面に迫る。

◇ ◇ ◇

 松澤は150キロ近いボールを投げ込む右のサイドスロー。変則投法らしい癖球も持ち合わせた投手だ。ただ、帝京高、東洋大に所属した当時は、正統派の右投手だった。日本通運へ入社が決まった時、当時のチームには古田島成龍投手(現オリックス)ら最速150キロを軽く超える本格派が4人もいた。そこで生きる術を探した末に、卒業前の4年生秋からフォーム改造に着手したという経歴を持つ。

木南:僕とマツはバッテリーも組んできたし、よく知っているからこそリスペクトしている部分があります。年齢を重ね、苦しい場面で投げることも多い中で、今年の自分の状態をどう見ていますか?

松澤:社会人2、3年目の時に、ちょっと慎重に行きすぎてしまった部分があったんです。(ストライクゾーンの)四隅にボールを集めようとして投げていると、どんどん投球が小さくなっていくのを感じました。今年はキャプテンの(北川)利生さんから「ピッチャーは初球から飛ばして、もし潰れても後ろに他の投手がいるというつもりでやっていこう」という話があったんです。僕もしっかり腕を振って、ゾーンの中で勝負しようという意識が結果につながっていると思っています。平均球速も落ちていたのが上がってきました。

木南:公式戦は自責点ゼロで来ていると思うんだけど、これはすごいよね。

松澤:ありがとうございます。公式戦ではまだゼロですね。

好不調の波を作らないように普段から意識する「一番いい腕の位置」

木南:苦しい場面で投げてくれるピッチャーが、そういうパフォーマンスを見せてくれると、チームとしては本当にありがたいんじゃないかな。何か大切にしている準備はありますか?

松澤:練習の時から常に、波を作らないように、という意識でやっていますね。中継ぎなので、いつ、どんな試合の、どこで投げるのかわからない。それでも、常に同じパフォーマンスを出せるよう心掛けています。いい時も悪い時もあるようでは、監督が使いづらいでしょうし、仲間からの信頼も築けないと思うので。

木南:悪い波を作らないために、技術面ではどんな練習を積んでいますか。

松澤:普段の練習から、その日一番いい腕の位置を探しながら投げるようにしています。体調や体のバランスで、一番腕を振れる位置は少しずつ変わってくると思うんです。今日はちょっと下げた方が指のかかりがいいなとか、キャッチボールの中で見つけておいて、試合の中で同じ感覚になった時に「こうすればいいんだな」と思い出せるようにしています。

木南:そういう部分も含め、僕はマツをすごく賢い、インテリジェンスのある選手だと思っています。自分の強みをどう分析していますか?

松澤:自分のツーシームは、打者にも「手を出しても打てないね」という話をされるんですけど、それをどうピンチの場面で投げられるかを大事にしています。走者を背負った場面での登板に萎縮してしまう投手もいると思うんですけど、そこで落ち着いて、自分のボールを“ここ”というコースに投げ込める技術は自分の強みですかね。

厳しい場面を任される“職人”のこだわり…「まだ勝ってる」の余裕

木南:それでも結果が出せない時はあると思うけど、すぐに次の試合がやってきます。そういう時の気持ちの切り替え方を教えてください。

松澤:大会中は振り返りこそしますが、引きずらないよう頭の片隅に置く程度にします。悪いイメージがあると、どうしても腕が振れなくなるので。「たまたま今日は打たれた」くらいの気持ちで、やってきたことに自信を持つようにしています。

木南:チームはずっと都市対抗には出ているけど、自分たちが思い描く結果がなかなか出ていません。今年はどんな大会にしたいですか?

松澤:大前提として、今年のチームが始まった時から、みんな優勝を目指しています。主将が変わり、チームがすごく引き締まったという印象もありますし。攻守交代時にダッシュを徹底したり、そういう部分の詰めがすごい。やることを明確にして、1つの方向に進めている感じがしています。

木南:自分ではどういうパフォーマンスを出したいですか?

松澤:僕が出る場面は、走者を背負うなど厳しい場面になってくると思います。そこで自責点なども大事だとは思うんですけど、チームの勝ちにつなげられる選手でいたいですね。仮に3点リードの満塁の場面で出たのなら、最悪2人返してもまだ勝っている。それくらいの余裕をもってやりたいなと、年齢を重ねてより思うようになりました。

木南:先発ではないけれど、絶対欠かせないマツのような人間が「チームのために」というマインドを強く持てるのは、チームが強くなる上で不可欠だと思います。マツは今季のチームはどこが変わったと感じているのかな。

松澤:1試合に対する集中力が、例年になく高まっている感覚がありますね。ミーティングでも「後からいく選手が大事になる」とよく言われていて、代打で出る選手や僕みたいに後から投げるピッチャーが、今年は結果を出せているなという印象があります。

62年ぶり優勝へ必要な5連勝…全試合「投げまくります!」

木南:都市対抗で優勝するためには5試合勝たないといけません。そうすると、マツがフル回転で活躍しなければならないのは容易に想像がつくよね。

松澤:社員の皆さんの中には、野球部の活動になじみが深くない方々もいらっしゃると思います。ただ、僕は埼玉支店の配属なんですが、出社するたびに「抑えてたよね」と声を掛けていただいたり、皆さんが野球部を自分のことのように気にかけて下さっているのを感じます。都市対抗を応援しに来てくださる方も多いので、少しでも自分が活躍している姿を見せたいと思っています。

木南:31日の初戦では、12年連続出場のNTT西日本と対戦します。間違いなく強敵だと思うんですよね。今年は四国大会で戦っていますが、どのような印象がありますか?

松澤:打力が非常に高いチームだと思います。左打者が多い打線なので、右のサイドスローの僕が投げるとなれば、勝負どころのワンポイントになるのかなと。そこ1本打たれないように、ひたすら映像を見て相手の弱点を探っていきたいです。

木南:僕はマツを1年目から受けて、しんどいところで投げているのも見てきました。そういうポジションの大切さが、今チームにも浸透しているのはすごくいいと思う。今は北川主将がチームを引き締めているけど、これから投手ではマツがそういう立場になっていくと思います。都市対抗では全試合投げて、優勝してください!

松澤:ありがとうございます。投げまくります!

(Full-Count編集部)