「3差」に15人、パの最多勝争いは大混戦 勝率10割、両リーグ制覇、先発ゼロ、規定未達の可能性も

規定未達や「勝率10割」に迫る多士済々の面々
今季のパ・リーグ最多勝争いは、トップから3勝差以内に15人がひしめく大混戦を極めている。2024年以降、2年連続で日本ハムの伊藤大海投手と当時ソフトバンクの有原航平投手(現日本ハム)が最多勝を分け合ってきたが、今季は新たなタイトルホルダーが誕生する可能性が高い。稀に見る混戦の展開と、その中から誕生するかもしれない歴史的な大記録の可能性に迫る。(数字は27日試合終了時点)
日本ハムの加藤貴之投手と、オリックスのアンダーソン・エスピノーザ投手が11勝でハーラーダービーのトップを走る。これを西武の平良海馬投手、ソフトバンクの前田悠伍投手と大津亮介投手が10勝で追い、ロッテの八木彬投手とアンドレ・ジャクソン投手、日本ハムの北山亘基投手、西武の武内夏暉投手が9勝で追走。さらに、西武の隅田知一郎投手と高橋光成投手、オリックスの九里亜蓮投手、ソフトバンクの上茶谷大河投手と松本晴投手、日本ハムの伊藤の6人が8勝で、今季も複数人の戴冠が考えられる。
大混戦の中、達成されれば珍しい記録にも注目が集まる。加藤貴と前田悠は27日時点で規定投球回に到達しておらず、規定未達でのタイトル獲得となれば、パ・リーグでは2020年の石川柊太投手(当時ソフトバンク、現ロッテ)以来、NPBでは史上4例目となる。
9勝の八木は今季全ての登板がリリーフ。NPBにおいて先発登板ゼロで最多勝を獲得したケースは、1988年の伊東昭光投手(ヤクルト)のみで、八木が獲得すればパ・リーグ史上初の快挙となる。
勝率10割の可能性もある。10勝の前田悠と八木はともに黒星がない。最高勝率の条件を満たした無敗の最多勝は、1981年の間柴茂有氏(日本ハム)、2013年の田中将大投手(当時楽天、現巨人)以来、13年ぶり3度目の金字塔になる可能性もある。8勝の九里は広島時代の2021年に最多勝に輝いており、今季獲得すれば史上初のセ・パ両リーグでの載冠となる。
勝敗の命運を握る「打線の援護力」…有利な得点上位チームの投手
タイトル争いを左右するのが、打線の援護力だ。ソフトバンクの561点、日本ハムの487点に対し、西武は419点、オリックスは415点、楽天とロッテはいずれも300点台と球団ごとの得点力に大きな差が生じている。
現時点で3位の日本ハムと4位のオリックスのゲーム差は7に開き、打線の援護とチーム勝率の高さがAクラスの投手にアドバンテージをもたらしている。打率、得点数ともにリーグトップのソフトバンクと、リーグ最多の144本塁打を放つ日本ハムは打線の強力な援護が期待できる一方、主力に故障者が続出している西武とオリックスは終盤戦の打線構築が投手の勝敗を分ける鍵となる。
チーム得点力と勝率で上位を走るソフトバンクの前田悠、日本ハムの加藤貴は、今後のタイトル争いでも有利な材料がそろう。さらに、ソフトバンクの大津、上茶谷、松本晴、日本ハムの北山と伊藤も浮上の可能性がありそうだ。
一方、打線の援護に課題を残すエスピノーザ、九里はチーム状態が命運を握る。西武は平良が10勝に到達し、2桁勝利の実績をもつ武内、隅田、高橋光が意地を見せられるか。リリーフのみでタイトル獲得を狙う八木、移籍1年目で存在感を放つジャクソンを含め、混戦のハーラーダービーを制するのは誰か。最後まで見逃せない戦いが続く。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)