侍U-18に示した「レベルの差」 大学代表を動かした“指令”…こだわった結果「お祭りじゃない」

試合後、挨拶を交わす両ナイン【写真:黒澤崇】
試合後、挨拶を交わす両ナイン【写真:黒澤崇】

U-18壮行試合で甲子園のスターを撃破、レベルの違いを見せた大学代表

「侍ジャパン」大学代表は29日、神宮球場で行われた「侍ジャパンU-18壮行試合 高校日本代表 対 大学日本代表」に臨み、U-18代表に7-1と圧勝した。9月7日から台湾・台南市で始まる「第14回 BFA U18アジア野球選手権」に臨むU-18代表の前に、敢えて大きな壁となり立ちはだかった大学代表の鈴木英之監督は試合後、選手たちに特別指令を出していたことを明かした。

「必ず本気でやりなさい。これはお祭りじゃない」

 毎年9月にあるU-18代表の国際大会を前に、おなじみの開催となっている大学代表との壮行試合。午後から雨が降り続く悪天候でも、2万1250人の観客が集まった。直前まで開催されていた夏の甲子園で活躍したスターたちが、大学野球のトップ選手たちと対戦するのだから、アマチュア野球ファンにとっては垂涎の一戦だ。

 7月のワールド カレッジ ベースボール チャンピオンシップ(台湾・台北)で、初代王者に輝いた大学代表は、それぞれのチームに戻り秋のリーグ戦に向けて準備を進めていたが、この日のために再集結。アジア選手権で優勝を狙うU-18代表に、大学代表が胸を貸す花試合と思われがちだが、鈴木監督は敢えてチームに活を入れた。

「大学生もよく社会人と試合をしていただいたり、プロ野球と壮行試合をしていただいたりもしたんですけど、やっぱり格上のレベルと戦えるのは意義あること。本気で、圧倒的な投球と圧倒的な攻撃力を見せてあげるのが、彼らが台湾で優勝するためにすごく良い経験になると思うんで。大学生はリーグ戦が始まっていたり、直前だったりと、非常に難しい時期でもあるんですけど、意義深いものであると感じています」

 そう語る指揮官は、2013年から3度にわたり代表コーチを務めた経験を持ち、この壮行試合について「ある意味、大学生はプレッシャー」と話す。「絶対に負けられないぞっていう。(ポスターに書いてある)『神宮で、負けられない。』はまさにその通り。自分もコーチ時代から、もう10年以上負けたことはないですから」と穏やかな笑顔の中にもプライドを光らせる。

織田翔希(横浜)から2ランを放った小林隼翔(立教大)【写真:黒澤崇】
織田翔希(横浜)から2ランを放った小林隼翔(立教大)【写真:黒澤崇】

織田から一発を放った小林が忘れぬ高校時代の経験

 2回に織田翔希(横浜)から左翼の頭上を越える2ランを放った小林隼翔(立教大)は、自身の経験も踏まえた上で全力で高校生に立ち向かったという。2023年8月28日、東京ドームで行われた壮行試合に、小林は高校代表の主将として大学代表と対戦している。結果は0-8の完封負け。当時は「もう全然レベルが違って」と苦笑いしながら振り返る。

 この時の大学代表には、宗山塁(楽天)、西川史礁(ロッテ)、武内夏暉(西武)らが名を連ねた。10投手による完封リレーを繋いだ大学代表の前に、高校生はわずか3安打。「7番・遊撃」で先発出場した小林は2回の第1打席に左翼へヒットを放ったが、こてんぱんにやられた思い出しかない。

 だが、その3日後に開幕した第31回 WBSC U-18ベースボールワールドカップで、日本は初優勝の快挙を達成。「海外の選手と戦っても、大学日本代表の方がレベルが全然高かったです。大学日本代表との戦いがあったからこそ、気持ち負けとか、びっくりするようなことはなかったかなと思います」と話し、優勝への大きな後押しとなったと振り返る。だからこそ、この日も本気で戦った。

「自分がその経験をしたっていうのを踏まえたのと、鈴木監督からもそういう風なお話があったので、高校日本代表の選手たちに『見本』じゃないですけど、『これぐらいレベルが違うんだぞ』っていうところをプレーで見せていけたらと思って試合に臨みました」

 高校生の前に高く分厚い壁となり、そびえ立った大学代表。この愛ある本気の戦いをエールとし、U-18代表のアジア制覇を願った。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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