佐藤輝の今オフMLB移籍は「疑問が残る」 3冠王の可能性も…専門家が挙げた“懸念材料”

“ポスト・サトテル”は育成途上「簡単に許せる状況なのか」
セ・リーグ首位の阪神は28日、本拠地・甲子園で行われた巨人戦に4-1で勝利。1.5ゲーム差で迎えた首位攻防3連戦の初戦を制した。4番の佐藤輝明内野手は3回に右前適時打を放ち、4打数1安打1打点。打率.322と84打点で2部門リーグトップを走り、30本塁打も同僚でトップの森下翔太外野手に1本差と肉薄しており、3冠王獲得を射程圏内にとらえている。今季終了後のポスティングシステムによるメジャー移籍の可能性も、ファンにとって気になるところだ。
佐藤は一昨年オフ、契約更改交渉の場で、初めてポスティングシステムによるメジャー移籍の希望を公言した。すると、昨季は40本塁打、102打点で2部門を制し、自身初のタイトルを獲得。ベストナイン、ゴールデングラブ賞を受賞したのも初めてだった。今季はさらに進化を見せ、初のシーズン打率3割台の可能性が高くなっている。
しかし、現役時代に通算2038安打を放ち、名球会の会員に名を連ねる野球評論家・新井宏昌氏は、今季終了後のメジャー移籍には「鈴木誠也外野手(カブス)や村上宗隆内野手(ホワイトソックス)、岡本和真内野手(ブルージェイズ)らに比べると、日本で実績を積んだ期間が、まだ短い印象があります。素晴らしい素質があるのは確かですが、実績の積み重ねが少し足りない気がします」と疑問を呈する。
鈴木は広島時代にNPB史上3人目の「6年連続打率3割・25本塁打以上」をマークし、首位打者も2度獲得した。村上は2022年にNPB史上最年少の3冠王に輝き、日本人選手歴代最多の56本塁打も記録した。本塁打王獲得は3度に上った。岡本も本塁打王を3度、打点王を2度獲得している。
新井氏は「ポスティングはあくまで球団の権利です。阪神が今、佐藤のメジャー移籍を簡単に許せる状況なのかというと、疑問が残ります」とも。
佐藤が海外FA権を取得するのは、早くても2029年のシーズン中と見られる。一方、阪神は昨年のドラフト会議で強打の創価大・立石正広内野手を1位指名。“打撃でポスト・サトテルを担える素材”ともいわれた。しかし、立石は1年目の今季、1軍では32試合出場、打率.198(111打数22安打)、2本塁打10打点にとどまり、主軸を担うにはまだ時間がかかりそうなのが現状だ。

「芯を外されてもバットでボールを拾える」安定感と粘り
もっとも、佐藤の打撃自体が進化を続けているのは間違いない。28日の巨人戦では1-0とリードして迎えた3回1死一、二塁の好機で、巨人先発スペンサー・ハワード投手のチェンジアップにタイミングを外されながら、一、二塁間を破る右前適時打を放った。
新井氏は「27日までの中日との3連戦もそうでしたが、佐藤の状態は決して良くないと思います。バットの芯を外れたヒット、タイムリーが多く、絶好調というわけではありません」と指摘する。「それでも、ヒットを記録し続けているところは成長している部分といえるでしょう。右足を高く上げず、すり足に近いタイミングの取り方をしていて、それが安定感と粘りにつながっていると思います。地面に足が付いている時間が長いため、タイミングを外されても、最後になんとかバットでボールを拾える形になっています」と付け加えた。
3冠王獲得の可能性はどうか。新井氏は「もちろん、十分にあります。そうそうチャンスが巡ってくるものではありませんから、本人には『取らなきゃいけない』という強い気持ちで臨んでほしいと思います。自分の役割を果たせば、自ずと3冠王とチームの優勝の両方を手に入れられる状況だと思います」と期待を寄せる。
シーズンオフの動向も込みで、サトテルの打棒から目が離せない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)